第37期竜王戦(主催:読売新聞社)は昇級者決定戦が進行中。8月16日(金)には6組の西田拓也五段―徳田拳士四段戦が関西将棋会館で行われました。対局の結果、居飛車穴熊を用いて四間飛車を粉砕した徳田四段が117手で勝利。昇級まであと5勝としました。
昇級者は誰に
6組の昇級者決定戦は30名からなる山を勝ち抜いた計2名が5組への昇級を果たすもの。昇級までは最大で8連勝が必要です。振り駒が行われた本局は後手となった西田五段が得意の四間飛車を披露。金無双に囲ったのち、囲いの一部をなす銀を前線に繰り出したのが居飛車穴熊攻略のための陣立てでした。
端からの穴熊攻略を見せられた先手の徳田四段は驚きの勝負手を繰り出します。当たりになっている金を放置して飛車の成り込みを優先したのが自玉の堅さを生かした決断の一手。金損の実害は大きいものの、後手玉の薄さに乗じて実戦的に勝ちやすい局面を作ることに成功しました。
意表の馬捨てで勝利
続いて徳田四段は受けの好手でペースをつかみます。後手の田楽刺しの狙いにあえて飛び込むように馬を差し出したのが、自玉への嫌味をさっぱりさせる好着想。直後に打った玉頭を守る歩打ちが継続手で、先手の穴熊には取っ掛かりがありません。西田五段は局後これを「堅すぎてうんざりした」と振り返りました。
ようやく反撃の手番を得た徳田四段は満を持して反撃開始。逆転を目指す西田五段のラッシュをいなしつつ、金捨ての王手から一間竜の形を作ったのが寄せの決め手でした。終局時刻は20時2分、最後は自玉の即詰みを認めた西田五段の投了で徳田四段の4回戦進出が決まりました。
水留啓(将棋情報局)