“良いもの”と“良いもの”のマリアージュ

シュクレイの看板商品の一つであるバターバトラーのフィナンシェに、季節限定味として「バターとさつまいものフィナンシェ」が販売されます。
原料である安納芋ペーストを提供するアグリ・コーポレーションは長崎県五島市で、約35ヘクタールの農地を利用して安納芋の有機栽培を行っています。
今回の商品誕生のきっかけはマイナビ農業です。以前からシュクレイがマイナビの人材サービスを活用していたというご縁があったため、マイナビ農業の横山がシュクレイ代表取締役社長の阪本良一氏に「何かお役に立てないか」と相談を持ちかけ、このコラボの企画化が実現しました。
おいしい原料を知名度の高いお菓子に使ってもらい、お菓子を通じて多くの人々に農作物や農業を知ってほしい――。そんな思いで厳選しシュクレイに紹介したのが、味や品質はもちろん、生産者の人柄や経営方針にも共感していたアグリ・コーポレーションの安納芋でした。

「この安納芋が別格だったんです」と開発当初を振り返るシュクレイ。
「正直、一旦試食してみようかくらいの思いでしたが、口にしたら『これ、お菓子にしたら絶対良いよね』と現場の熱が上がりました。農家の方が手間を掛けてこの味を作っている事が感じられたんです」。
そこからサツマイモとバターの相性の良さから、大人気スイーツブランドのバターバトラー への採用と商品開発へと踏み出しました。

生産現場の苦労が実る

“本気の6次化”に取り組むアグリ・コーポレーション

「実は世の中には、“安納芋”というブランドを使いたいから、少しだけぺーストやパウダーを入れているという商品も少なくありません」と話すのはアグリ・コーポレーションの代表の佐藤義貴(さとう・よしたか)さん。「ですが今回のシュクレイさんの何がうれしかったって『安納芋の名前を使いたい』ということではなく『このおいしさを、更においしくするための商品を作りたい』と言って下さった事です」
しかし、佐藤さんがここに至るまでには苦労も少なくありませんでした。
佐藤さんが“本気の6次化”に取り組もうと自社で食品加工の工場を作ったのは2019年。翌年にはコロナ禍に突入し、15トンの保管用冷凍庫は許容量いっぱいに。展示会へ年間12回出展したり、地道な営業回りをしたりする中で、少しずつ取引は広がっていきました。

安定的な取引への安心感

シュクレイはアグリ・コーポレーションへの印象を次のように話します。
「それまで農家さんを回って原料を探したこともありましたが、当時の仲介役との関係性から話が無くなったことがありました。ですが、今回は生産から加工、販売まで、全て一社でやっているすごみというか。我々が欲しい品質を、適正な価格で手に入れられるだろうと感じられました。仲介役が入ると産地をうたえない事もありますが、今回は『ここで作った』と言える事に安心感がありましたね」
特にメーカーとの取引の場合は、一定以上の量が必要となります。その点で、一定量を安定供給できる事も今回の企画実現の要因だったそうです。
「今回、ネームバリューもあり、良い商品を作っているシュクレイさんに使ってもらえる事になった事がすごくうれしいですよね。もともとはマイナビ農業から始まった縁で、ありがたいです」と佐藤さんは話します。

秋の味を感じられるフィナンシェに

シュクレイは今回の商品について「サツマイモは秋の味覚の中でも人気の高い食材。今回、バターフィナンシェの甘さと、サツマイモの中でも人気の高い安納芋の甘さのマリアージュで、そのままでも、温めても、おいしいお菓子ができました」と魅力を語ります。
しかし、ではなぜブランド力の高い“安納芋”が商品名にうたわれていないのでしょうか。
「今後、何年もかけて育てていく事を考え、初年度はあえて出していません。弊社の特徴として、店頭で積極的に試食販売を行います。召し上がっていただければ『おいしさ』は分かるはず。そこから、『実は安納芋なんですよ』『五島列島で作られているんです』『有機栽培です』と、お客さまとの会話ができると思っています」
先々を見据える両社。「長期的な戦略を考えてくれてうれしい。しっかりと力を入れていきたいと思いますし、やりがいがありますよね」と佐藤さんは熱意を込めました。
マイナビ農業の横山はコラボ実現について「いろいろなご縁や共感が組み合わさり、素晴らしい商品が生まれました。多くの方のご支援や努力あっての結果であり、多くのネットワークを持つマイナビ農業だからこそ実現した大きな企画だと自負しています。これからも今回のコラボレーションのように、さまざまな取り組みを通じて、もっと農家がハッピーになれる仕組みをマイナビ農業として提案していきたい」と話します。
マイナビ農業は、生産者の向き合うべき次なる課題に向かって、既に動き始めている。