イラスト・マンガ教室egacoを運営する合同会社Smiles.は、教育ツールとしての漫画の有用性を調査する目的で、「コミュニケーション能力が育つ漫画」についてアンケートを実施した。
調査は8月16日からWEBアンケートによって500名の20代〜50代のパパとママを対象に行われた。
対象となる子供の年齢分布は以下の通り。
子どもが普段読んでいる漫画のジャンではルSF•ファンタジー•神話ジャンルが最も人気を集め、全体の26.8%の回答者がこのジャンルを選んだ。これは、現代社会において非日常的な物語への需要が高まっていることを示しており、男女共に幅広い層へアピールできるジャンルであると考えられる。
次いで、ギャグ・コメディー(23.4%)やスポーツ(23%)のジャンルも高い支持を受けており、特に若年層を中心にこれらのジャンルが人気を博している可能性がある。一方、ホラー(6.4%)やグルメ(5.4%)、ギャンブル(3.8%)といったジャンルは比較的支持が少ないが、特定の市場においては根強い支持があることが推測されそうだ。さらに、その他の回答として、全体の18.6%にあたる93件の自由回答が寄せられた。ここでは、一般的なジャンルに分類されない作品や、個別の作品名が挙げられていると考えられる。また、男女別に見た場合、各ジャンルへの関心にも若干の違いが見られた。
子供が読んでいる漫画の中で「コミュニケーション能力が育つ」と感じた作品として、『ハイキュー!!』が最も多くの支持を集めた。『ハイキュー!!』は、バレーボールを題材にしたスポーツ漫画であり、コミュニケーションや友情の描写が読者にとって共感を呼び、コミュニケーション能力の育成に寄与していると考えられる。
次いで、『キングダム』が2位にランクイン。戦略や交渉術、組織内のコミュニケーションが重要なテーマとして取り上げられており、これが子どもたちのコミュニケーション能力の向上に繋がっていると評価されている。3位には、社会現象を巻き起こした『鬼滅の刃』がランクインした。家族愛や仲間との絆を強調したキャラクター同士の深い対話や感情の交流が読者に強く影響を与えているようだ。4位の『ワンピース』もまた、友情や仲間同士の絆を強く描いた作品であり、長期にわたって連載されていることから、幅広い年齢層の子どもたちに支持されている。5位には、『スラムダンク』と『アンパンマン』が同率でランクイン。これらの結果から、スポーツや友情をテーマにした作品が、コミュニケーション能力の育成に特に効果的であると考えられる。
子供が漫画を読む時間について、保護者に聞いた結果、「ほとんど読まない」と回答した方が最も多く、全体の48.8%に達した。これは、保護者の間で、子どもの漫画利用に対する一定の制限や管理が行われていることを示していると考えられる。また、年齢にかかわらず、多くの家庭で読書時間が限られている傾向が見られた。
次に多かったのが、「毎日30分未満」で、29.6%の回答があった。「毎日30分〜1時間未満」の回答は16.8%で、こちらも一定数の支持を得ている。一方で、「毎日1時間〜2時間未満」の回答は3.8%、「毎日2時間以上」の回答はわずか1%と少数派だった。全体的に見て、子どもたちの漫画読書習慣は、短時間で楽しむケースが多く、保護者もその時間管理を意識していることが示唆される。また、男女別の分析では、男性の方がやや多くの時間を漫画に費やしている傾向が見られるが、全体的な傾向としては大きな差異はなく、共通した読書パターンが存在している。
「子供のコミュニケーション能力に漫画がどの程度影響を与えていると感じるか」という質問に対して、「あまり影響していない」と回答した人が全体の39.8%と最も多く、次いで「影響していない」が32%となった。これらの結果から、約7割の保護者が、漫画が子どものコミュニケーション能力に大きな影響を与えていないと感じていることが分かる。
一方で、「影響している」と回答した人は22.6%、「非常に影響している」と答えた人は5.6%と、一定数の保護者が漫画の影響を肯定的に捉えていることも明らかになった。このような結果は、漫画が子どものコミュニケーション能力に与える影響について、保護者の間で意見が分かれていることを示している。男女別の分析では、男性保護者の方が若干「影響している」と感じる割合が高い傾向が見られたが、全体的には大きな差はなく、保護者全体で共通した認識が見られた。
今回の調査を通じて、SF•ファンタジ•神話といった非日常的なジャンルが子どもたちに高い人気を誇り、一方で、ホラーやグルメなどのニッチなジャンルが特定の読者層に支持されていることが明らかになった。また、漫画が子どものコミュニケーション能力に与える影響については、保護者の間で意見が分かれていることが分かったが、一定数の保護者がその影響を肯定的に捉えていることも重要なポイントだ。さらに、子どもたちが漫画を楽しむ時間に関しては、日常の中で限られた時間を有効に活用していることが示されている。