ダンス&ボーカルグループ・GENERATIONSの数原龍友が自身初のフォトエッセイ『ついてきて』(講談社)を8月8日に発売した。2012年11月にデビューしてから約12年、ソロとしても活動している数原の初フォトエッセイは、構想3年、撮影1年を費やし、留学先のアメリカでも撮影を行った一冊で、家族の話やアーティスト活動の話など、これまでの人生について語っている。数原にインタビューし、アメリカ留学が自身にとってどんな経験になったのか、また、グループへの思いや今後の音楽活動についても話を聞いた。
留学で「引き出しがパンパンに詰まっている状態」
――留学先のアメリカで撮影した写真も掲載されていますが、留学はご自身にとってどんな経験になりましたか?
今年の4月頭から6月末まで3カ月間留学し、めちゃくちゃ刺激的な日々を過ごすことができました。自分の好きなものや好きなことの理由や答え合わせが一気にできて刺激過多でした。
――具体的にどんな刺激を受けたのでしょうか。
ファッションも音楽もいろんな刺激がありました。ファッションはもともとアメカジが大好きで、日本だとそのスタイルに憧れて真似している感じですが、向こうでそういうファッションをしている人を見て、あれがナチュラルってめっちゃかっこいいなと思いました。ハーレーダビッドソンもアメリカが本国のバイクなので、いろんなカスタムのバイクを見ることができましたし、日本だとなかなかお目にかかれないクラシックカーやヴィンテージカーも信じられない数見られました。また、自分が好きで聴いていた西海岸出身のアーティストがなんでこういう音を使うんだろう、なんでこういう曲を歌うんだろうと思っていましたが、この景色を見てスローライフを送って心に余裕があったらこういう音楽になるわという答え合わせもできたり、いろんな発見がありました。
――語学留学ということで学校にも通われていたとか。
学校で世界中のいろんな人たちとコミュニケーションを取ることができました。授業の合間にそれぞれの国の話を聞くこともできて、知らないことがまだまだいっぱいあるなと思ったので、また行きたいなと。すべてがプラスになった貴重な3カ月でした。
――留学経験が今後の音楽活動にも生きてくるなという手ごたえも感じられていますか?
今、引き出しがパンパンに詰まっている状態なので、今後自分が表現する音楽を楽しみにしていてもらいたいなと思います。3カ月間で多くの刺激を受け、いろんなものを吸収し、音楽面でもさまざまな経験をしてきたので、それをどんどん表現していけたらと思います。
――音楽の表現が広がりそうですね。
そうですね。英語詞の曲にもどんどんトライしていきたいです。今、世の中的にもグローバル化が進んでいて、音楽に国境はないと言われていますが、それをリアルに感じたので、自分という人間が作り出す音楽が海外で受けられるようになればいいなと思っています。音楽面も引き続きアプローチを変えながら、1人で活動する時は仲間と楽しくのんびり、穏やかでゆったりとした時間が流れる音楽をやりたいなと。GENERATIONSとソロの2チャンネルを使いながら、日本国内もそうですし、海外でもいろんなことに挑戦していけたらと思います。
GENERATIONSの活動とソロ活動のそれぞれにやりがい
――GENERATIONSの活動とソロ活動の相乗効果も感じられていますか?
GENERATIONSでみんなと楽しくパフォーマンスしている数原龍友という人間と、GENERATIONSという看板を下ろしたらこうなりますという、2つがあるほうが人としても音楽としても深みがあると思うので、いろんな音楽のジャンルに挑戦していけたら。グループではできないことも1人だとできたり、逆に1人ではできないこともグループだとできたり、お互いメリットとデメリットがあると思うので、2つのチャンネルをうまく使いこなせたらなと思っています。
――GENERATIONSとしては関口メンディーさんが卒業され新体制に。
6人の新体制で初めてのツアーに向けてみんな気合いが入っています。自分たちは悔しい思いをし続けているチームで、その思いがあるからこそ、ライブを作っていく中でもいろんな意見をどんどん取り入れるようにしています。フォトエッセイもあってリハーサルに参加できない日もありましたが、安心してみんなに任せられる、そういう信頼関係がGENERATIONSは強いチームだと思います。任せられる部分は任せつつ、積極的にアイデアを出し合っていて、より良いものにしようとすごくみんな燃えています。
――GENERATIONSの皆さんが抱いている「悔しい思い」とは?
思い通りにいかないことのほうが多く、やりたいことがあってもなかなかそれを実現することが難しいなと感じています。自分たちの意図や考えていることが伝わりづらい世の中で、信念を持って真心を込めて作ったものも、思っていた届き方にならなかったという苦い経験をしていて、その難しさを痛感しています。そういった歯がゆさをずっと感じているという意味での悔しさかなと思います。
――自分たちの意図や思いがしっかり伝わるためには何が必要になってくるのでしょうか。
その答えがないから面白いのかなと。その答えを追い求めて一生懸命頑張ることがエンターテイナーとしてやるべきことだと思います。苦労や葛藤があるからこそアーティストや表現者として深みが出てくると思いますし、エンターテインメントは答えがなく正解がないものなので、それを追い求めていきたいと思います。
――最後に、『ついてきて』というタイトルに込めた思いに触れつつ、ファンの方へメッセージをお願いします。
GENERATIONSは新体制になり、永遠なんてものは絶対に存在しないとわかっていますが、リアルに直面したときに自分もいろんなことを考えさせられました。もしかしたら僕ら以上に普段から応援してくださっているDREAMERSの皆さんは驚きや悲しみなどいろんな気持ちがあったと思いますが、ついてきてもらえたら絶対に安心してもらえるし、期待をもっとワクワクに変えられると思っています。数原龍友として出させていただいたフォトエッセイですが、GENERATIONSという名前があっての自分だと思っているので、不安を与えてしまった皆様に「安心してついてきてください」というメッセージと、「数原龍友という1人の人間にもよかったらついてきてほしい」という、そんな2つの思いを込めています。
1992年12月28日生まれ、兵庫県出身。2012年11月、GENERATIONS from EXILE TRIBEのボーカルとしてメジャーデビュー。2019年に初のソロ曲「Nostalgie」を配信リリースし、ソロとしても活躍。2023年7月より個人YouTube「ひとまずマイク置いてみた。」を開設。