法科学鑑定研究所はこのほど、同研究所が扱った「ドアパンチ事故に関する調査結果」を発表した。

この調査では、ドアパンチが発生する具体的な状況や、加害者の特定が難しい点に注目。また、同研究所が提供する工学鑑定や塗膜鑑定の重要性も明らかになった。

同調査は、2024年3月から6月にかけて、同意を得られた64件の相談者を対象に実施。事故の発生状況やその後の対応、法的な問題についてデータを収集した。これにより、新たな課題が浮かび上がり、それらの問題と対策について報告している。

■調査結果

ドアパンチ事故の発生場所については、64件中53件(約83%)が都市部で起きていた。都市部では、狭い駐車スペースや不注意なドアの開閉が原因でドアパンチが頻発しており、事故後に加害者を特定するのが難しいケースが多く報告されている。

同調査によると、ドアパンチの加害者がその場を離れたケースは全体の69%に達し、そのうち71%が加害者の特定に困難を感じていることがわかった。

特に、防犯カメラや目撃者がいない場合は、加害者を特定するのがほぼ不可能で、被害者が泣き寝入りするケースが増加傾向にある。さらに、契約駐車場内で発生したドアパンチでは、加害者が73%の割合で関与を否定し、トラブルに発展している実態も明らかになった。

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■ドアパンチの発生状況

ドアパンチは、例えば以下のような状況で発生する。

・狭い駐車スペース: 都市部では駐車スペースが狭く設定されていることが多く、隣の車両との距離が近いため、ドアパンチが発生しやすい。
・急いで車から降りる際: 雨の日や混雑したショッピングモールなどで、急いで車に乗り降りする際に、隣の車を確認せずにドアを開けてしまうことが原因になる。
・子どもがいる場合: 子どもがドアを開ける際に、力加減がわからず、隣の車にぶつけてしまうことも少なくない。

■実際の事例紹介

ドアパンチが原因で発生した具体的なトラブル事例には、以下のようなものがある。

事例1: Aさんは、商業施設の駐車場で隣の車両にドアパンチをしてしまい、その場で加害者と話し合い、修理費用を支払うことに。しかし、修理費用が想定以上に高額であったため、保険を使うことになり、保険料が上がる結果となった。
事例2: Bさんは、スーパーマーケットで買い物中にドアパンチを受けたが、加害者がその場を去ったため、修理費用を全額自己負担することになった。さらに、防犯カメラがない場所だったため、加害者を特定することができず、泣き寝入りせざるを得なかった。

■法的な影響

ドアパンチに関する日本の法律や責任について詳しく説明している。

・物損事故としての扱い: ドアパンチは「物損事故」として扱われる。加害者には、被害者の損害を賠償する義務が生じる。しかし、事故現場での証拠収集が不十分な場合、責任の所在が不明確になり、問題が複雑化することもある。
・損害賠償の範囲: 損害賠償の範囲には、車両の修理費用だけでなく、修理期間中の代車費用や、被害者の精神的苦痛に対する慰謝料が含まれることもある。

■結論

ドアパンチは、誰にでも起こりうる小さな事故だが、適切な予防策を講じることで、そのリスクを大幅に減らすことができる。

車を運転するすべての人が、自分の行動が他人に与える影響を認識し、責任を持つことが求められる。また、万が一ドアパンチが発生した場合には、冷静に対応し、同案件に詳しい弁護士に相談し、法的な手続きを正しく踏むことが重要だ。

また相手と揉めた場合には、法科学鑑定研究所に連絡をし、工学鑑定・塗膜鑑定などの相談・依頼も視野に入れておくことが肝心。依頼者の任意保険には弁護士特約が付いている場合が多く、弁護士費用及び鑑定費用も賄える場合が多い。