2024年8月5日(月)、日経平均株価が前日比4451円28銭も下がりました。1987年10月の「ブラックマンデー」を上回る最大の下落幅で、驚いた方も多いでしょう。そんな中、
「株を買って今とても損をしています。どうすれば損を取り戻せますか?」(40代女性)
という質問をいただきました。そこで本記事では、上の質問に対する筆者の考えを共有します。
◆株の損、どうすれば取り戻せる?
短期間で損が膨らんで心配な気持ちお察しします。筆者もこの間の暴落では1日で1000万円以上が吹き飛び、気が滅入りそうでした(汗)。
損が膨らむと「どうしよう」「早く取り返さなきゃ」と慌ててしまうものです。しかし、焦って取引をするとそれがミスになり、かえって損が膨らんでしまう場合も多いので気をつけましょう。
まずは損をしたことを冷静に受け止め、焦る気持ちや、取り返したいという欲、もう損したくないという恐怖を、リセットしましょう。感情的・衝動的な取引で、大成功した投資家はいません。
◆大きな失敗を防ぐこと
詳しい話に移る前にお話ししておかなければならないのですが、株式投資には、「こうすれば成功できる」という法則はありません。
というのも、ビジネスの世界では人間同士が競争しあっているため、仮に「成功法則」があったとしても、その成功法則を知った人間同士が競争するため、成功法則の効果を失われてしまうからです。
その一方で、「これをやるとほぼ間違いなく失敗する」という法則ならあります。競争は成功の障害にはなりますが、失敗の障害にはならないからです。よって、遠回りなアプローチではありますが、株で成功するために最も重要なことは「大きな失敗を未然に防ぐこと」と言えます。
多くの場合、投資で失敗する原因は自分自身にあり、「欲張り過ぎ」「怖がり過ぎ」「ご都合主義」といった典型的なパターンがあります。これらの典型的なパターンさえ避けていれば、それなりに右肩上がりに資産を増やせるはずだ、というのが筆者の認識です。
投資で成功する人はさまざまな方法で成功していますが、失敗する人にはお決まりの「パターン」があります。要点をまとめるとこんな感じです。
・評価基準がブレている
・レバレッジの使いすぎ
・割高な株を買っている
・質の低い株を買っている
以上の4つです。この4パターンのどれかに当てはまると痛い目にあう可能性が高いので、損をしたときにはこれらのどれかでヘマをしていないか確認するのがオススメです。
◆株で失敗するパターン1:評価基準がブレている
投資で失敗する1つ目の典型パターンが「評価基準がブレている」ことです。
つまるところ、株式投資というのは「企業のオーナーになる」ことです。投資先の会社が成功しないとオーナーも損をするし、経営陣が不誠実な会社に投資すると裏切られることもあります。
株式投資では、「この投資先は、利益を出したら私に配当を出してくれるのか?」「配当を出してくれるとして、どれくらいか?」「配当を出さないとしたら、どのように使うのか?」「配当利回りは今どれくらいで、将来は増えるだろうか?」といったことを考えて、右肩上がりに金融所得を増やすのが基本です。
ここの基本がブレてしまうと「Aさんが良いと言っているから買う」というように、他人の評価で右往左往するばかりで、自分で判断できません。本質を見落としていると判断ミスも増えてしまうため、まずは「ブレない判断基準を持つ」ことが、何よりも大切といえます。
◆株で失敗するパターン2:レバレッジの使いすぎ
投資で失敗する2つ目の典型パターンが「レバレッジの使いすぎ」です。
株式市場では、安くて良い株を買っても、予想もできないほど安く叩き売られることがあります。いまでこそ人気なGAFAM(GoogleやAmazonなどの米国の主要企業)ですら、ITバブルが崩壊した直後や、リーマン危機の直後には叩き売られていました。
現物投資だけしかしていないなら良いのですが、信用取引を使ってレバレッジをかけていると、株価が下がると「安いときに投げなければならない」という大きなリスクを背負うことになります
直感には反するのですが、株式投資では「リスクを取らない」人が成功します。なぜなら、株では「儲ける」よりも「取り戻す」ほうが大変だからです。
たとえば、同じ50万円を稼ぐにしても、(1)100万円を150万円にするのと、(2)100万円を50万円に減らし、また100万円まで取り戻すのでは、前者のほうが圧倒的に簡単です。(1)では50%資産を増やせば良いのに対して、(2)では資産を100%増やさなければ元には戻らないからです。
株式投資を含む資産運用の目的は「中長期的に資産を増やすこと」です。割高な株や質の低い株に集中投資しているのでもないかぎり、気長にコツコツ、運用していれば、そのうち取り戻せるはずです。
株で失敗するパターン3:割高な株を買っている
投資で失敗する3つ目の典型パターンが「割高な株を買っている」ことです。
株式市場では、割安で放置されている株があるのと同じように、とんでもない高値で取引されている株もあります。こういう高値の株はだいたい人気で、「どう考えても元を取れない」水準で取引されています。
人気な株はSNSで話題になったり、TVで特集されたり、雑誌で取り上げられたりします。こういう流行りに「浮かれて」買ってしまうと、ひどく損をしたり、何年も株価が低迷して時間をロスしたりするリスクがあるので気をつけましょう。
せめて株を買うときには、「この会社は、こういう方法でこれくらい成長するから、これくらいの株価で買えば元を取れる」という筋書きを作ってから買うのが良いでしょう。
◆株で失敗するパターン4:質の低い株を買っている
投資で失敗する4つ目の典型パターンが「質の低い株を買っている」ことです。
個人的な経験談を話すと、この4つ目のパターンで何百万円もお金を損をしていて、時間も何年も失いました。たっぷり利益を出しているのに配当を出し渋る経営者や、ドデカイ発言をするわりに実績が伴わない経営者など、投資家の期待を裏切る経営者は驚くほどたくさんいます。
投資は自己責任である以上、投資先に裏切られて損をしても文句をいえないことがほとんどです。「質の低い株を買う」ことは「ちょっと割高な株を買う」ことよりもダメージが大きくなりやすいので、質問者さまもお気をつけください。
◆まとめ
改めてまとめると、株で失敗するときには、以下の4つのどれかに当てはまっている可能性が高いです。
・評価基準がブレている
・レバレッジの使いすぎ
・割高な株を買っている
・質の低い株を買っている
上の4つをすべて確認しても、「ぜんぶ問題ない」というのであれば、一時的に株価が下がったとしても気にする必要はありません。
株価が下がったなら売らずに配当金や株主優待を受け取れば良いですし、相場が暴落したことで「もっと良い株に安く乗り換えるチャンス」があるかもしれません。筆者も先日の暴落で資産評価額が1000万円も下がりましたが、「これはチャンスだ」と株を乗り換えたり、買い増したりしたので、かえってポートフォリオは盤石になりました。基本が分かっている投資家にとって、相場の暴落はむしろチャンスです。
株式投資を続けているかぎり、この手の暴落は避けられません。どっしりと腰を据えて、長い目で見て最高のポートフォリオを組むことを目指してみてはいかがでしょうか。
文:中原 良太(個人投資家・トレーダー)
18歳に株を始め、25歳でYahoo!株価予想達人で「ベストパフォーマー賞」を受賞。主に株式投資とマネー(お金)についての情報をSNSやYouTube、メルマガなどで発信。IQ上位2%のMENSA会員。
文=中原 良太(個人投資家・トレーダー)