ソフトバンクは2024年8月22日、オンライン専用ブランド「LINEMO」のユーザーを対象とした利用実態に関する調査結果を発表した。併せて、ユーザーを招いたイベントを開催し、LINEMOユーザーのリアルな声を聞いた。
ソフトバンクのオンライン専用料金プラン
LINEMOは、2021年3月にLINEモバイルを引き継ぐ形でスタートした、Softbank、ワイモバイルに続く第三のオンライン専用ブランド(eSIM対応)だ。NTTドコモの「ahamo」、KDDIの「povo」に相当するプランと考えていいだろう。LINEモバイルから受け継いだ特徴として、LINE関連の通信がカウントフリーになる「LINEギガフリー」が挙げられる。
サービス開始直後は月間3GBの「ミニプラン」(月額990円)と20GBの「スマホプラン」(月額2,728円)の2つがあったが、7月にプランの見直しが行われ、「ベストプラン」と「ベストプランV」が導入された(ミニプランとスマホプランは受付終了)。
ベストプランは、月間利用データ量が3GBまでの場合は、月額料金が990円。3GBを超えた場合はデータ容量10GB、料金は月額2,090円になる、段階型のプランだ。ベストプランVは、月間利用データ量が20GBまでの場合は、月額料金が2,970円。20GBを超えた場合はデータ容量30GB、料金は月額3,960円になる。また、1回あたり5分以内の通話定額オプションが含まれている。
1,000円を切る低価格やLINE関連のカウントフリーが評価され、J.D.パワー社の調査では、2021年~23年の3年連続で、オンライン専用ブランド/プラン部門で顧客満足度No.1の評価を受けている。また、新プランの発表後、申し込みやSNS上での反応も増加傾向にあるという。
LINEMOユーザーの実態は?
そんなLINEMOだが、どのようなユーザーが利用しているのか。市場調査会社であるMMD研究所の調査によると、LINEMOの利用ユーザーの過半数が、データの使用量が3GB以下の低利用ユーザーだという。
LINEMOに移行する前に利用していたキャリアについては、他社のオンライン専用ブランドとは明らかな違いが見られた。ahamoやpovoが自社のメインブランドからの移行が大半であるのに対し、LINEMOではソフトバンクからの乗り換えが少なく、楽天モバイルなど、他社からの乗り換えが多いという結果が見られるという。この点からも、LINEMOユーザーは料金の安さに敏感だということができるだろう。
続いて、8月上旬にLINEMOユーザーの1072人を対象に行った調査では、LINEMOへの乗り換えを検討した理由の1位が「通信料金の見直し」で69.7%、実際にLINEMOを契約した理由の1位が「料金プランが自分に合っているから」(36.7%)、2位が「コストパフォーマンスがいいから」(26.0%)。また開始したばかりの「ベストプラン」「ベストプランV」について「魅力的だ」と回答したユーザーの49.7%が「10GB以下最安だから」という理由を挙げており、ユーザーのコスト意識が高いことが浮き彫りになる結果だった。
また、実際に乗り換えたユーザーのうち、79.1%が「前と比べて安くなった」と回答しており、サービスの満足度では「満足」「やや満足」の合計が91.6%と、大多数が満足していることが明らかになった。
一方で、ベストプランの認知率は8月初頭段階で40%弱と、やや弱い。プラン内容への評価は高いだけに、新プラン周知が急務であるようだ。
LINEMOリアルユーザーの声は?
続いて、一般ユーザーを招待しての座談会が行われた。参加したのはいずれも関東在住のLINEMOユーザーの女性4人だ。ソフトバンクがLINEMOユーザーを招いてのイベントは初めてだとのことだが、これを開催した理由について、東氏は「ユーザーの本当の生の声を聞いて、ユーザーが何を求めているかを深掘りし、サービス改善に繋げていきたい」と語った。
まずLINEMO最大のメリットである「LINEギガフリー」については、モリヤさんとイワサワさんが選択の一番の理由に挙げ、日常的に活用しているとのこと。ドコモのガラケーを20年近く使ってきたというシノハラさんも、ahamoや楽天モバイルと比較した上で、LINEが使いやすい点でLINEMOを選んだという。LINEのヘビーユーザーになるほど、LINEMOのメリットが大きくなるようだ。
契約プランについては、「ベストプラン」を選んだトヤマさんは、「毎月10GBくらいのデータ容量を使用しているため、少し我慢すれば2,090円で抑えられる」と、段階性料金の魅力を語った。産休中のモリヤさんも、「月に2GB程度しか使っていないため、990円で済むベストプランがちょうどいい」とのこと。
一方「ベストプランV」を選んだイワサワさんは、以前は20GBまでの「スマホプラン」だったが、20GBを少し上回るケースが多かったので、ベストプランVに変更した」と語った。
なお、全員が自宅ではWi-Fi、屋外ではLINEMOという環境だが、屋外でもできるだけWi-Fiを使う、動画は事前にダウンロードしておくといった工夫をしているとの声もあった。
LINEMOは料金プランのみで、端末はユーザーが別途用意する必要があるため、機種変更などで端末を入手するのはどうやっているのかとの問いに対しては、4人中3人がオンライン購入(Amazonで)との回答。残る1人も、次からはオンラインで購入しようとおっしゃっていた。筆者的にはちょっと意外でもあったが、オンラインで(現物を見ずに)スマホを購入することに躊躇しない人が増えているようだ。
最後にLINEMOに期待する点として、「もっとお得な使い方がわかる仕組みや機会がほしい」「データ使用量がアプリからしか見られないのは不便」などの声があった。後者についてはLINEの公式アカウントと連携することで、LINE上で確認できるのだが、あまり広く認知されていないようだ。この点については、東氏から「便利な機能でも、ユーザーに届いていない」との反省の弁があった。東氏は、情報発信についてはやみくもに通知してもユーザーに読んでもらえないと難しさを示しつつ、今後も取り組んでいくとしていた。