年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。今回は、将来、年金を月24万円もらいたい場合の現役時代の収入について、専門家が回答します。

老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に専門家が回答します。

今回は、将来、年金を月24万円もらいたい場合の現役時代の収入についてです。

◆Q:年金を月24万円もらえる人は、現役時代の収入はいくらぐらいですか?

「年金を月24万円もらえるのは、現役時代にどのぐらいの収入がある人ですか?」(匿名希望)

◆A:年収の目安は941万5116円(月額78万4593円)です

会社員は、受給要件を満たすことで原則65歳から老齢基礎年金と、老齢厚生年金が上乗せされて支給されます。老齢基礎年金は、未納期間・免除期間が全くない人は、月額6万8000円(2024年(令和6年)度満額)が受け取れます。

老齢厚生年金の受給額は、現役世代の収入金額(給与など)と勤続年数(厚生年金加入期間)によって、次の計算式で計算されます。

(1)2003年(平成15年)3月までは、平均標準報酬月額×7.5/1000×平成15年3月までの加入期間

(2)2003年(平成15年)4月以降は、平均標準報酬額×5.769/1000×平成15年4月以後の加入期間(※)

※スライド率等については省略。乗率は昭和21年4月2日生まれ以降の人の新乗率を使用

今回は、将来年金を月24万円もらえる会社員の現役時代の収入について計算してみます。

例として相談者を2024年(令和6年)現在30歳、1994年(平成6年)生まれの方とします。20歳から国民年金に加入し、その後、22歳以降60歳まで(38年間)、厚生年金に加入した場合で計算してみたいと思います。

なお、老齢厚生年金の受給額を計算するときは(2)の2003年(平成15年)4月以降の計算式のみを用います。ボーナス込みで、38年間の年収の変更は考慮しません。

この条件で考えると、相談者は、老齢基礎年金を令和6年度で満額約6万8000円受給できることになります。そのため、毎月24万円の年金を受け取るには、老齢厚生年金は月額17万2000円(24万円-6万8000円)受け取る必要があります。

老齢厚生年金を月額17万2000円(年額206万4000円)受け取るための年収を(2)の計算式で計算すると下記のようになります。

●計算式

平均標準報酬額×5.769/1000×456カ月(加入期間)=206万4000円(年間の老齢厚生年金受給額)

平均標準報酬額=206万4000円/(5.769/1000×456カ月)≒78万4593円

平均標準報酬月額を年収に換算します。

78万4593円×12カ月≒941万5116円(年収)

このように、毎月24万円の年金を受け取れる生涯平均年収の目安は941万5116円(月額78万4593円)となります。また、要件を満たす配偶者がいると、配偶者が65歳になるまで配偶者加給年金額が老齢厚生年金に上乗せされます。

※現在の制度をもとにした計算で、将来の年金額を保証するものではありません

※経過的加算は考慮していません

※年収と年金は額面で計算しています

監修・文/深川 弘恵(ファイナンシャルプランナー)

都市銀行や保険会社、保険代理店での業務経験を通じて、CFP、証券外務員の資格を取得。相談業務やマネーセミナーの講師、資格本の編集等に従事。日本FP協会の埼玉支部においてFP活動を行っている。

文=All About 編集部