退職時は挨拶とともにお菓子を配るケースが多く見られますが、さまざまな事情で配りたくないという場合もあるでしょう。挨拶のみでお菓子は配らない、という選択をしても問題ないのでしょうか? 本記事では、退職時のお菓子配りに関するマナーや注意点などについて解説します。
退職時にお菓子を配らないのはアリ?
退職の際、お世話になった職場にお菓子を配ることは一般的な慣習ではありますが、絶対に必要な義務というわけではなく、個人の判断に委ねられていることです。
しかし、感謝の気持ちを込めて贈り物を手渡すことで、これまでの良好な関係を締めくくることができるものでもあります。もし今の職場に「お世話になった」という気持ちがあるならば、渡した方が無難です。
無理に渡さなくてもOK
とはいえ、経済的な事情や個人的な理由で、お菓子を渡すことができない場合もあるでしょう。無理に渡す必要はありません。しっかりと挨拶して感謝の気持ちを伝えさえすれば、お菓子がなくても特に問題にはならないでしょう。
退職時にお菓子を配る範囲はどこまで?
お菓子を配ると決めたものの、どこまで配ればいいのかわからないこともあるでしょう。どの範囲までお菓子を渡すかは、明確なルールやマナーは存在しませんが、会社の規模をひとつの目安として考えてみると良いでしょう。
小規模の場合は全員が無難
従業員数が比較的少ない小規模な会社の場合は、職場の全員にお菓子を配るのが良いでしょう。規模が小さい会社だと、配った人・配っていない人も分かりやすいです。全員に平等に配っておくのが無難と言えます。目安としては、40人以下程度であれば全員に配っておくといいかもしれません。
人数が多い場合は所属部署のみ
人数が多いと全員に手渡しすることが難しく、また費用もかさんでしまいます。人数が多い場合は、所属部署だけにお菓子を配れば良いでしょう。他にも、同じ仕事をしたチームや同期などで区切りをつけるのもおすすめです。
取引先は必要に応じて
取引先に退職の挨拶をしに行く場合も菓子折りは必須というわけではありません。あなたが退職してからも会社同士は付き合いがあるので、渡しておいた方が良い場合もあれば、取引先にまで渡さなくていいと考える場合もあります。個人で判断するのではなく、まず上司に相談しましょう。
退職時に配るお菓子を選ぶときのポイント
お菓子と一口に言っても、その種類はさまざま。ここでは、適切なものを選ぶためのポイントを紹介します。
人数より少し多めに用意する
事前に何人分用意すればいいか把握した上で、少し多めに用意しておくのが安心です。挨拶回りをしている最中に他部署の人が通りかかり渡すなど、想定外のことがあるかもしれません。たとえば20人に配る場合は30個入りを買うなど、余裕をもたせた数を用意しておきましょう。
個包装のものを選ぶ
配りやすさ、衛生面を考慮して、個包装のお菓子を選ぶのがベターです。ナイフで切り分ける必要がある形状のものは向きません。在席していない人や、自宅に持ち帰る人もいる想定をしておきましょう。
常温で保存できるものを選ぶ
保管に困る要冷蔵の生菓子などは避けた方が良いでしょう。たとえ冷蔵庫が設置されているオフィスであっても、場所を取って迷惑になりかねません。また、消費期限にも配慮し、焼き菓子やお煎餅のような、常温で保存できて日持ちもするものがおすすめです。
手が汚れやすいものは避ける
お菓子をもらった側は仕事中のおやつとして食べる場合が多いので、手が汚れやすいものは避けた方が親切です。焼き菓子であっても、たとえば小さなカップに入った状態で個包装されているようなタイプのものは、取り出して外す際に手が汚れてしまいます。なるべく袋から出さずに食べられるものを選ぶのがおすすめです。
匂いが強いものは避ける
職場で食べることを考えると、匂いが強いお菓子も避けた方が良いでしょう。お煎餅であっても、たとえばカレー風味のお煎餅などは匂いが強めなので、状況によっては職場に匂いが充満してしまいます。「おいしいからぜひお世話になったみんなに食べてもらいたい」という思いがあったとしても、迷惑になる恐れがあるので避けるのが無難です。
金額は1人当たり100円~200円のもの
人数や予算に応じて考えるのが前提ですが、お菓子の金額相場は、1人分あたり100円~200円程度と考えるのが良いでしょう。過度に安価、もしくは高価になりすぎない方が、相手にも余計な気遣いをさせずに済みます。予算の許す範囲で検討してみてください。
退職時にお菓子を配る際のマナーと注意点
のしはなくてもOK
お菓子を購入する際に、のしの有無を聞かれる場合があります。退職時に配るお菓子は、通常自分で箱を開けてから配るか置いておくかになるので、特にのしを付ける必要はありません。
タイミングは最終出社日
お菓子を渡すタイミングは最終出社日にしましょう。ただし、出張や休暇で不在の人がいないか、事前に確認はしておくことをおすすめします。また、なるべく業務が忙しくない時間帯に渡すのがマナーです。職場によって異なりますが、定時を過ぎると帰ってしまう人もいるので、定時の少し前くらいがおすすめです。
お礼の言葉を添えて渡す
お菓子を渡す際は、ただ渡すだけではなく、お礼の気持ちを伝えましょう。「○○さん、本当にお世話になりました。ありがとうございました」などと手短に言葉を添えるだけでも誠意が伝わります。特にお世話になった人には、別途メッセージカードを添えるのもおすすめです。一人ずつ配って回るのが難しい場合は、メールでメッセージを送っても問題ありません。
業務の邪魔にならないよう長話はしない
退職時の挨拶回りでは思い出話に花が咲き、長話になってしまうケースもあります。しかし、業務中の長話は相手の手を止めてしまうだけでなく周りの迷惑にもなってしまうので、十分注意しましょう。一人ずつ挨拶して回る場合は特に、時間を必要以上にかけないよう配慮してください。
退職時に配るお菓子に添えるメッセージ例文
最後に、お菓子にメッセージを添える場合の例文を相手別に紹介します。
上司の場合
入社時からこれまで大変お世話になりました。○○課長のお陰でたくさんのことを学ぶことができ、感謝の気持ちでいっぱいです。これからはいただいたお言葉を胸に、新しい道で精一杯頑張ります。本当にありがとうございました。〇〇課長の今後のご健勝とご活躍をお祈り申し上げます。
先輩の場合
〇〇さん! 約〇年間、大変お世話になりました。私が悩んだり落ち込んでいたりすると、いつも真っ先に気付いて声をかけてくださった○○さんには感謝しかありません。いつも笑顔でチームのみんなを引っ張ってくれる〇〇さんは私にとって憧れの存在でした。新しい場所で私も○○さんのような存在になれるよう頑張ります! 本当にありがとうございました。
同僚の場合
○年間お世話になりました! 色々と大変なことも多い仕事でしたが、○○と助け合い支え合えたからこそ、〇年間を乗り切ることができたと思ってます。本当にありがとう。これからは少し離れた環境になりますが、互いに頑張りましょう。また落ち着いたら飲みに行けるとうれしいです!
まとめ
今回は、退職時のお菓子配りに関するマナーや注意点などを紹介しました。
退職時の挨拶回りにお菓子は必須ではありませんが、お世話になったのであれば用意するのが無難です。用意する場合は、個包装のものや常温で保存できるものなど、渡したあとのことも考えて迷惑にならないものを選びましょう。また、渡す際のマナーにも注意してください。「立つ鳥跡を濁さず」の精神で、気持ちよく職場を去りましょう。