三菱電機は、イタリアの子会社「三菱電機クリマット・交通システム(MEKT)」が「自然冷媒R290(プロパン)」を使用した鉄道車両用空調装置1,350台をドイツのシーメンス・モビリティから受注したと発表した。
鉄道車両向けにR290を使用した空調装置の受注は、日系企業として初めてだという。今回受注した空調装置は、ドイツ・ミュンヘンの近郊車両S-Bahn新型車両に搭載される。
S-Bahn新型車両は、今後予想される乗客数の増加に対応するため投入。輸送能力向上に加え、DXの活用で消費電力や保守費用を抑制するなど、さまざまな設備を新たに採用する予定で、空調設備もそのひとつとされている。
現在、鉄道車両用空調装置向けの冷媒として広く使用されている「R407C」「R134a」などの代替フロンは、地球温暖化係数(GWP)が高く、環境負荷が大きいことが問題視されている。一方、R290はGWPが低い新しい冷媒として注目されている反面、燃焼性に対応するため、設計・設置時に安全対策が必要となる。MEKTは、R290に対する安全性を確保した設計を行うことで、シーメンス・モビリティからの受注を獲得したという。
鉄道車両用R290空調装置1,350台の内訳は、運転台用180台・客車用1,170台(13両×90編成)。2025~2031年度にかけて順次納入する。