日本玩具協会は、同協会が主催する「東京おもちゃショー2024」記者発表会を開催し、「東京おもちゃショー2024」の見どころや玩具業界のトレンドなどを紹介。さらに、「日本おもちゃ大賞2024」の授賞式を開催した。本稿では、「東京おもちゃショー2024」の見どころや玩具業界のトレンドを紹介する。
今年から「東京おもちゃショー」は夏休み最後の大イベントに
記者発表会ではまず、日本玩具協会 会長 前田道裕氏が登壇。今年で61回目を迎える「東京おもちゃショー」は、これまで新製品発表の場、商談の場として活用されてきたが、今回より開催時期を6月から8月末に移したことで、「夏休み最後の大きなイベントを目指し、玩具業界の情報発信を強化したい」との意気込みを明かした。
そして、「東京おもちゃショー」のもうひとつの目玉である「日本おもちゃ大賞」についても言及。今回は審査の過程を若干変更することによって、「市場性はもちろん専門家から見てもすばらしいと評価される新商品をご紹介できる」とした。
日本国内の玩具市場規模は前年比107.1%と大きく伸び、1兆193億円に達するなど、少子化が進む中でも、2019年以降、4年連続で伸びており、前年度に続いて過去最高を記録。「この波に乗って、おもちゃショーで発表される新製品を軸に、クリスマス商戦に向かって玩具市場がさらに盛り上がることを期待している」という前田会長。「東京おもちゃショー」は「おもちゃで世界を笑顔に」をテーマにしており、「私たち玩具企業にとって、新たな商品を生み出していくエネルギーの源は何と言っても子どもたちの笑顔」だと締めくくった。
続いて、日本玩具協会 見本市委員会 委員長の佐藤明宏氏が「東京おもちゃショー2024」の概要を説明。主催:日本玩具協会、共催:東京都、後援:経済産業省によって行われる「東京おもちゃショー2024」の会期は2024年8月29日(木)~9月1日(日)の4日間で、29日と30日の2日間がバイヤーズデー、31日と9月1日がパブリックデー(一般公開日)となっている。会場は東京ビッグサイトの西展示場1、2、4ホールとアトリウムを使用し、入場料は中学生以下が無料、それ以外が1800円(こども商品券300円含む)となる。
バイヤーズデーの出展社数は、昨年の156社を上回る192社(海外74社)で、土・日のパブリックデーは、今年も小学館「コロコロコミック」のイベント「コロコロ魂フェスティバル」が西3ホールで併催される。入場券は「東京おもちゃショー2024」と共通。また、会場内には、ボードゲームメーカー7社が集まって展示する「ボードゲームキャラバン」を展開。そのほか、キャラクターステージショーや景品付きスタンプラリーなど来場者が楽しめるコンテンツを多数用意する。
なお、昨年の入場者実績は、バイヤーズデーが16,896名で、パブリックデーが51,701名となっているが、今回は夏休み中の開催ということにあり、暑さ対策に万全を期しつつ、バイヤーズデーが2万名、パブリックデーが6万人の入場を目指しているという。また、玩具業界に関心のある学生を対象とした「玩具業界研究セミナー」の実施も予定されている。「バイヤーズデーにおいては、展示される商品が注目され、話題が高まることを期待。パブリックデーは、おもちゃやキャラクターに触れ合っていただくことで、夏の良い思い出をご提供できれば」(佐藤委員長)。
国内玩具市場規模は、少子化のなかでも過去最高を記録
日本玩具協会 見本市委員会 専門委員の藤井大祐氏は、「東京おもちゃショー2024」の開催に先立ち、おもちゃ市場の規模と傾向、そして今年のトレンドについてを紹介。
日本玩具協会では、2023年度(2023年4月1日~2024年3月31日)の玩具市場規模調査を実施。その結果、希望小売価格ベースで初めて1兆円を超える1兆193億円に達した。少子化が進む中でも、2019年以降4年連続で伸びており、前年度に続いて過去最高を記録、前年度比では107.1%となった。2022年度はカプセルトイの市場を加えることで1兆円を超える規模とされたが、2023年度は玩具だけで1兆円を超える市場規模になったとあらためて強調する。
「近年ますます顕著になっている少子化トレンドの中で、おもちゃに対するニーズが非常に高く、玩具市場が今後さらに成長していく可能性があることを示している結果」との見解を示す藤井氏だが、玩具市場の中核を占める10分野(市場全体から雑貨やホビー、ベビーカーなどの乗用関連を除いた分野)だけでも2023年度は前年度比108.5%の6,883億円と過去最高を更新しているという。
玩具市場が初めて1兆円を超えた最大の要因を金額ベースで見ると、前年度より425億円売上を伸ばして、今や2,774億円市場となったカードゲーム・トレーディングカード市場の伸びが非常に大きく、市場全体を牽引。プラモデルとフィギュアが好調だったホビー市場も79億円拡大して、1,749億円市場となり、ぬいぐるみも67億円伸ばして、391億円市場へと成長している。そのほか、ハイテク系トレンドトイが前年比121.5%、のりもの玩具が108.9%と伸長。
カードゲーム・ドレーディングカードは、「ポケモン」カードゲームが昨年に続いて大きな伸びを見せていること加えて、「ワンピース」や「遊戯王」などのブランドもそれぞれ好調。ホビーは、ガンプラをはじめとするプラモデルやインバウンド層のおみやげ需要が高まるフィギュアが後押しをした。
ぬいぐるみジャンルは、「ポケモン」「スーパーマリオ」「ピクミン」「スタジオジブリ」などのキャラクターぬいぐるみが大きく牽引。ハイテク系トレンドトイが大きく伸ばした要因としては、たまごっちの新機種「Tamagotchi Uni」の発売や、「Original Tamagotchi」のヒット、そして「ぷにるんず」シリーズのヒットなどを挙げ、のりもの玩具では、トミカとミニカーブランドの「ホットウィール」の躍進が貢献しているという。
2023年度に伸びが顕著だった、カードゲーム、ホビー、ぬいぐるみ、ミニカー、ハイテク系トレンドトイなどのジャンルは、いずれも「キダルト(kids-adult)層」と呼ばれる「子どもの心を持った大人」層までをターゲットにした商品分野であり、さらに、インバウンド層にも人気が高い分野であることが特徴。「それが少子化の中でも玩具が成長産業になっている大きな要因」との見解を示した。
続いて、スペシャルゲストとして。「東京おもちゃショー2024」パブリックデー応援アンバサダーを務める木村昴氏が登壇。開催を間近に控える「東京おもちゃショー2024」について、「めちゃめちゃ楽しみですよね」と笑顔を見せる木村氏だが、特に大人も一緒に楽しめる要素について言及。「お子さんの付き添いというだけではなく、親子一緒に楽しめるところにも注目してほしい」と話した。
また、出展されるおもちゃのクオリティの高さに「大人になっておもちゃの偉大さ、すごさにあらためて気付かされることが増えた」と驚きが隠せない様子で、自分自身も夏休みの締めくくりのイベントとして、良い思い出をたくさん作りたいとしながら、「皆さんと一緒におもちゃショーを盛り上げて、たくさんの子ども達に忘れられない夏をお届けできたら」と、アンバサダーとして「東京おもちゃショー2024」を精一杯盛り上げていくことを約束した。