高額なiPadシリーズを購入する際は、慎重にモデル選びをしたいところ。これまでの記事では「チップ」「ディスプレイ」「カメラ」「コネクタ」という4つの重要ポイントを解説してきましたが、「iPadの賢い見極め方」の最終回となる今回は、一部の人にとってはもっとも大事となり得る「アクセサリ」について見ていきましょう。

iPadならではの醍醐味

iPadシリーズを購入する際、これまで一般的なパソコンを購入したことがあれば、チップやディスプレイ、カメラ、コネクタなどの仕様には自然と目が向くでしょう。しかし、その一方で忘れがちなのが「アクセサリ」です。一般的なパソコンではさほど重視されないこともあるアクセサリは、iPadシリーズでは絶対に購入時にチェックすべき重要なポイントです。

というのも、iPadはタブレットとしてだけでなく、キーボードを接続できるからこそ、ノートブックPCのように利用できます。また、Apple Pencilという特別なペンを使って手書き入力できるからこそ、これまでのパソコンとは一線を画した活用が可能です。

iPadシリーズはモデルによって利用可能な専用キーボードやApple Pencilが異なりますから、買ってから「あっ、自分のiPadでは使えなかった!」とならないように、しっかりと購入時にチェックしましょう。

  • iPadシリーズ購入時は、利用したいアクセサリの対応有無をしっかりと確認しましょう

Apple純正キーボードからチェック

現在ラインアップされているiPadシリーズではUSB接続の有線キーボードやBluetooth接続の無線キーボードなどを利用できますが、まず一番に購入を考えたいのがApple純正のiPad用キーボードです。

Apple純正のiPad用キーボードには、iPad Pro(M4)に対応した「iPad Pro用Magic Keyboard」(11インチ用4万9,800円/13インチ用5万9,800円)、iPad Air(M2)に対応した「Magic Keyboard」(11インチ用4万9,800円/13インチ用5万9,800円)、iPad(第10世代)に対応した「Magic Keyboard Folio」(4万2,800円)の3つがラインアップされています。

以前のiPad Pro(第6世代や第5世代など)では「Magic Keyboard」が対応キーボードとなっていましたが、現行のiPad Pro(M4)ではSmart Connector(マグネット端子)の位置が変わったため、同時にリリースされた「iPad Pro用Magic Keyboard」が対応キーボードとなっている点には注意が必要です。

また、iPad mini向けにはApple純正キーボードは発売されていないので、利用したい場合はサードパーティーから発売されているキーボードを利用することになります。

  • iPadをパソコン代わりに利用するならキーボードは必須です。Apple純正のiPad用キーボードについて詳しく知りたいなら専用Webページをチェックしましょう

iPad用キーボードの主な特徴の違い

これら3つのキーボードは名称だけでなく、仕様も異なります。そこで、AppleのWebサイトを元にそれぞれの主な特徴を比較表にまとめてみました。

  iPad Pro用Magic Keyboard Magic Keyboard Magic Keyboard Folio
対応iPad iPad Pro(M4) iPad Air(M2)、12.9インチiPad Pro(第3世代〜第6世代)、11インチiPad Pro(第1世代〜第4世代)、iPad Air(第4世代と第5世代) iPad(第10世代)
価格 4万9,800円/5万9,800円 4万9,800円/5万9,800円 4万2,800円
主な特徴 触覚フィードバックに対応した、より大きなトラックパッド
ファンクションキー搭載
耐久性の高いアルミニウム製のパームレスト&ヒンジ
バックライトキー搭載
キーの運びが1mmのシザー構造
Multi-TouchジェスチャーとiPadOSのためのカーソル
フローティングカンチレバーで最も見やすい角度にスムーズに調整
パススルー充電に対応したUSB-Cコネクタ
折りたたむとケースに変身
トラックパッド
バックライトキー搭載
キーの運びが1mmのシザー構造
Multi-TouchジェスチャーとiPadOSのためのカーソル
フローティングカンチレバーで最も見やすい角度にスムーズに調整
パススルー充電に対応したUSB-Cコネクタ
折りたたむとケースに変身
より大きなトラックパッド
ファンクションキー搭載
キーの運びが1mmのシザー構造
Multi-TouchジェスチャーとiPadOSのためのカーソル
角度調整なスタンド
ケース部分(スタンド)とキーボード部分が分離可能
iPadシリーズ向けに販売されている3つのApple純正キーボードの違いです

