Visaは9月24日、韓国人海外旅行者の今年上半期の対面決済データを前年同期と比較したレポートを公開した。
アジア太平洋地域での支出額は日本、ベトナム、オーストラリアが上位
韓国人のアジア太平洋地域における支出額の上位5カ国は上から順に日本、ベトナム、オーストラリア、タイ、グアムだった。特に、昨年4位だったオーストラリアは今年3位に浮上した。
日本は2023年に続き2024年も韓国人の旅行先のトップだった。顕著な傾向として、アジアにおける取引総額に占める日本の割合が昨年の39%から今年は48%に拡大した。これは、今年上半期の円安、韓国-日本間の直行便への期待などにより、日本が魅力的な旅行先となったことが理由。オーストラリアが4位から3位に浮上したのは、オーストラリアの主要都市に格安航空会社(LCC)の直行便が就航し、アクセスが向上したことや、より幅広くメディアに取り上げられたことが理由として挙げられる。さらに、中国、香港、マカオでも支出額が大幅に増加し、今年上半期の総支出額は昨年から急増した。2023年初頭に入国制限を解除した中国では、総支出額が約4倍となった。香港とマカオでも、総支出額が3倍となり、中華圏の人気の回復が伺える。
日本では「ショッピング」、ベトナムでは「宿泊施設」への支出が最大
決済データに基づく旅行先ごとの支出カテゴリの分析も行われた。韓国人の日本における支出は「ショッピング」がトップだった。特に、総支出額のうち、デパート(30%)、ディスカウント店(14%)、服飾雑貨(10%)の割合が高くなった。一方、宿泊施設はわずか6%と昨年から減少した。この変化は円安により宿泊コストが下がり、ショッピング支出が増えたことが原因だと考えられる。特にデパートとディスカウント店における支出はそれぞれ前年同期比で134%、102%増加し、いずれも2倍以上となった。
2位のベトナムでは宿泊施設(21%)への支出が最大で、昨年から60%増加し、リゾート地としての人気が改めて示された。ベトナムはフードツーリズムでも評価が高く、レストランにおける支出が総額の17%を占めた。
3位のオーストラリアでは、スーパー(16%)とレストラン(14%)における支出が最も高くなった。また他のアジア太平洋地域の国と異なるユニークな傾向として、医薬品(12%)の占める割合が相対的に高く、サプリメントやOTC薬が地域の特産物として人気を集めているようだ。
欧州とオーストラリアでは交通系カードが必要なくタッチ決済が主流
韓国人海外旅行者の、国外でのVisaのタッチ決済データも分析した。タッチ決済は韓国ではやっと普及し始めたばかりだが、海外ではすでにここ数年、一般的となっている。旅行時に素早く便利なタッチ決済を利用する韓国人海外旅行者が増えている。
英国では決済の85%がタッチ決済で行われ、スペイン、イタリア、フランスなど西欧各国でもタッチ決済が取引の70~80%を占めている。オーストラリアでも80%以上の高い割合となっている。アジアでは欧州よりタッチ決済の普及が遅れているが、昨年と今年を比較すると顕著に上昇。人気の旅行先におけるタッチ決済の利用は大きく拡大し、日本では11%から29%、ベトナムでは15%から33%、タイでは24%から35%へと顕著な成長を見せている。さらに、交通系カードを別途購入しなくても、持っているカードで公共交通機関の運賃をタッチ決済で支払うことが可能なオープンループの公共交通システムの利用率は特に高く、タイ、オーストラリア、英国では90%を超えている。
Visa韓国のカントリーマネージャーのパトリック・ストーリー氏は、「韓国人の海外旅行の傾向がわずか1年で大きく変化したことは瞠目に値します。特に、外国でタッチ決済を体験し、帰国後も好ましい決済方法として利用したいと考えていただけるようであれば、オープンループシステムを含むVisaのタッチ決済の基盤の開発につながり、さらに弾みがつくと期待しています」と述べている。