女優の黒木華が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、8日に放送される『ほめる人とほめられる人~褒めますおじさん 令和の路上物語~』。街角で見知らぬ人を褒めまくる「褒めますおじさん」を追った作品だ。

褒めますおじさんの印象を「素敵だな」と語る黒木。そこから感じた「“認める”こと」の大切さを語ってくれた――。

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した黒木華

『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した黒木華

ギャンブルにハマり、父が倒れ、気づけばホームレスに

「すごくほめます」と手書きの段ボールを掲げ、この2年間、足を止めてくれた人を、ひたすら褒め続けてきた「褒めますおじさん」(42)。容姿から始まり、会話で気が付いたささいなことを褒められた多くの人は、笑顔でその場を後にする。

かつては、地元・栃木で会社勤めをしていた褒めますおじさんだが、ギャンブルにのめり込み、生活がひっ迫。父が病に倒れ、住宅ローンが支払えなくなった実家は差し押さえとなり、気がつけばホームレスになった。

仕事も失い、追い詰められた末に思いついたのが「路上で人を褒めること」。幼い頃から、路上パフォーマーに憧れていたこともあり、「人を褒めることだったら、自分にもできるかもしれない」と、今の生活が始まった。

「褒めてほしい」とやってくる人は後を絶たない。一人暮らしを始めたばかりの若者から仕事に疲れた会社員、定期的に訪れる常連の存在も。ある夜、褒めますおじさんの前に現れたのは、映画監督になることを夢見る中国人留学生だった。彼が、見ず知らずのおじさんに、褒められたい理由とは…。

  • 手書きの「すごくほめます」段ボールを掲げる褒めますおじさん (C)フジテレビ

どんな役でも「一番の理解者でありたい」

褒めますおじさんの姿を見て、「素敵だなと率直に思いました。初めて会う方の褒めるところを見つけるのは、難しいことだと思うんです。それによって元気づけられている人がいるというのは、素晴らしいなと思いますし、意外で面白かったです」と印象を語る黒木。

一方で、褒められる側の人たちの心境を、「勢いよく褒めてくれるから、笑ってしまって、それで自分のテンションが上って気持ちが切り替わるのではないかなと思いました」と推察した上で、「褒められて“自己肯定感が上がる”と話している方もいましたが、それは結構大事なことですよね。褒めるのが苦手な方はたくさんいるでしょうから、ちょっとしたことでもいいのかなと思うんです。照れずに“きょう素敵だったよ”と言うだけで、お互いに気持ちよくなれるじゃないですか」と語る。

黒木自身も、「好きなところは“好き”と言いますし、“素敵です”とか、感謝の言葉はわりと伝えるようにしていますね」と、褒めますおじさんのように、相手を肯定することを意識しているのだそう。

また、役者という仕事においては、「自分の役がどんなに悪い人だったり、自分と合わなくても、すごく愛して否定することなく演じるようにしています。その作品が終われば、“この人変だな”とか“悪い人だな”と思うこともありますが、演じる瞬間はやっぱりその人の一番の理解者でありたい」という気持ちで臨んでいることを明かした。