伊藤園お~いお茶杯第66期王位戦(主催:新聞三社連合、日本将棋連盟)は予選が進行中。9月25日(水)には計2局が行われました。このうち、関西将棋会館で行われた第6ブロックの石川優太五段―福間香奈女流五冠戦は95手で石川五段が勝利。序盤のリードを生かして好スタートを切りました。

枠抜けまではあと4勝

石川五段は本局から、福間女流五冠は安用寺孝功七段に勝っての登場。両者の初手合いとなった本局は、駆け引きのすえ後手の福間女流五冠が四間飛車を採用して幕を開けました。早めに玉側の端歩を突き越したのがその主張ですが、先手の石川五段はこれにより振り飛車の駒組みに若干の遅れが生じた点を見逃しませんでした。

さっそく9筋で香交換を目指したのが石川五段決断の一手。直後に田楽刺しの筋がチラつくようでも、角を取らせる代償に桂を活用できれば、地下鉄飛車の筋も相まって先手有利になります。実戦で福間女流五冠が7筋の歩突きで反発したのは自然な応対ですが、本局はここから石川五段の見事な対応を見るばかりとなりました。

寄せの決め手は「ロケット香」

角銀の協力で盤上左方から襲い掛かった福間女流五冠の攻めは迫力満点ながら、金取りを手抜いて7筋の香のほうを取ったのがうまい対応。手順に銀を前進させながら手にした香を8筋に据えれば玉頭からの敵玉攻略が見えてきます。石川五段は直後に香を重ねる「ロケットの香」で後手玉への寄せの照準を絞りました。

優勢に立った石川五段の攻めに迷いはありませんでした。終局時刻は18時31分、最後は自玉の受けなしを認めた福間女流五冠が投了。一局を通じて一度も相手に形勢の針を譲らなかった石川五段の快勝譜となりました。次戦では予選ベスト4入りを懸けて黒田尭之五段との対戦が予定されています。

水留啓(将棋情報局)

  • 石川五段はこれで公式戦3連勝と好調をキープ(未放映のテレビ対局を除く)

    石川五段はこれで公式戦3連勝と好調をキープ(未放映のテレビ対局を除く)