女優の清野菜名が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に2回目の挑戦。担当したのは、22日・29日の2週にわたって放送される『東京 三姉妹物語~地酒と涙と夢の行方~』だ。

再開発が進む巨大団地。“シャッター商店街”の一角に、多くの客が詰めかける酒店がある。東京・赤羽駅から歩いて20分。この地で創業75年の「三益酒店」。全てがうまくいっているように見える三姉妹の店だが、大きな変化を迎えようとしていた。清野は経営方針をめぐり時にぶつかり合う三姉妹の姿と絆に「自分も学ぶところがありました」と語る――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した清野菜名

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した清野菜名

「“違うぞ”とぶち当たったところから気づきが生まれる」

「三益酒店」の店頭には全国各地の酒蔵から仕入れたレアな地酒が並び、店のとなりに併設された「角打ち」で“酒のさかな”と共に楽しめる。店の評判は広まり、いまや全国からたくさんの人々がやってくる人気店に。そんな酒店を切り盛りする三姉妹に、清野は「三姉妹が3人ともしっかりと責任感と信念を持っているということを強く感じました」と感銘を受けた様子だ。

「三姉妹の結束が素敵で私もすごく応援したくなりました。三代目を継いだ長女・美保さんが店全体に目配りし、仕入れ担当の次女・由美さんは酒蔵の熱い思いを客に届け、三女・美香さんは“角打ち”を担当。各役割がちゃんと分かれていて、衝突なんかもあるんだけど、タイプも性格も本当に違うお三方が、こんなに頑張ってきれいにお店を回せるのがすごくいいなって」

そんな中、三姉妹は店のさらなる発展を見据えて、「三益酒店」の2号店を出そうと動き出す。

「未経験のことですので、私には分からないこともありますが、あえて言わせてもらえれば、お酒を売ると一言で言っても、まずお酒を知るという勉強も大切だし、いろいろな努力が必要」と感想を述べた上で、「私はなにか新しいことに挑戦する時、とりあえず勇気を持って飛び込んでみると思います。まずは行動を起こさないと違和感にも気付けないですし、“違うぞ”と思ったところから発見もあるでしょうし」と自身の人生観と重ねる。

  • 「三益酒店」の三姉妹 (C)フジテレビ

これまで交わらなかった人生の難しさ

壁にぶち当たることや、うまく行かないこともあるから“今”がある。この三姉妹と同じように、誰もがその経験の積み重ねで現在地に立っているのだろう。それは清野もそうだ。「なるべく思い切って行動するよう心がけています」と前を向きつつ、「それでも悩んだ時はゆっくりと考えます」と立ち止まったりすることも告白する。

「そうして悩んでいる間に自分の中ではある程度の答えが見つかっているんです。でもその上で、誰かに相談したいというような想いも。自分がどうしたいのか、決まっているのに誰かにどう思うか聞いてしまう。相談してしまう。自分でもよく分からないのですが、次女の由美さんのように勢いで行く面と、長女の美保さんのようにじっくり考えていく、その両面と似て非なるものを持っているのかもしれません」

人手不足を補うために、家族・親族以外の人を初めて社員として迎え入れることにした三姉妹。「家族経営」でやってきたこれまでのやり方が通用しない……店の方針を巡り、事あるごとに、姉妹で言い争いとなることも増えていく。そんな三姉妹の映像に愛情を込めながら、丁寧に言葉を吹き込んでいった清野。

「自分がこれまで生きてきてなかなか交わらなかった人生の難しさが見られた」と、どこか一皮むけたような、さっぱりとした笑顔が印象的だった。

  • 角打ち「三益のとなり」(C)フジテレビ

●清野菜名
1994年生まれ、愛知県出身。07年にデビューし、14年に映画『TOKYO TRIBE』でのヒロイン役で第36回ヨコハマ映画祭最優秀新人賞を受賞。近年では、第35回日刊スポーツ映画大賞 助演女優賞、第65回ブルーリボン賞 助演女優賞、22年公開の映画『ある男』『キングダム2 遥かなる大地へ』の2作品で第46回日本アカデミー賞優秀助演女優賞を受賞した。近年の出演作にドラマ『シロでもクロでもない世界で、パンダは笑う。』『神様のカルテ』『婚姻届に判を捺しただけですが』『日曜の夜ぐらいは…』、映画『今日から俺は!!劇場版』『キングダム』シリーズ『耳をすませば』『ある男』など。