みなさんはお金を使うときに、何か基準があるでしょうか。楽しく貯めている人は「未来」のためにお金を使っている人が多いのです。今回は、「過去」「現在」「未来」にお金を使うことについてお伝えします。

◆「現在」「過去」「未来」のどこに向かって、お金を使っている?

みなさんはお金を使うときに、どんな基準で使っているでしょうか。「ワクワクするもの」「周りの人を喜ばせるもの」「思いつき」などさまざまな基準があるかと思いますが、今回はちょっと違う軸で考えてみましょう。

それは、「過去」「現在」「未来」の3つのうち、どこに向かって使うか、ということです。「1000万円以上を楽しく貯めている人」は、この3つのうち「未来」に使っている人がとても多いのです。

◆「未来」へのお金が増えれば、収入も貯蓄もアップしていく

普段使っているお金のなかで、「未来」のために使っている割合はどれくらいでしょうか。

仕事に役立つことを勉強したり、語学を学んだりすることは、将来必ず生きてくるはずですから「未来」へのお金となります。健康への投資も「未来」へ向かっていますよね。寄付も、誰かの未来を変えることになるので「未来」へのお金といえるでしょう。

また、「将来○○をしたい」という目標に向かって、お金を貯めていくこともそう。つまり、“貯蓄”も「未来」へのお金になるのです。

未来へ向かって使うお金が増えると、新しいチャレンジができ、自分のスキルや魅力がアップ。将来、収入も貯蓄もさらにアップする好循環になりますよね。

これまで取材をしてきた1000万円以上を楽しく貯めている人は、これらのように「未来」にお金を使うことが多いのです。

例えば洋服を買うときに、衝動的に「現在」の気持ちのおもむくまま買ったり、「過去にイヤな想いをして、悔しかったから」などという「過去」への気持ちで買ったりすることはほとんどありません。「将来の自分が、こんなふうになれたらいいな……」と、「未来」への気持ちで買っています。

◆自分の出費を「過去」「現在」「未来」の3つに当てはめてみよう

では、さっそく、日々の出費について「過去」「現在」「未来」の3つのどれに当てはまるかを考えてみましょう。

例えば、スキルアップや将来の転職、独立のための投資なら「未来」のお金になります。疲れていてやけくそになって(笑)、暴飲暴食に走るようなら、過去の清算といった意味合いで「過去」のお金の使い方になるかもしれません。

今をめいっぱい楽しむなら「現在」になりますが、時間がたって思い返して、楽しく価値あるものだと感じれば「未来」へのお金ともいえるでしょう。

例えば温泉につかってゆったりする場合、過去と現在の疲れを癒やし、自分自身のことを見つめ、明日からの活力につながれば「過去・現在・未来」のすべてが幸せになりますよね。

「未来」へ使うことが増えれば、これまでがんばって稼いできた大切なお金を、何倍もの価値に増やすことができます。お金を使うときに「過去・現在・未来のうち、どれのためかな?」と、時々考えてみてください。

◆ただし「貯蓄しすぎ」という人は、要注意!

でも、注意点もあります。それは、貯蓄が第一目標になってしまうタイプの人です。

貯蓄とは、本来「未来」への投資のはずですが、貯蓄を優先するあまり、とにかくお金を使わないというケースもあります。いくらお金が貯まっても、結局貯蓄を使うことがなく、(お金があるのに)お金を使わない人生……となってしまうことも。

「未来」のための「現在」が生き生きとしていないのは、もったいないことですよね。

「現在」から「未来」は、“地続き”です。「未来」をできるだけ具体的に意識すると、今持っているお金の使い方が変わってきます。

「老後が不安」と言って、目標金額もなくひたすら貯めこんでいっても、不安はなかなか解消されません。

「今の生活費がどれくらいで、老後はどのような生活をしたいと思っていて、年金はどれくらいもらえそうだから、65歳までにこれだけ貯めよう」などと具体的にイメージすれば、目標額が明確になり、今の迷いがなくなるでしょう。

以上、楽しく1000万円を貯めているような人は「未来」に向けてお金を使うことが多いことと、自分の出費を「過去」「現在」「未来」の3つにわけて考えてみることの大切さについてお伝えしました。

未来に向かってお金を使っていけば、自分の未来は今よりもっとよくなるはず。お金のことは複雑に考えると面倒になってしまうので、まずはシンプルに「過去」「現在」「未来」の3つの軸で考えてみてくださいね。

文:西山 美紀(ファイナンシャルプランナー)

出版社に勤務し、編集・マーケティングに携わった後、フリーライターとして独立。女性誌やビジネス誌などで、貯蓄法や子育てにかかるお金の貯め方などをテーマに取材し、原稿・コラム執筆などを行っている。

文=西山 美紀(ファイナンシャルプランナー)