トヨタ、プリウスPHEVに選択の幅を広げる新グレード「G」を設定。装備厳選の買いグレードなのか!?

トヨタはプリウスのプラグインハイブリッド(PHEV)車にGグレードを新たに設定し、2024年10月1日に発売する。価格は390万円。

【画像】プリウスのPHEVがラインアップを拡充

これまでPHEVは、プリウスの最上級グレードに位置するZグレードのみだったが、Gグレードの設定で選択肢の幅が広がった。

新設定となるPHEVのGグレードの基本的な装備はハイブリッド(HEV)車のGグレードと同様となり、エクステリアにPHEVの専用意匠を採用する。

具体的には、金属調シルバー塗装のフロントロアグリルやグレースモークのリヤコンビネーションランプを採用するとともに、ホイールが195/50R19タイヤにPHEV専用意匠の19×6.5Jアルミホイール(切削光輝+ブラック/センターオーナメント付き)を装着する。

Gグレードは、Zグレード(FF・460万円)よりも70万円安となり、PHEV車がかなり求めやすくなったと感じられる。ちなみにHEV車のZグレードとGグレードでも50万円の価格差があるので、Zグレードは装備充実の上級グレード、Gグレードは十分な装備のスタンダードという関係性は変わりない。

とはいえ、ここまで価格差があると、Gグレードだと装備面に不満が出てしまうかもしれない。というわけでPHEVのZグレードとの装備差を見てみよう。

■見た目の差は黒パーツのツヤの有無くらい!?

外観ではまず、Zグレードはフロントバンパー両サイドにLEDアクセサリーランプが付く。そして、ホイールアーチモールディングやセンターピラーガーニッシュ、フロントロアグリルの一部、リヤバンパーロアがツヤありブラックだが、Gグレードはいわゆる材着色(無塗装)のブラックである。

■快適・安全装備でかなり差がある

 

内装などの装備については、以下がZグレードに標準装備される。《 》内はGグレードの装備

・フロントドアガラス(スーパーUVカット&IRカット機能・撥水機能付き・遮音性(合わせガラス)ガラス)《UVカット機能付きグリーンガラス》

・撥水機能付きフロントドアクオーターガラス(UVカット機能付き)《フロントドアクオーターガラス(UVカット機能付き)》

・自動防眩インナーミラー《防眩インナーミラー》

・合成皮革巻き3本スポークステアリングホイール(ステアリングヒーター・タッチセンサー付き)《合成皮革巻き3本スポークステアリングホイール》

・シート:運転席8ウエイパワースポーティシート(シートポジションメモリー、オートスライドアウエイ、電動ランバーサポート機能付き)&助手席4ウエイマニュアルスポーティシート

《運転席6ウエイマニュアルスポーティシート&助手席4ウエイマニュアルスポーティシート》

・シート表皮:合成皮革(ベンチレーション機能付き)《上級ファブリック》

・ダッシュサイレンサー(上級)《ダッシュサイレンサー》

・空調:ナノイーX《未設定》

・リヤヒーターダクト《未設定》

・ワイヤレス充電器《未設定》

・パワーバックドア《手動》

・12.3インチ ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)プラス

《8インチ ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)》

・オートヘッドライトレベリング《マニュアルヘッドライトレベリング》

・トヨタセーフティセンスの機能の内、緊急時操舵支援(アクティブ操舵機能付き)+フロントクロストラフィックアラート[FCTA]+レーンチェンジアシスト[LCA]《未設定》、アダプティブハイビーム[AHS]《オートマチックハイビーム》

このほか、LEDサイドターンランプ付きオート電動格納式リモコンドアミラー(ヒーター・ブラインドスポットモニター・パノラミックビューモニター・運転席アスフェリカルミラー付き)や、パノラミックビューモニター(床下透過表示機能付き)、ITSコネクト、ETC2.0ユニット(VICS機能・光ビーコンユニット付き)はZグレードに標準装備だが、Gグレードにはオプション設定されているのでアップグレードが可能だ。

