積水ハウスは、「男性育休白書2024」の調査結果を発表した。調査期間は2024年6月14日~6月26日。対象となったのは、全国47都道府県別に、配偶者および小学生以下の子どもと同居する20~50代の男女200人の計9,400人(人口動態に基づきウエイトバック集計。なお、男性の家事・育児力ランキングについては人口動態+12歳未満のお子さまとの同居率もウエイトバック値に加味)、従業員10人以上の企業の経営者・役員、部長クラスの男女400人、有職かつ一般社員クラスの20代~50代の男女800人であった。なお、構成比(%)は小数第2位以下を四捨五入しているため、合計しても100%にならない場合があるという。

育休を取得した男性は27.3%であり、2019年(9.6%)から2.8倍増え、取得率は過去最高を記録する結果となった[図1]。また、男性の育休取得日数は平均29.9日であり、2019年(2.4日)から12.6倍も長くなり[図2]、育休を取得した男性の取得期間は「1カ月以上」(49.7%)が約半数を占めた[図3]。

平均取得日数が伸びた要因として、6年前と比べ1週間未満の人が63.7%から27.5%と36.2ポイント減り、6カ月以上の人が3.4%から26.1%と22.7ポイントも増えていることが挙げられるという。

男性が育休を取得し、2人以上の子どもがいる人に2人目以降の育休取得について聞くと、「2人目以降で初めて育休を取得」した人が36.8%と多い結果となった[図4]。「以前と比べて育休を取る人が増えたから」(女性36歳)、「会社の理解が良くなったから」(男性39歳)など、社会全体が育休を取りやすい環境へと変化していることがうかがえる。

また、1人目も2人目以降もどちらも取得した人の2人目以降の平均取得日数は、129.9日と長期化していることがわかった[図5]。「1人目を経験して少しでも長く取得した方がいいと思ったから」(男性34歳)、「子どもの成長を共に感じたかったから」(女性27歳)など、1人目の経験による気付きや、「子どもが2人になり、妻の負担を減らすため」(男性31歳)といったパートナーの負担軽減などが2人目以降の育休取得の動機に挙げられた。社会が変化し育休を取得しやすくなったことに加え、男性の「育休を取得したい」という気持ちが長期化の大きな要因となっていることがうかがえる。

育休取得後に会社に復帰した男性に職場での変化について、育休取得が「1週間未満」「1週間~1カ月未満」「1カ月~6カ月未満」の男性で比較した。

「職場の子どもがいる人へより一層配慮するようになった」(1週間未満27.9%、1カ月未満20.3%、6カ月未満35.0%)や「職場でお互い様という気持ちや行動が増した」(1週間未満22.5%、1カ月未満 18.9%、6カ月未満25.7%)などの思いやりの気持ちは育休取得1 週間未満でも芽生えるのに対し、「育休取得予定者の男性に育休を充実させるためのアドバイスをした」(1週間未満11.2%、1カ月未満18.5%、6カ月未満21.3%)、「チームの業務の棚卸や分担の見直しをした」(1週間未満10.5%、1カ月未満21.6%、6カ月未満16.8%)、「自部署において効率的な働き方ができるようになった」(1週間未満10.1%、1カ月未満17.8%、6カ月未満18.1%)などの働き方に関することは、取得日数が「1週間以上」で、より意識が高まる傾向がみられた[図6]。

夫が育休を取得した女性の意識の変化について、取得期間別で比較した。

夫の育休取得日数が「6カ月以上」と答えた女性が多く、「夫婦間での家事・育児のチーム意識が強くなった」(41.8%)、「夫との関係が良好になった」(34.2%)など家庭内の円満さに加え、「仕事への意欲が増加した」(22.8%)、「自身のキャリアアップを前向きに考えるようになった」(20.9%)「自分の仕事の時間を 増やしたり、幅を広げたくなった」(26.1%)など、女性の働く意欲も高めていることがうかがえる[図7]。

男性が育休を取得しても、家事・育児を行わない「とるだけ育休」という課題もあるという。

自身が育休を取得した男性と夫が育休を取得した女性に、取得した育休が「とるだけ育休」かどうか聞くと、男性は34.8%、女性は42.0%が「男性が取得した育休は”とるだけ育休“」と答えている。男性の育休取得が「とるだけ育休」になっていると感じる女性が、男性の認識以上に多くなっていることがわかった。育休取得日数が長くなると、男性の「とるだけ育休」意識は低下するものの、女性は夫の育休取得日数が「1カ月以上」でも、約4割(38.6%)は「とるだけ育休」と感じていることがわかった[図8]。

「とるだけ育休」の認識別に育休期間中の満足度を見ると、夫が「とるだけ育休」と思わない女性は満足度が高いのに対し、「とるだけ育休」と思う女性の満足度は低くなっていることがわかった。一方男性は、「とるだけ育休」と思う・思わないで満足度(思う64.3%、思わない66.4%)に変化はなく[図9]、家事・育児の夫婦での分担割合についても、男性は自分がやっているという意識(思う36.3%、思わない37.1%)に差はなかった[図10]。

男性は自分が取得した育休が「とるだけ育休」と認識していてもいなくても、育休中の満足度は変わらず、家事・育児の分担意識も変化していない。男性は「とるだけ育休」と分かっていても、育休を取得したこと自体に満足している人もいるようで、家事・育児への影響は限定的であることがうかがえる。

積水ハウスでは2019年より、男性の家事・育児力調査を行っています。独自に設定した4つの指標(女性の評価、育休取得経験、家事・育児時間、家事・育児参加による幸福感)を都道府県別に集計した結果、全国1位は「沖縄県」(220点/前年7位)、2位は同スコアで「秋田県」(193点/前年46位)と「鹿児島県」(193点/前年28位)となった。秋田県は前年から大きく浮上する結果となった。