オンラインのWeb会議は、コロナ後もすっかり浸透しました。さまざまなWeb会議を経て分かったのは、「映像よりも音声の品質が重要で、音声がクリアに聞こえづらいと相手に与える印象が悪くなるし、相手のモチベーションも下がる」ということ。その課題をクリアすべく、AIを利用して音声をクリアに収録するAIノイズキャンセリング機能を備えた高性能Webカメラ「Insta360 Link 2」シリーズをInsta360が発表。極限の状況でもなめらかに撮影できるアクションカメラのように、周囲がかなり騒々しい状況でも自身の声だけをしっかり拾ってくれました。
ジンバルの簡略化で1万円以上安く、ジンバルなしの「Link 2C」も追加
アクションカメラや360度カメラで知られるInsta360は、コロナ禍の2022年8月に初のWebカメラ「Insta360 Link」を投入。1/2インチの大型センサー搭載カメラを3軸ジンバルに備えた異色のハイスペックが特徴で、人物の顔を認識してカメラが自動的に人物を追いかけつつ、大型センサーで人物を精細に映し出してくれました。ただ、あまりのハイスペックだけに価格が45,800円とWebカメラとしては高価だったのが課題でした。
2世代目として今回発表したのが、ジンバルを搭載した高性能モデル「Insta360 Link 2」と、ジンバルを省略したスタンダードモデル「Insta360 Link 2C」の2機種。価格は、Insta360 Link 2が33,000円、Insta360 Link 2Cが25,800円と、だいぶ手ごろになりました。ジンバルを搭載するLink 2が従来より1万円以上安くなったのは、ジンバルが従来の3軸から2軸に簡略化され、回転方向の可動機構がなくなったためです。両者の大きな違いはジンバルの有無で、センサーや機能など基本的な部分は共通です。
従来からの変更点として、ノートPCに固定するスタンドとカメラ部が別々のパーツとなり、スタンドとは磁力で固定するようになりました。カメラ側とスタンド側の両方が磁石となっているため、カメラ単体で鉄の部分に固定できるようになりました。
センサーは従来のInsta360 Linkと同じ1/2インチタイプを継承しますが、HDRなどAIによる画像チューニングが施された分、従来よりも画質を向上したとしています。従来モデルと同様に、位相差AFも搭載します。
9:16比率の縦長動画を撮影するポートレートモードにも対応しており、別売の三脚を使えばショート動画の撮影やモバイル向けのライブ配信も容易になります。横長の映像をクロップして縦長にするのではなく、4K/30pのフル画質で縦長動画が撮影できるので、縦長動画でもクオリティを追求したい人も満足できます。
マイクの改良で周囲の騒音を取り除けるように
今回大きく改良されたのがマイク。マイク自体はモノラルですが、上部の開口部を見ると従来よりも大型化されたようで、基本的な音質をアップ。さらに、AIを用いた3種類の高音質化機能を新たに追加したのがポイント。静かな環境で自分の声をより明瞭にする「ボイスフォーカス」、AIが周囲の騒音や人の声を除去する「声の抑制」、ライブなどで周囲の音と自分の声を両方ともバランスよく収録する「音楽モード」の3種類です。
周囲が騒々しい状況で「声の抑制」にすると、自分が話し出した途端に自分の声のみをとらえるようになり、周囲の騒音がフィルタリングされて聞きやすくなりました。自分の声はデジタル処理された感じになりますが、確実に自分の声だけを相手に届けられるため、静粛な状況が確保できない状況でミーティングや商談をする機会の多い人には有用だと感じます。
コスパの高いLink 2C、謎の進化を遂げそうなLink 2
2機種のラインナップになったInsta360 Link 2シリーズ、やはりジンバル搭載のInsta360 Link 2が目を引きますが、2万円台半ばで購入できるInsta360 Link 2Cはバランスのよさが光ると感じます。人物の追従はデジタルズームとなるので多少動きがぎこちないものの、動き回ることのないWeb会議であればInsta360 Link 2とそん色のない性能が得られます。
ちなみに、ジンバル搭載のInsta360 Link 2の底面には、標準で付属する台座では使われない謎の端子とくぼみが用意されています。Insta360の担当者によると「ほかの製品やアクセサリーと組み合わせて使うためのインターフェースで、対応アクセサリーは開発中」とのこと。将来的には、Insta360 Link 2が単独で動作するジンバルカメラとして使えるようになるかもしれません。将来性を買うなら、Insta360 Link 2を奮発するのもアリです。
WebカメラはほとんどのノートPCに搭載されていますが、MacBookシリーズなど一部の機種を除けば「画質や音質、使い勝手は最低限の性能しかない」ことを忘れてはなりません。ビジネスや就職、面接などで相手によい印象を与えたいと考えるならば、ちょっといい靴やスーツ、筆記用具を揃えるように、Webカメラもいいものを備えておくのも悪くないでしょう。