悩ましいのは、ディスプレイオーディオは8インチタイプのみで、12.3インチの大画面タイプでナビ機能搭載の“プラス”を選択ができないところか(これもHEVと同様だが)。

それに、Zグレードでは、内装色でマチュアレッドを選べるが、Gではグラディエントブラックのみとなり、ボディカラーもZグレードは全6色から選択できるが、GグレードではエモーショナルレッドⅡとダークブルーを除く4色(プラチナホワイトパールマイカ、アッシュ、アティチュードブラックマイカ、マスタード)の設定となる。

上記のとおり、安全・快適系装備や見栄えの面に違いがあり、価格差にも表れている。そういった装備が必要ないのであれば、Gグレードはかなり魅力的に思えてくる。

■先進性を感じられる装備は付けられない

ただし、Zグレードにオプション装着可能なソーラー充電システムもしくはパノラマルーフ(手動シェード付き)、デジタルインナーミラー(前後ドライブレコーダー機能付き)、デジタルキーなどの先進性を感じられる装備はGグレードでは選べない。

もちろんこれらのオプション装備はそれなりにお高く、Zグレードに例えばソーラー発電システム(28万円高)、デジタルインナーミラー+前後ドライブレコーダー+カメラ洗浄機能ほか(8万9100円)、デジタルキー(3万3000円)を選ぶと約40万円がプラスされ、500万円超となってしまうのだ。

上記のようにGグレードを選ぶことで、先進性を感じられるオプション装備が選択できなくなるものの、安全・快適装備は十分備わっているから、プリウスのPHEVに興味があった人には朗報と言えるだろう。

■HEVの購入検討で、PHEVも視野に入る!?

最後にPHEVとHEVともにZグレードとGグレードが選択できるようになったので、ラインアップを見てみよう。

[PHEV]

〈2Lエンジン+モーター・電気式無段変速機〉

Zグレード:FF…460万円

Gグレード:FF…390万円

[HEV]

〈2Lエンジン+モーター・電気式無段変速機〉

Zグレード:FF…370万円、4WD…392万円

Gグレード:FF…320万円、4WD…342万円

〈1.8Lエンジン+モーター・電気式無段変速機〉

Uグレード:FF…299万円、4WD…321万円

※サブスクリプション「KINTO」(リース販売)のみ取り扱いの参考価格

上記のとおり、FFモデルは高いほうからPHEVのZ→G、HEVのZ→Gとなっており、Gグレードどうしでは70万円の差がある。PHEVはHEVに対して駆動用バッテリー容量アップのほか、車両側の充電装備や、付属充電装備、操作系のEV/HV制御スイッチ、ヒートポンプ式オートエアコンやビークルパワーコネクター付きアクセサリーコンセント仕様への変更、さらに外観の加飾の違いなどPHEV化した分が上乗せされているとみていい。

Zグレードどうしでは90万円の差がある。Gグレード同様のPHEV化分に加え、PHEVでは12.3インチ ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)プラスを装備するが、HEVではこれがオプションとなり、12.3インチ ディスプレイオーディオ(コネクティッドナビ対応)を標準装備することから、価格差が広がっているものとみられる。

PHEVはHEVよりも車両価格が高くなることや、自宅に充電設備を導入する必要があるなど、イニシャルコスト面ではHEVよりも不利になりがちだが、利用シーンがEV走行を軸とした短距離移動がメインという人にとっては、ランニングコスト面ではHEVよりも優位になるだろう。

また、国によるCEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入促進補助金 ※予算超過により早期に終了する場合がある)でPHEVは最大55万円の補助が受けられる。これを適用するとGグレードなら335万円となり、HEVとの実質的な購入価格の差も圧縮(HEVのGグレードより15万円高)されるし、地方自治体の補助金の対象となっていればさらに実質価格差が縮小する。

プリウスのHEVだけでなく、他メーカーの同等クラスのHEV車に対しても価格的な競争力を持つグレードであることはまちがいない。そういった点も含めてプリウスPHEVがより選択しやすくなったのではないだろうか。

〈ドライバーWeb編集部〉