双葉通信社は9月10日、ファッションとメディアに関するアンケート調査の結果を発表した。調査は2024年6月25日~7月5日、文化服装学院の在学生874名を対象にインターネットで行われた。
日々のタッチポイントはほぼ全員「Instagram」
ふだん視聴しているSNS・メディアを尋ねたところ、Top3は「Instagram」(92.1%)「YouTube」(76.0%)「TikTok」(57.7%)で、「Pinterest」も5割を超えた。"盛れないSNS"の 「BeReal.」は大幅増(昨年調査+13.2%)。中国のSNS「小紅書/RED」(同+7.1%)や「WeChat」(同+5.5%)も増加しており、中国デザイナー・インフルエンサー好きの学生や、留学生が利用しているようだ。「TikTok」はヘビーユーザーとほぼまったく見ないノンユーザーに分かれるが、Pinterestは授業課題のアイディア探しやインスピレーション源として、Instagramと併用しているのが特徴となっている。
メディア・SNSの使い方は変化した?
未来のクリエイター・ファッション人を目指すおしゃれZ世代は、作品づくりやアイディア探しのため、SNSで積極的に情報収集、発信している。特にInstagramの"本垢"は自分のポートフォリオでもあり、使い方は戦略的。「インサイト」で自分のアカウントの評価もチェックしている。学校に入ってから自信がつき、コーデ投稿やインフルエンサーの閲覧も増えた。一方、表現では「リアル・シンプル・日常」志向が強まっている。映えを気にし過ぎず、"ありのまま・リアル"を見たい・見せたい意識が芽生えているようだ。そのためか、日記風のvlogは撮るのも見るのも好き。入学後にBeReal.の利用が増えた一方、「YouTubeをあまり見なくなった」との回答が多数あった。理由として、「忙しくなった」「視聴目的が変化し、見るよりも音楽やPVの流し聴きになった」「NETFLIXやTikTokなど他のプラットフォームに移行した」ことが挙げられる。リールやショート動画・ショートドラマの視聴が増え「短尺・わかりやすさ」へのシフトも窺える。また意図的なSNSデトックスも見られ、SNSのタイパ=使う時間の価値は、冷静に判断しているようだ。
購入ブランド&憧れブランド
「今年購入したファッションブランドやショップ」「買わなくても、憧れてチェックしているファッションブランドやショップ」を自由回答で聞いた。購入先の上位は「ザラ」「ユニクロ」「ジーユー」+「セカンドストリート」など低価格の古着・リサイクル店だった。価格に関わらず、スタイリングで個性を出しているようだ。「Y2K」や、NEWJEANSが火付け役となった「ニュートロ(ニュー&レトロのハイブリッド)」のトレンドも意識している。購入先には「ヌビアン」などセレクトショップも挙がり、モードな「プランクプロジェクト」、韓国テイストの「ティーナジョジュン」など旬なブランドも購入していた。
一方、「憧れブランド」のTOP3は「ヴィヴィアンウェストウッド」「バレンシアガ」「ミュウミュウ&プラダ」。"革新性のあるラグジュアリーブランド" "ストリートブランド" "個性的なクリエイターブランド" "ひと癖ある大人ガーリーなブランド"に憧れがあり、「キムヘキム」「ジェントルモンスター」「テンテンツツ」など韓国・中国発のブランドにも注目している。なお「ヴィヴィアンウェストウッド」「ディーゼル」「コムデギャルソン」は購入/憧れの両方で上位にランクインし、安定した人気がある。また「ディーゼル」や「バレンシアガ」は韓国のアイドル・インフルエンサーが着用していることに加え、デザイナーも評価されている。
ファッションアイテムを購入した通販は「ZOZOTOWN」「SHEIN」に集中
今年ファッションアイテムを購入した通販サイトの1位は「ZOZOTOWN」(46.7%)、次いで中国発の「SHEIN」(32.3%)だった。「SHEIN」は低価格でチャレンジしやすく、日本導入後わずか3年でおしゃれZ世代に浸透している。また海外セレクトの「SSENSE」に中国最大のEC「淘宝(タオバオ)」が並んだ。おしゃれZ世代は高感度な韓国ファッションECも利用しており、急速に越境が進んでいる。「NUGU」などインフルエンサーがセレクトするECは注目を集めそうだ。
「センスがいい人」の1位はあさぎーにょ
過去3年連続首位の小松菜奈さんから、ついに順位が変動した。名前の挙がった人数は計1,525名(Instagramのアカウント名含む)。ユーチューバーやインフルエンサーをはじめ、アイドル、アーティスト、俳優、クリエイター、ブランドディレクターやショップスタッフ、海外のアカウントまで多岐に渡る。
1位のあさぎーにょさんはYouTubeチャンネル登録128万。自身がディレクションするブランド「ポピー」もおしゃれZ世代に支持されている。またファッションアイコンとして、BLACKPINK/ジェニーさん、NEWJEANS、XGなどのK-POPアイドルや、メンズアイドル、モデルが多数挙がった。
国内外問わず、媚びないスタイルでトレンドを先取りする人、動画でセンスと"コミュ力"を発揮する人が注目されている。文化服装学院出身デザイナーの「nori enomoto(榎本紀子)」や、一重メイクを発信する「かきぶちももの」も人気だった。