東京国立博物館(通称とーはく)に、11月8日から12月8日まで、子どもと保護者が一緒にのびのび楽しめる「あそびば」が登場する。子どもたちには博物館で思い切り遊んで「楽しかった!」という気持ちを持ち帰ってもらい、保護者には周りに気兼ねする必要がない居心地の良いスペースを提供したいという思いを込め、“博物館のあそびば”を期間限定でオープンする。
同館ではこれまでにも、子ども向けの「トーハクキッズデー」をはじめ、さまざまな来館者層に向けた企画を実施してきたが、総合文化展(平常展)の来館者のうち、子どもの占める割合は10%前後で推移。来館者アンケートでは、「授乳室や飲食可能な休憩スペースなど、子どもと過ごすための環境が十分に整備されていない」「『騒いではいけない』『走ってはいけない』などの展示室におけるルール・マナーは、子連れで観覧する際に厳しいと感じる」という意見も多く寄せられているという。
※令和5年度の総合文化展来館者数約100万人のうち、中学生以下の子どもの来館者数は約11万人
これらをふまえ、子どもと保護者にも居心地の良いスペースをつくる試みが、今回の「あそびば☺とーはく!」。試験的に実施するこの期間限定イベントを機に、設備等のハード面、展示、イベントなどを、利用者の目線に立って見直していく。「博物館は子どもと行く場所ではない」「子どもが騒ぐと周りに迷惑がかかる」など、子どもを博物館に連れて行くことにためらいを感じていた子育て世代に、気軽に来館するきっかけになることを目指している。
約500㎡の広い展示室が、子どものための「あそびば」&休憩スペースに変身
本館特別5室は、本館エントランスの大階段の奥側にある展示室。通常は特別展などで使用される約500㎡の広い展示室が、子どものための「あそびば」、そして休憩スペースに変身する。
入口を抜けると、全長約12メートルの大きな前方後円墳「とーはく古墳」が出現。古墳に上ったり下りたり、古代人になったつもりで楽しく遊べる。また、考古学者になった気持ちでお宝を探せる発掘現場のボールプール、「こども遺跡」も用意。会場内には「埴輪 踊る人々」をモチーフにしたクッションも設置する。
150 冊以上の子ども向けの本が自由に読めるリラックスエリアでは、大人も子どもも靴を脱いで一緒にくつろげる。「はにわぬりえ」「はにわパズル」など、自由な発想で遊べるおもちゃも用意する。
授乳・おむつ替えスペース「ベビーケアルーム」は会場内に2台、本館エントランスに1台設置。会期中は本館地下1階の多目的トイレ内におむつ用ダストボックスを、会場出口付近にベビーカー置き場を約14台分設置する。
「あそびば☺とーはく!」の会場は本館特別5室、期間は11月8日から12月8日まで。小学生以下の子どもとその保護者が対象で、子どものみ、大人のみでの入場は不可。