俳優の神尾楓珠と北香那が初出演するフジテレビ系スペシャルドラマ『最寄りのユートピア』が、9月25日(22:00~)に放送される。
このドラマは、ミュージシャンとしての成功を夢みて路上ライブを中心に活動するも、いつしか音楽を楽しむ気持ち、夢への情熱を見失い、自信も目標も失いかけている主人公・工藤隆司(神尾)と、他人からは順風満帆に見えるような人生を送りながらも、いつも心に満たされない思いを抱えている木崎夕莉(北)が出会い、不器用な2人が、“お酒”と“音楽”とともに過ごすことで次第に心を通わせていき、それぞれの人生に希望を見いだしていく姿を描くもの。
隆司は、高校時代に同級生とバンドを結成し、初めて出たオーディションで声をかけられて事務所に所属し、インディーズでCDを出したりライブハウスでの何度か演奏したりと活動するも、結果が出ず5年前に解散。メンバーは結果を受け入れ、それぞれ音楽以外の道に進んだが、隆司だけは音楽の道を諦めきれず今でもフリーのシンガー・ソングライターとして活動を続けている。しかし、5年間なんとなく活動をしているうちに、音楽活動がいつしか日常のローテーション、惰性の作業になってしまっていた。YouTubeの再生数も伸び悩み、新曲も作れぬまま時間だけが過ぎていく。自身の才能への自信がどんどん薄れていく中、隆司は、いつしか音楽を楽しむ心をなくしていた。そんな隆司は、会社員・夕莉と出会い、素直にあふれ出てくる感情のままに話をしたり歌を歌ったりするうちに、自分にとって最も価値ある存在に気づき…。
夕莉は、周囲との人間関係も良く、一見すれば充実した生活を送っているように見えるが、当たり障りのない日常を過ごすことに漠然とした焦燥感を抱いていた。入社以来、希望の職務につけていないが、特に行動を起こしてはいない。自分のしたいことにエネルギーを注ぎ、がむしゃらに頑張る同世代の同僚や友人に比べ、一つのことに熱中するような経験がなく、ぼんやりとした引け目を感じてきた夕莉。そうした自分の負の感情にふたをしてきたが、偶然隆司と出会ったことをきっかけに変わり始める。
脚本を担当するのは、新人脚本家の登竜門「フジテレビヤングシナリオ大賞2023」で佳作を受賞した片岡陸氏。人生で初めて書いた脚本で佳作を受賞した片岡氏が、今作でテレビドラマ脚本家としてデビューを飾る。今作は、「ヤングシナリオ大賞」に賛同した、サントリーの提供で制作される。
演出は、『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』など多数のフジテレビドラマに加えて、『金魚妻』(Netflix)などを手がけてきた並木道子氏、プロデューサーは『ナンバMG5』『ブルーモーメント』などを手がけてきた栗原彩乃氏が担当する。
コメントは、以下の通り。
■神尾楓珠
――今作の出演オファーを受けた際の心境について
「うれしかったです!ただ、ギターの弾き語りに少し心配も…。バラエティ番組で歌わせていただいたことはありましたが、今回演じる隆司はシンガー・ソングライターとして活動していて、人前で歌ったりギターの演奏に慣れている人なので、“自分で大丈夫かな、と、今もプレッシャーを感じています(笑)」
――歌やギターの練習を積まれているそうですね
「上達はしていると思います!撮影となると、練習場所とは環境が異なるので、緊張もするだろうし、もっと演奏に慣れておきたいと思っています。演奏する曲は本当にすごくいい曲で、やりがいを感じています」
――演じる工藤隆司の印象について
「僕の中では、隆司のキャラクターはすごくつかみやすかったです。普段のトーンや空気感、夢に対する気持ちや自分に期待していないという部分は、なんとなくわかるなと思います。僕もサッカーをしていた時に挫折した経験があるので、その時の感覚に近いのかな、と。自分と隆司が完全に一致しているというわけではないですが、共感できるところは多いです」
――初共演の北香那の印象について
「本読みなどでお会いしましたが、北さんのたたずまいから、品の良さを感じました。初めてお芝居させていただくので楽しみです」
――今作は“お酒”がキーポイントとして登場しますが、ご自身の“お酒”エピソードは?
