明治安田総合研究所は8月29日、「地元愛に関するアンケート調査」の結果を発表した。調査は2024年7月5日~7月8日、18歳以上69歳以下の男女5,555人を対象にインターネットで行われた。
地元好きが多い都道府県ランキング、1位は「兵庫県」「鹿児島県」
地元好きが多いトップは兵庫と鹿児島だった。3位以下は、愛知、熊本、富山と続いた。「地元を出た人」では熊本がトップ。北海道、鹿児島、千葉、三重、京都、広島と続いた。「地元に残った人」では兵庫がトップだった。次いで愛知、富山、福岡、鹿児島、神奈川という結果に。
地元が好きな理由「育った地だから」が最多
地元が好きな理由のトップは「育った地だから」で約6割。以下、「住み慣れているから」、「家族・親戚がいるから」、「思い出があるから」、「自然があるから」が続いた。
地元に好きなイベントがあるかをたずねると、好きなイベントがあると回答した人ほど、地元愛が強い傾向にあることがわかった。特に、好きなイベントとして、「お祭り」を挙げた人の約6割が「地元が好き」と回答しており、「地元が好きではない」と回答した人の約5倍となっている。
お祭りは、地元の伝統や歴史、文化が集約されたイベント。老若男女を問わず、地元を改めて知る機会として、大きな役割を果たしていると考えられる。また、地元住民が集まって協力して開催される場合も多いことから、事前準備や当日の運営・参加を通じ、地元住民同士で交流が深められる機会ともなる。自分が地元の一員であることを実感できる身近な場として、地元愛にも影響を与えているようだ。地元が好きな理由として、「思い出があるから」との回答が上位に入っているが、家族や友人とのお祭りでの楽しい時間が、地元に対するポジティブな感情を増幅させるのに一役買っているのかもしれない。
地元を出た理由は?
「元を出た理由」を男女別に見ると、「結婚したから」は女性の方が多かった。平成生まれの女性は「実家から独立したかったから」「地元が好きではなかったから」を理由に挙げる割合が他グループより高めだった。また、平成生まれの女性で「就職のため」と回答した割合は、昭和生まれの女性と比べ一段と増えており、やりたい仕事を求めて地元を出る傾向は近年強まっているとわかる。
地元を出た人のうち、将来地元に戻りたいと回答した人は約半数という結果に。地元を離れてからあまり年数が 経過していないとみられる平成生まれの方が、地元に戻りたいと考える気持ちが強いことがわかった。ただ、男女別に見ると、平成生まれの男性の約6割が地元に戻りたいと回答する一方、平成生まれの女性は5割にとどまっている。
「将来、地元に戻りたい」と思う都道府県ランキング、1位は「沖縄県」
地元を出た人に聞いた「地元に戻りたいランキング」では、沖縄がトップに。2位以下は、新潟、福岡、神奈川、愛知、兵庫と続く。愛知、兵庫、神奈川、福岡は、地元愛ランキング、地元に帰りたいランキングともにトップ10入りした。
地元に戻りたい理由は?
地元に戻りたいと思う理由のトップは「地元が好きだから」で半数を超える結果となった。男女別に見ると、男性は「土地や家屋などを相続するから」の割合が高い一方、女性は「家族の近くで住みたい・住む必要があるから」や「友人や知人が多く住んでいるから」の割合が高かった。平成生まれは「自分の地元で子育てをしたいから」を理由に挙げる人の割合が、昭和生まれに比べ高いことがわかった。
地元へ帰りたいと思うシーン
地元を離れた人に、地元に帰りたいと思うシーンをたずねると、「地元で暮らす親や親戚と話した時」が約3割でトップに。一方、「今住んでいる場所での人間関係に疲れた時」や「今住んでいる場所での暮らしに孤独を感じた時」との回答もそれぞれ約2割を占めており、今住んでいる場所でうまくいっていない時に、地元に帰りたいと考える人も多い様子だった。
地元の好きなスポーツは?
応援している地元のスポーツについて聞いたところ、サッカー、野球、バスケットボールの順となった。
サッカー人気が最も高いのは"サッカー王国"静岡で、2位には新潟がランクイン。サッカー、野球、バスケットボールの3大スポーツのなかでは、地元密着を特長とするJリーグ効果により、全国平均の人気はサッカーがトップとなった。
野球人気が最も高いのは広島だった。NPB(日本野球機構)球団が本拠地を置く地域が上位に名を連ねるなか、高知、岩手がトップ10にランクイン。岩手は出身者である大谷翔平選手の活躍が人気に一役買っている可能性も。NPB球団が本拠地化して相対的に日が浅い宮城、北海道は2位、4位にランクインした。
バスケットボール人気が最も高いのは沖縄だった。秋田、栃木といった伝統的にバスケットボールが盛んな地域が2位、3位と続いた。広島は野球、サッカー、バスケットボールともにベスト10にランクインしている。
地元のライバルは?
同一地方に複数の都道府県がある場合、隣接先をライバルとするケースが大部分。例外は3例(大阪→東京、福岡→大阪、愛知→大阪)だった。
互いにライバルと認め合う関係は、北海道と沖縄、東京と神奈川、宮城と福島、茨城と栃木、埼玉と千葉、山梨と静岡、富山と石川、広島と岡山、鳥取と島根、香川と愛媛。関東地方の3例が最多で、近畿・九州地方ではゼロだった。
地理的に最も離れた北海道と沖縄は互いをライバルとしていた。双方とも観光資源を豊富に抱えており、都道府県魅力度ランキング(2023年、ブランド総合研究所)では、それぞれ1位と3位(2位は京都府)にランクインしている。
地元の自治体に期待する取り組みは?
地元に残った人に聞いた「期待する取組み」では、「街づくりの強化(交通インフラの整備・空き家の解消など)」がトップに。以下、「子育て支援の強化」「やってほしいことは特にない」「自然災害などでの危機管理」「雇用/販路拡大に関する取組み」「観光事業の強化」と続いた。
「無駄だと思う取組み」を地元に残った人に聞いたところ、「そもそも地元自治体の取組みを知らない」がトップに。続いて「無駄だと思うものは特にない」「ゆるキャラなどの話題作り」と続いた。