3つのキーボードを比較すると、キーのサイズやピッチ、マルチタッチジェスチャが可能なトラックパッド、ケースとしても使える点はすべてのモデルで共通しているため、キーボードの使い勝手が大きく異なることはありません。

ただし、iPad Pro用Magic Keyboardはパームレストやヒンジがアルミニウム素材でできていて耐久性が高いこと、トラックパッドが広く、触覚フィードバックに対応していること、また画面の輝度や音量の調整、検索や音声入力、再生コントロールなどをワンタッチで行えるファンクションキーが追加されている点がMagic Keyboardとの大きな違いです。iPad Pro(M4)かiPad Air(M2)かで迷っている場合は、この違いが自分にとって重要かを判断しましょう。

また、iPad Air(M2)かiPad(第10世代)かで迷っている場合は、バックライトキー(暗い場所でもキーボードが光るため操作しやすい)、パススルー充電(キーボード経由でiPadの本体を充電可能)を重視するならMagic Keyboard、ファンクションキーを重視するならMagic Keyboard Folioとなります。Magic Keyboard Folioはキーボードが本体とは分離される仕組みになっているため、たとえばリビングで使うときはキーボードを外して省スペースで利用できる点も見逃せません。

なお、キーボードの使い勝手を重視する場合は、iPadを立てかける際の角度調整のスムースさやキーボード自体のサイズや重さなども重要なポイントなので、できれば実物を触ってチェックしてみるといいでしょう。

  • iPad Pro用Magic Keyboardは、キーボード最上部にファンクションキーを搭載。触覚フィードバックに対応した広いトラックパッドを搭載しています

  • Magic Keyboardはもっとも古くにリリースされたものなので、ほかの2つと比べるとトラックパッドは小さ目でファンクションキーも搭載されていません

  • iPad(第10世代)と同時にリリースされたMagic Keyboard Folioはファンクションキーや広いトラックパッドを搭載しています

  • iPad Pro用Magic KeyboardとMagic Keyboardはヒンジ部分にUSB-Cポートを備え、パススルー充電に対応しています

  • iPad Pro用Magic KeyboardとMagic Keyboardはカンチレバー式のヒンジなので、ノートブックのように本体の角度調整が可能。一方で、Magic Keyboard Folioはケース部分の一部がスタンドとなっており、手動で角度調整を行います

  • Magic Keyboard Folioはキーボードを取り外せるのが魅力。使わないときは省スペースで利用できます。キーボードをたまにしか使わない場合は、こちらのほうが使い勝手は良いでしょう

Apple Pencilのモデルごとの特徴を比較

iPad向けのアクセサリとしてキーボードと並んでもう1つ重要なのが、Apple Pencilです。まるで紙に鉛筆で書くかのようにiPad上でメモを取ったり、絵を描いたり、書類に注釈を書き込んだりできるのは、これまでのパソコンにはない魅力です。

iPadではサードパーティ製のタッチペンを利用することもできますが、Apple Pencilは同じAppleが開発しているからこそ、書き心地や機能などが大きく違います。価格は決して安いとはいえませんが、できることなら一番に導入を考えたいところです。

現在ラインアップされているのは、「Apple Pencil Pro」(2万1,800円)、「Apple Pencil(第2世代)」(2万1,800円)、「Apple Pencil(USB-C)」(1万3,800円)、「Apple Pencil(第1世代)」(1万6,800円)の4モデル。それぞれ対応するiPadのモデルや搭載されている機能が異なりますので、こちらも比較表にまとめました。

