第74回NHK杯将棋トーナメント(主催:日本放送協会)の2回戦3局目。後手羽生善治九段、先手近藤誠也七段の対局が8月25日(日)に放送されました。その結果、127手で近藤七段の勝ちとなりました。
序盤、横歩取りでの進行となり、羽生九段は手にした角を早々と手放して攻撃に投下。先手を攻め立てます。両者、飛車、角の大駒で制空権を掌握しようと攻防を繰り広げる中、羽生九段が相手陣深く3筋に歩を打ち込みます。これが毒矢のように、と金に化け、近藤七段の守りを盤面右側から崩壊させていきます。
そのまま羽生九段ペースで進んでいくかに見えましたが、駒の選択が緩かったか、先手玉が早逃げに成功し、逆に桂馬と歩をつかって羽生王にカウンターをいれ、7筋に羽生王の致命傷になる歩を残すことになります。
このあとも羽生九段は攻め続けますが攻撃が途切れたその刹那、NHK杯の30秒将棋に落とし穴が待っていました。近藤七段がさきほど残した7筋の歩を起点に豊富な持ち駒で一気に後手王を詰ましてしまいました。
羽生九段においても、秒単位の持ち時間の中、相手を攻めながらも自陣の安全を確保することは困難でした。この結果、近藤七段は3回戦に進出しました。