「落ち込んでいる時などに立ち直るためにお酒の力を借りることはありますし、友達と飲んでいる時には、お酒を飲んでいるからこそ話せることもあります。遊んでいる時は真面目な話や仕事の話はあまりしないんですが、お酒を飲んでいる時はそういう話をして、“実はこういうことを考えていたんだ、こういうことで悩んでいたんだ”と気づくことも。お酒があったからこそ人の本音を知り、通じ合えた経験が僕にもあります」
――視聴者の方へメッセージ
「まずは、ギターと歌を頑張って、皆様に届けられたらいいなと思っています!今回のようなキャラクターを演じるのは初めてですが、頑張って取り組みますので、ぜひ作品をご覧いただけたらなと思います。それぞれの夢に悩みをかかえた登場人物が、人と人のつながりを通じて自分の考え方を見つめ直していくという魅力をもった作品なので、ご覧いただく皆様が前向きになる力になれたらうれしいです!」
■北香那
――今作の出演オファーを受けた際の心境について
「まず、私はサントリーのビールが好きなので、率直にうれしかったです(笑)。脚本を読んでみると、現代の若者たちがかかえている漠然とした将来への不安や悩みが作品中で優しく表現されていて、悩みをもっていることがまるで美しく見えるなと思ったんです。今の時代に必要な作品ではないかと感じて、そのような作品に携わることができてとてもありがたいです」
――演じる木崎夕莉の印象について
「私にすごく似ているなと感じますし、気持ちがすごくわかります。夕莉のように、場面に応じて人格が変わるというのは、私も経験があります。場面を使い分けて自分を変えることは、ある意味“ピエロになれる”ような感覚かと思うんです。“ピエロになれる”って、私は社会において良いことだと思っていて。ただ、そういう夕莉だからこそ、本当の自分とは何かわからなくて混乱するという悩みもありそうな感じがして。“本当の自分がわからない、幸せって何だろう”と。そういう感覚は私も感じたことがあるなと、共感しました」
――初共演の神尾楓珠の印象について
「役にぴったりだと思いました。イメージしていた隆司の人物像がぴったりだったんです。悩める美しい青年という感じがしました」
――今作は “お酒”がキーポイントとして登場しますが、ご自身の“お酒”エピソードは?
「例えば、分かり合えていないかも、すれ違っているかも、苦手だな…と感じる方がいたとして、なんとなくずっとその心持ちでいたのに、お酒を飲んで話したら、いきなり誤解が解けるとか。お酒を飲むことによってすごく素直になれる方がいると思うんですが、私もそのタイプで。お酒を飲むと、“実はこう思っているんだけど…”と本音を言えるようになる。お酒を飲んで、楽しくなって、心が開いて、相手に心から話ができる。一緒にお酒をかわしたという事実が、人間関係をより深めるきっかけになるなと感じたことは何度もあります」
――視聴者の方へメッセージ
「全国の悩める若者たちに、この幸せなお話が届けばいいなと思います。その悩んでいる状態のままですごく尊くて、その悩みが美しいんだよということを伝えたいな、この作品で伝えられればいいなと思っています。みなさんも作品を見ながらお酒を一緒に飲みましょう(笑)!」
■プロデュース:栗原彩乃氏(フジテレビ ドラマ制作部)
「なかなかタイトルが決まらず、最後の最後に作家の片岡さんから出てきた案が『最寄りのユートピア』でした。“まさにこれだ!”と小躍りしました。2人で過ごした他愛もない時間が、隆司と夕莉に一歩踏み出す勇気をくれたように、ビールを飲んで鼻唄を歌って…なんでもないけど居心地の良い場所こそが、日々を生き抜くためには必要なのだ。そんな想(おも)いがこもったすてきな作品になりました。神尾さんは会う度に歌とギターが上達していて驚かされます。ラストの路上ライブのシーンの撮影が楽しみで私は今、眠れません。間違いなく見所になります。北さんのコロコロと変わる表情は愛くるしく、目を奪われます。そんな2人が出会い、交流を深める夜の公園のシーンはエモさ満載です!“お酒”と“音楽”をテーマにした、新しいカタチのドラマをどうぞお楽しみに!」
【編集部MEMO】
演出の並木道子氏は、『silent』『いちばんすきな花』、そして現在放送中の『海のはじまり』の脚本家・生方美久氏が大賞を受賞した「フジテレビヤングシナリオ大賞」で審査員長を担当している。
(C)フジテレビ