  • 鉛筆を使うようなナチュラルな書き心地が特徴のApple Pencilがあれば、iPadをもっと活用できます

  Apple Pencil Pro Apple Pencil(第2世代) Apple Pencil(USB-C) Apple Pencil(第1世代)
対応iPad iPad Pro(M4)、iPad Air(M2)、iPad mini(第7世代 A17 Pro) 12.9インチiPad Pro(第3世代〜第6世代)、11インチiPad Pro(第1世代〜第4世代)、iPad Air(第4世代と第5世代)、iPad mini(第6世代) iPad Pro(M4)、iPad Air(M2)、12.9インチiPad Pro(第3世代〜第1世代)、11インチiPad Pro(第1世代〜第4世代)、iPad Air(第4世代と第5世代)、iPad mini(第6世代)、iPad mini(第7世代 A17 Pro)、iPad(第10世代) 12.9インチiPad Pro(第1世代と第2世代)、10.5インチiPad Pro、9.7インチiPad Pro、iPad Air(第3世代)、iPad mini(第5世代)、iPad(第6世代〜第10世代*アダプタ利用)
価格 2万1,800円 2万1,800円 1万3,800円 1万6,800円
ピクセルレベルの精密さ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
低レイテンシー ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
傾きを感知するセンサー ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎
圧力を感知するセンサー ⚪︎ ⚪︎ × ⚪︎
マグネットで取りつけ ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ×
ワイヤレスでのペアリングと充電 ⚪︎ ⚪︎ × ×
Apple Pencilによるポイント機能に対応 ⚪︎ ⚪︎ ⚪︎ ×
ダブルタップでツールを切り替え ⚪︎ ⚪︎ × ×
バレルロール、スクイーズ、触覚フィードバック、探す ⚪︎ × × ×
無料の刻印サービス ⚪︎ ⚪︎ × ×
現在販売されているApple Pencilの各モデルの主な特徴です

4つのApple Pencilの中で多くの人のファーストチョイスとなるのが、現行のiPadシリーズすべてに対応した「Apple Pencil(USB-C)」でしょう。Apple Pencilの基本機能をお求めやすい価格で体験できるスタンダードモデルで「ピクセルレベルの精密さ」や「低レイテンシー」対応によるスムースな書き心地を実現するほか、Apple Pencilを傾けてグラデーションなどのエフェクトをかけることが可能。また、Apple Pencilが画面に触れる位置を事前に表示するポイント機能(ホバー機能)にも対応します(ただし、iPad ProとiPad Airのみ)。

一方、Apple Pencilの先進的な機能をすべて提供するのが、もっともハイエンドな「Apple Pencil Pro」です。軽いタッチから強めのタッチまで圧力に対して自然に反応するセンサを搭載しており、ペン本体をダブルタップすることでツールを切り替えたり、バレルロール(軸を回転させて形の異なるペンツールとブラシツールの向きを変える)、スクイーズ(パレットを開いてツール、線の太さ、色を切り替え)、触覚フィードバック(スクイーズやタップなどのアクションに、触覚的な反応が返ってくる)などにも対応しています。Apple Pencilを頻繁に利用する場合や、緻密な絵を描いたりする際にはぜひチョイスしたいところですが、iPad Pro(M4)、iPad Air(M2)、iPad mini(A17 Pro)でしか使えませんので注意しましょう。

なお、Apple Pencil(第1世代)はLightningポートによって充電を行う古いモデルのiPad用なので選択肢からは基本的に外れます。ただし、iPad(第10世代)だけは1,480円で販売されているUSB-C - Apple Pencilアダプタを使ってペアリングや充電を行うことで使用可能です。

  • 2023年10月に発売開始されたApple Pencil(USB-C)は現行のすべてのiPadシリーズに対応し、基本機能を凝縮したスタンダードモデルです

  • 本体のキャップ部分を外すと現れるUSB-C端子にケーブルをつなげて充電やペアリングを行います

  • Apple Pencil本体はiPadの側面にマグネットで取りつけて保管できます

  • Apple Pencilのすべて機能を思う存分味わうなら、Apple Pencil Proがおすすめです。ただし、iPad Pro(M4)とiPad Air(M2)、iPad mini(A17 Pro)でしか利用できません

  • Apple Pencil Proの本体に内蔵されたセンサがスクイーズ(指で強く押した状態)を感知してツールパレットを表示するなど、さまざまな先進的な機能を搭載します

  • Apple Pencil Proのペアリング、充電、保管は、iPadの側面にマグネットで取りつけるだけで行えます

アクセサリから選ぶのもあり

ここまでApple純正のiPad用キーボードとApple Pencilについて解説してきましたが、自分が欲しいものは見つかったでしょうか。一般的なパソコンでは本体に目がいきがちですが、iPadの場合は自分が使いたいアクセサリを決め、それからiPad本体を選ぶという買い方もありでしょう。ここではiPad用キーボードとApple Pencilにしか触れませんでしたが、それ以外のもiPadシリーズ向けにはさまざまなアクセサリが発売されているので、それらもチェックしながら自分に最適なiPadを選んでください。