◆Q. 女性に多いがんは? 特に注意すべきなのは乳がんと子宮がんでしょうか
Q. 「親戚の女性で、乳がんになった人と、子宮頸がんになった人がいます。がんには性差があると聞きましたが、女性として特に注意した方がいいのは、やはり女性ならではの臓器にも関わる乳がんと子宮がんの2つなのでしょうか?
がんは自分も他人事ではないと思っているので、何か予防に役立つアドバイスがありましたら、教えてください」
◆A. 特に多いがんは5つ。効果的な予防法と早期発見のポイントを押さえましょう
男女ともにがんに罹患する人はとても多く、日本における死因のトップはがんが占めています。また、意外に思われるかもしれませんが、女性に多いがんは乳がんと子宮がんの2つではありません。
たしかに乳がんにかかる方は非常に多いですが、女性の場合、がん全体の70%以上は、次の5つです。
1位 乳がん
2位 大腸がん(直腸がん・結腸がんを含む)
3位 肺がん
4位 胃がん
5位 子宮がん
(国立がん研究センターが発表している、2020年に新たに診断されたがん統計による)
がんはあらゆる臓器にできる可能性がありますが、「がん予防」を考える場合、まずは特に多いこれらの5つのがんを念頭におき、予防と早期発見に向けた対策を考えるのがいいでしょう。
医学的に効果がある予防法、医師としておすすめしたいがんの早期発見法は、次の5つです。
1. 喫煙習慣がある場合は、禁煙する
2. 慢性的な便通異常や月経異常がある場合、病院を受診する
3. ダイエットをしていないのに体重が減っている場合も、病院を受診する
4. 乳房の自己触診を行う
5. がん検診を活用する
がん検診においては、受けっぱなしにするのではなく、もし何らかの検査結果の異常を指摘された場合には、放置しないことも大切です。結果の指示に従い、必ず医師の診察を受けるようにしましょう。
検査結果で異状が指摘されても、「何も自覚症状がないから大丈夫だと思う」「忙しいので落ち着いてから行こう」と考え、再検査を受けずに、時間が経過してしまうケースは珍しくありません。
このほかにも、自分の体のことで不安なことや、何らかの自覚症状がある場合は、かかりつけ医に相談することが大切です。
■参考
・がんの統計2023(PDF)(公益財団法人 がん研究振興財団)
◇狭間 研至プロフィール
大阪大学医学部卒。日本外科学会 認定登録医。大阪大学医学部付属病院、大阪府立病院などで外科・呼吸器外科診療に従事した後、現在は地域医療の現場で医師として診療を行う。ファルメディコ株式会社 代表取締役社長。医療法人嘉健会思温病院理事長。外科医、地域医療、薬局運営の豊富な経験から、医療と患者さんの橋渡しとなる分かりやすい医学情報発信を行っている。
文=狭間 研至(医師)