ピーマンと特に相性の良い野菜・ハーブなど6選

ナス科トウガラシ属のピーマンは、中央アメリカから南アメリカの熱帯地方が原産地です。熱帯では多年草、日本など温帯の地域では一年草です。
現在と同じようなピーマンが日本に伝えられたのは明治時代とされていますが、広く普及したのは第二次世界大戦後になります。
日本の大半の地域では4月下旬から5月頃に植え付け、6月から10月頃にかけて収穫される夏野菜で、初心者でも比較的育てやすいといわれています。
日当たりの良い場所を好むため、日照を遮らない環境を整えましょう。また、熱帯原産のため暑さには強い一方、ほとんどの品種が低温に弱いので注意してください。ピーマンと特に相性の良いコンパニオンプランツには、下記の5種類があります。

落花生

ナス科のピーマンはマメ科植物との相性が良好です。マメ科の根の根粒菌の働きにより窒素が固定されるため、土壌が豊かになり、ピーマンの成育を促進してくれます。また、ネコブセンチュウの発生を抑制する効果も期待できます。落花生は背丈が低いため、ピーマンへの日当たりを遮らず空間の有効活用にもなります。

ニラ

ニラの根に共生する拮抗菌の働きにより、青枯れ病や萎凋病などの病気を予防する効果が期待できます。病気予防の効果を発揮するためには、ニラとピーマンの根を近づけて植えると良いでしょう。また、アブラムシなどの害虫がニラの香りを嫌うため、虫除けとしても有用です。

ニンニク

ニンニクも独特の強い香りで、害虫を寄せ付けにくくしてくれます。
また、ニンニクには青枯病や立ち枯れ病の病原菌を抑える微生物が共生しているため、病気を防ぐ効果も期待できます。秋に植え付け、初夏から夏にかけて収穫となるので、ピーマンより早くからの準備が必要です。

つるなしインゲン

つるなしインゲンも落花生と同様にマメ科のため、根粒菌の働きにより土壌が豊かになり、成育を促進する効果が期待できます。つるなしインゲンは大きくなり過ないため管理しやすく、ピーマンの日照を遮る心配もそれほどありません。ただしピーマンとつるなしインゲンを混植すると、センチュウを増やす可能性がある点には注意が必要です。

マリーゴールド

キャベツやトマト、オクラなど多くの作物のコンパニオンプランツとして活躍するマリーゴールドは、ピーマンとの相性も良好です。センチュウを遠ざけて土壌をきれいにしてくれるほか、独特の香り成分にアブラムシやコナジラミを寄せ付けにくくする効果があり、害虫除けにもなります。

ナスタチウム(キンレンカ)

オレンジ色の花が美しいナスタチウム。花を食用にできるエディブルフラワーのため、収穫してサラダや前菜に使う楽しみもあります。コンパニオンプランツとしても有用で、ナスタチウムの香りは、ピーマンに付きがちなアブラムシを遠ざけ、益虫を誘う効果が期待できます。また背丈が低く横に広がる形状のため、ピーマンの根元を保護するためにも有用です。

パセリ・バジル

その他、ハーブ類としてはパセリやバジルもおすすめです。強い香りがアブラムシやハダニなどを寄せ付けにくくする効果があり、パセリはピーマンの陰になってもよく育ちます。
バジルは成長するにつれて葉が密集しがちなので、ピーマンへの日当たりを遮らないよう注意してください。

相性の良い組み合わせと効果一覧表

野菜編

コンパニオンプランツ 分類 成長促進 病害虫の予防 株元の保護
空間の有効活用
落花生 マメ科
ニラ ヒガンバナ科
ニンニク ヒガンバナ科
つるなしインゲン マメ科

ハーブ・花編

コンパニオンプランツ 分類 成長促進 病害虫の予防 株元の保護
空間の有効活用
パセリ セリ科  
バジル シソ科    
マリーゴールド キク科
ナスタチウム ノウゼンハレン科  

混植に適さない野菜

同じような害虫が集まりやすくなるため、トマトやジャガイモ、ナスなどピーマンと同じナス科の野菜を混植するのは避けましょう。
また、ウリ科のキュウリやスイカ、アオイ科のオクラもピーマンとの混植には適していません。土壌中のセンチュウを増やしてしまったり、お互いの成育を妨げてしまったりする可能性があります。

前作・後作に植えたい野菜・NGな野菜

ピーマンを含むナス科の植物は、連作障害を起こしやすい特徴があります。ピーマンを続けて作るのはもちろん、同じナス科のトマトやナス、ジャガイモなどを前作・後作にするのも避けましょう。
土壌を改良してくれるマメ科の作物はピーマンとの相性が良いため、コンパニオンプランツとして紹介した落花生、エンドウなどが前作・後作に適しています。ピーマンの大敵であるネコブセンチュウを減らす効果が期待できます。その他ダイコン、ニンジン、トウモロコシなどもピーマンの後作におすすめです。

ピーマンのコンパニオンプランツを選ぶポイント

コンパニオンプランツを選ぶ際には、それぞれの作物の特性を知っておく必要があります。ピーマンの特性を踏まえた上で、相性の良い植物の中から自分が求める効果を得られるものを探してみてください。
ピーマンは暑さに強く、日本の夏に適した野菜です。日当たりの良い場所を好むため、コンパニオンプランツの葉などがピーマンへの日照を遮らないように注意しましょう。

コンパニオンプランツを利用する際の注意点

家庭菜園でも気軽に取り入れることができ、さまざまなメリットのあるコンパニオンプランツですが、実践する際に注意すべき事項があります。前もって知っておきたい主な注意点として、下記の3つがあります。

注意点①農薬について

農薬の使用を減らすために、コンパニオンプランツを活用したいと考える人も多いかもしれません。
病害虫の予防など農薬と同じような効果が得られるコンパニオンプランツもありますが、農薬に比べると効果が出るまでに時間がかかる、効き目が穏やかであるといった傾向があります。コンパニオンプランツと農薬の利点を生かし、うまく組み合わせて使用すると良いでしょう。
また、農薬にはそれぞれ使用できる作物や使用方法などが定められています。コンパニオンプランツとして二つ以上の作物を混植する場合には、双方に使用可能な農薬を使う、あるいは対象外の作物には使わないようにするなど、規定を確認して適切な利用を行なってください。

注意点②コンパニオンプランツの植え方について

コンパニオンプランツの植え方は、異なる種類の作物を一緒に植える「混植」が基本です。
ピーマンは日当たりの良い環境を好むため、コンパニオンプランツが日光を遮ってしまわないよう管理してください。植え付けの際に適度な間隔をあけておくほか、不要な葉は取り除いて日照と風通しを確保しましょう。ナスタチウムなど香り成分が欲しいコンパニオンプランツの場合は、地植えでなく鉢植えにしてピーマンの近くに置く方法もあります。

注意点③コンパニオンプランツの効果について

前提として、コンパニオンプランツの効き目は化学肥料や農薬に比べて穏やかであり、効果を発揮するまでに時間がかかる点に注意が必要です。
コンパニオンプランツを植えてからしばらく様子を見ても期待した効果が感じられない場合は、植え方や日当たり、風通しに問題がないかを確認し、必要に応じて調整してみましょう。

ピーマンの栽培にコンパニオンプランツを取り入れよう

病気の予防や虫除け、成育の促進などさまざまな効果が期待でき、空間を有効活用や農薬の使用を減らすことにもつながるコンパニオンプランツ。メリットを享受しながら、一度に2種類以上の作物を育てる楽しみも味わえます。家庭菜園でも人気のピーマンの栽培に、ぜひコンパニオンプランツを取り入れてみてください。