農業や水産業が盛んな島根県の西部・浜田市で、JA(農業協同組合)による地域イベントが開催された。
JAは日本各地で組合員や地域住民との繋がりを深める地域貢献活動「JA ふれあいの集い」を実施している。その一環として8月10日に行われたのが、いわみ中央地区本部と、JAしまねいわみ中央女性部が主催する「JA ふれあいの集い “いわみ中央女性大会および家の光大会”」だ。
参加者は、JAしまねいわみ中央女性部の部員とOB、JAグループの月刊誌「家の光」購読者たち約100名。女性部によるステージでの発表や講演、そして交通安全落語などが行われ、イベントは大いに盛り上がった。
▼5年ぶりに笑顔溢れる! JAしまね女性部による地域貢献イベント
島根県で開催されている「JA ふれあいの集い」では、地域の組合員や職員との“ふれあい”の機会を作ることを目的に、映画上映や講演会などさまざまな催しが行われてきた。イベントの目玉となるのがJA共済による交通安全教室である。アンパンマンによる交通安全キャラバンや、プロのスタントマンを呼んでの自転車の交通安全教室、落語家による交通安全落語など、参加者の年代に合わせたコンテンツで、交通安全を啓発している。
2010年から行われている「JA ふれあいの集い」だが、今回の開催は5年ぶりのこと。コロナ禍で長らく自粛となっていたのだ。
イベントを運営するJAしまねいわみ中央地区本部の企画総務部ふれあい課の課長・井上まゆみさんは、「今回一番大切なのは、参加者の方々に楽しんでもらうこと」とイベントの趣旨を説明する。「コロナが蔓延していた数年間、なかなか人が集まる機会を持つことができず、女性部の部員数も減少傾向にありました。今回は女性部の部員の方々だけでなく、辞められた方々も招待し、一緒に楽しむことで地域発展を目指していきたい」と久々の開催への期待を滲ませた。
開会式では、主催者であるJAしまねいわみ中央地区本部、常務理事本部長の佐々木 豊さんが登壇。「今日は数年ぶりに皆が交流できる機会。日頃の活動の成果を発表したり作品展示の感想を言い合ったり、楽しい会話で盛り上がってほしい」と語り、「今日はとにかく楽しんでください。落語で笑いながら最後に交通安全を学びましょう」と呼びかけた。
イベントでは女性部を代表して宮本美保子さんが活動体験を発表。「次世代に伝えたい干し大根」というテーマでスピーチを行った。
島根で干し大根作りに取り組む宮本さんは、「干し大根は島根の郷土食材。私たちが干し大根作りを続けることで、色々な方に美味しさを知ってもらえるようになり、「東京の給食に使いたい」という相談までいただきました」と振り返り、「1人ではできないことも女性部という組織であれば成し遂げられる。今後もJAと協力して干し大根を故郷の味として継承していきたい」と女性部の存在の大きさを語った。
続いて行われた講演には、家の光協会の稲村沙織さんが登場。「家の光」9月号の付録「家活でいつでも成長できる! 脳活のススメ」から昭和にまつわるクイズを出題した。
「昭和33年に誕生した赤と白がトレードマークの東京都港区の建物は?」「緑色のフィルムケースのようなデザインの商品は?」などのクイズに、参加者たちは当時を思い出しながら解答していた。
講演の最後に稲村さんは「水害や災害が増えているなか、女性部のようにいざという時に助け合える仲間がいることはとても重要」と語り、「皆さんが集まって楽しい活動をするとき、ネタ探しに「家の光」を使っていただけるとうれしい」と思いを口にした。
もっとも会場を盛り上げたのは、落語家・三遊亭遊馬師匠による交通安全落語である。高座にのぼった三遊亭師匠は、落語初心者でも楽しめるように解説を交えながら交通安全を啓発する小噺を披露した。
落語ではお馴染みの蕎麦を食べる仕草をレクチャー。巧みな話術で参加者たちの想像力を駆り立てながら、落語の世界に引き込んでいく。
また噺のなかでは、高齢者による車の事故は、アクセルの踏み間違えや逆走など“うっかり”が原因になると言及。「高齢者が交通事故に遭わないためには外に出なければいい」と冗談を言ったあとで、「事故に絶対遭わないわけではないが、反射材などを身につけた方がいい」と注意を促した。
そしてイベントの終盤では、高齢歩行者やドライバーに向けたレインボー体操の教室も実施した。レインボー体操とは、高齢者の交通事故の要因である、加齢に伴う身体的機能の低下を和らげ、改善するためにJA共済が開発した運動のこと。プログラムは手指の運動や眼の運動など、椅子に座って行えるものばかり。運動に参加した人々からは自然と笑顔が溢れ、朗らかな雰囲気の中でイベントは幕を閉じた。