日本銀行は9月20日の金融政策決定会合で金融政策の維持を決定。MFSが運営する住宅ローン比較サイト「モゲチェック」が、分析レポートを公開しました。
モゲチェックでは、今後も追加利上げが行われ変動金利が緩やかに上昇する可能性はあるものの、借りすぎには注意するという前提のもと、低金利の変動金利が有利と考えています。今回の分析レポートでは、そのポイントを解説します。
日銀の金融政策とマイナス金利解除・追加利上げの影響
日本銀行(以下、日銀)は2016年以降、「短期金利」と「長期金利」を操作する形で「異次元の金融緩和」を進めてきました。具体的には、短期金利をマイナス0.1%に設定し、大規模な国債買い入れを行うことで長期金利を抑制してきました。
今年に入って日銀は短期金利の誘導目標をマイナス金利から実質的なゼロ金利に変更し、さらには7月に0.25%への追加利上げを決定しました。長期金利に関しても、国債買い入れを段階的に減少させる方針が示され、今後の金利上昇圧力が予想されています。
これは、日銀が目指す「2%の物価安定目標」が実現可能になりつつあるためであり、世界的な物価高の動きが背景にあります。日本では最近、賃金の上昇も見られ、景気を下支えするための大規模な金融緩和が必要ではないとの判断が広がっています。
今後の変動金利の展望
9月の金融政策決定会合による住宅ローン金利への影響はないと考えられますが、7月に実施した利上げによって10月の変動金利は約0.15%の上昇が予想されます。なお、金利上昇の影響を受けるユーザーは次の4つに分類できます。
既存の変動金利ユーザー:10月から適用金利が0.15%程度上がる見込みです。
新規の変動金利ユーザー:0.15%程度の上昇が見込まれますが、銀行によっては金利引き上げを抑える動きもある可能性があります。
既存の固定金利ユーザー:適用金利に変化はなく、これまで通りの返済が続きます。ただし、固定特約型の住宅ローンを借りている方で、固定期間が終了する際は、金利が上がる可能性があります。
新規の固定金利ユーザー:今回の政策決定では固定金利への直接的な影響はないと考えられますが、海外の金融情勢(米国利下げなど)の影響を受けやすいです。
中長期的な金利環境 日本の金利環境は、人口減少や少子高齢化の影響を受けるため、今後も低金利が続くと見られています。デフレ懸念が残る中、日銀は引き締め的な金融政策は取りづらい状況にあると考えられます。
変動金利 vs 固定金利
現在の状況では、変動金利が有利と考えられます。住宅ローンは最初の10年で35年間の金利総額のおよそ半分を支払います。つまり、住宅ローン利用者は最初の10年間を低金利で通過することが重要です。ゆえに、固定金利よりも低い変動金利での支払いが有利でしょう。
まとめ
今後の金利上昇リスクに備えつつ、変動金利を選ぶのが有利と考えられます。また、変動金利と固定金利の差分を資産運用に回すことも効果的です。新NISAやiDeCoなどの制度を活用し、賢い住宅ローンの利用を心がけましょう。