テレビ画面を注視していたかどうかがわかる視聴データを独自に取得・分析するREVISIOでは、15日に放送されたNHK大河ドラマ『光る君へ』(総合 毎週日曜20:00~ほか)の第35話「中宮の涙」の視聴者分析をまとめた。
一条天皇、彰子の突然の告白に絶句
最も注目されたのは20時33分~34分で、注目度80.9%。中宮・藤原彰子(見上愛)が自身の殻を破り、一条天皇(塩野瑛久)に想いの丈をぶつけるシーンだ。
「光る君に引き取られて、育てられる娘は、私のようであった」彰子は唐突に、まひろ(吉高由里子)に対してそう言った。つい先ほどまで、彰子とその女房たちは『源氏物語』について語り合っていた。宮の宣旨(小林きな子)が女房たちに装束の手入れを命じ、その場が解散となった直後のことである。
「私も幼き頃に入内してここで育ったゆえ」「そうでございますか…」まひろは彰子に向き直る。「この娘は、このあとどうなるのだ?」「今、考えているところでございます。中宮様は、どうなればよいとお思いですか?」彰子は物語の中の娘の行く末が大層気になっているようだ。自身の身の上と重なる部分が多いからだろう。「光る君の妻になるのがよい」しばらく考えを巡らせたのち、彰子は言った。「妻になる…なれぬであろうか? 藤式部、なれるようにしておくれ」彰子の態度は真剣そのものだ。まるで我がことのように懇願した。「中宮様。帝にまことの妻になりたいと、仰せになったらよろしいのではないでしょうか? 帝をお慕いしておられましょう?」まひろは彰子の意を汲み取り、真摯(しんし)に答えた。
「そのような…そのようなことをするなど、私ではない」「ならば、中宮様らしい中宮様とはどのようなお方でございましょうか。私の存じ上げる中宮様は、青い空がお好きで冬の冷たい気配がお好きでございます。左大臣様の願われることも、ご苦労もよく知っておられます。敦康親王(渡邉櫂)様にとっては、唯一無二の女人であられます。いろいろなことに、ときめくお心もお持ちでございます。その息づくお心の内を帝にお伝えなされませ」戸惑う彰子に、まひろは優しく、自分の想いを伝えることの大事さを説いた。彰子の頬に一筋の涙が流れる。
「お上のお渡りでございます」宮の宣旨の声が響いた。一条天皇は彰子とまひろのいる部屋に入ると、「敦康に会いに来たが、おらぬゆえ…」と、彰子に来訪の意を告げようとした。「お上!」「ん?」彰子は彰子に似つかわしくない大きな声で、一条天皇の言葉をさえぎった。一条天皇は彰子の顔をのぞく。「お慕いしております!」彰子の突然の告白に、一条天皇は絶句した。かみ合わない2人の様子を、まひろはぼう然と眺めるしかできなかった。彰子の瞳からはひたすらに涙があふれている。「また来る」あまりに突然の出来事に動揺した一条天皇は、そう言って去ってしまった。残された彰子は泣きむせぶが、まひろにはかける声が見つからなかった。
見上愛の迫真の演技に「激烈直球告白最高だった!」
注目された理由は、彰子を演じる見上愛の迫真の演技に、視聴者の視線が「くぎづけ」になったと考えられる。
12歳で一条天皇に入内した彰子だったが、奥ゆかしい性格が災いして夫との距離が縮まることはなかった。藤壺の火事という一大イベントや、まひろとの出会いを経て、徐々に感情を表に出せるようになるまで成長していく姿を、見上は絶妙な演技で表現してきた。今回のシーンはあり得ないタイミングで涙を流しての告白だったが、その鬼気迫る演技にはとても引き込まれるものがあった。
X(Twitter)では、「彰子さまの激烈直球告白最高だった!」「これからの彰子さまの成長も楽しみ!」「彰子さまの涙の告白に射抜かれた視聴者は多いはず」などと、見上の演技に称賛が集まった。また「定子(高畑充希)さまに清少納言(ファーストサマーウイカ)がいたように、彰子さまにも藤式部という強力な味方がいるのが心強い」「定子さまとききょうの関係もよかったけど、彰子さまとまひろの関係もすき!」といった、2人の中宮と女房の関係を比較したコメントも見られた。
彰子を演じる見上は、中学2年の時に演劇好きの両親に連れられて観た舞台をきっかけにお芝居に興味を持ったそうだ。2021年に放映された『きれいのくに』では、容姿にコンプレックスを抱く女子高生を見事に演じきり注目を集める。2022年に放映された『liar』では佐藤大樹とW主演を務め、先輩社員に振り回されつつ、次第に惹かれていく新入社員を巧みに表現して視聴者をひきつけた。2024年に公開された映画『不死身ラヴァーズ』で映画単独初主演を務め、「好き」という想いを胸に秘めて、迷いなく全身全霊で突き進む女性を演じた。現在23歳だが実績十分の見上がこれから彰子をどのように演じていくのか注目だ。