今回は、無意識に使いがちな上から目線に聞こえる言葉一覧を紹介します。ビジネスシーンや友人・恋人との日常会話で、知らず知らずのうちに相手を不快にさせているかもしれません。早速チェックしていきましょう。
上から目線に聞こえる言葉【ビジネスシーン】
まずは、ビジネスシーンで無意識に使ってしまいがちな上から目線に聞こえる言葉を紹介します。言葉一つで信頼関係にヒビが入り、その後の仕事に悪影響を与える……なんていうことはビジネスシーンでは珍しくありません。
ここで紹介する言葉は、ビジネスシーンでは避けた方が無難ですよ。
「どちらさまでしょうか」
電話対応や急な来客などで相手に向けて質問する、「どちらさまでしょうか」という表現。失礼のないようにと気を遣っているように聞こえる敬語ではありますが、「あなたのこと知らないんだけど、誰よ?」と圧をかけられているように捉える人も意外と多いのだそう。
「すみませんが、お名前を伺ってもよろしいでしょうか?」と、丁寧に尋ねるように心がけましょう。
「参考になりました」
一見、感謝や賛同を示す言葉のように思えますが、「参考になりました」という言葉は、相手の意見を単なる情報の一部として処理しているように受け取られることがあります。つまり、「私の話は参考程度なものなのね」「聞き流しているだけなのでは?」と捉えられてしまう恐れがあるということ。
この場合、「具体例を聞いて腑に落ちたので、ここをこう改善するようにしますね」「ご教授いただいたこの点を活用して、再度案を練り直します」というように、相手の話を聞いた上で今後アクションを起こすことを伝えると好印象です。
「なるほど」
相手の話を聞いている姿勢をアピールするために使う相槌、「なるほど」。「あなたの発言は正しいと評価します」「あなたの発言について検討してあげてもいいですよ」といったような評価的なニュアンスも含まれるため、相手によっては上から目線だと捉えられてしまうこともあるようです。
「確かに仰る通りですね」や「その観点は抜けていました、ご教示いただきありがとうございます」と相手を立てるように言い換えることで、相手に対する敬意を示すことができます。
「いいですよ」
「いいですよ」という言葉は、相手の提案や要求を承諾する際によく使われます。しかし、相手やシチュエーションによっては「多少不満があるが、承諾してあげます」と上から目線の態度や、「よくわからないけど、好きなようにしていいよ」と投げやりな態度にも捉えられる可能性があります。
「承知しました。こちらとしても非常に助かります」といったように、少し丁寧に言い換えるだけで相手に与える印象が大きく異なりますよ。
「とてもいい提案です」
一見褒めているように聞こえますが、「上から目線で一方的に評価している」と受け取られることがあります。
「非常に興味深い提案ですね。具体的にどういった点が特にいいと思われますか?」などと聞き返すことで、双方向のコミュニケーションを促進し、よりいい関係を築くことができるはずです。
「〇〇してください」
関係性にもよりますが、「〇〇してください」と言われるのは「上から目線で指示をされているようで鼻につく」と捉える人もいるようです。「〇〇していただくようお願いいたします」「〇〇をお願いしてもいいですか?」と言い換えるだけで、柔らかいニュアンスになりますよ。
「何を言っているのか分かりません」
相手が話していることについて、「何を言っているのか分かりません」とバッサリぶった切ってしまうのも、上から目線に捉えられるので要注意。言われた人は、自分の話を全否定されているような気持ちになります。
「〇〇という認識で合っていますか?」「ここについてもう少し具体的に教えていただけませんか?」というように、不明点については相手に質問する形で確認すると柔らかい印象に。
上から目線に聞こえる言葉【日常会話】
日常会話の中でついつい使ってしまう言葉の中にも、相手に上から目線だと捉えられてしまうものがあります。大切な人との関係性を壊さないためにも、ここで紹介する言葉を自分が使っていないかチェックしていきましょう。
「〇〇でいいよ」
「〇〇でいいよ」「それでいいよ」という言葉は、納得・承認という意味で使われることが多いのですが、「納得していないけれど、もうそれでいいよ」という投げやりな態度に映ることも。
例えば、「今日の夕飯は何がいい?」という質問に対して「カレーがいい」であれば純粋に「カレーを食べたい」と言っているように捉えられますが、「カレーでいい」だと「たいして食べたいわけでもないが、カレーでも可」というように、後ろ向きに聞こえますよね。
「私も〇〇がいいです」「賛成です。それでいきましょう」などと言い換えることで、相手に「あなたの意見を肯定しています」という意図を伝えることができます。
「〇〇してくれてもいいよ」
「〇〇してくれてもいいよ」というフレーズも、「何様?」と不快に感じる言葉の一つ。
例えば、待ち合わせをしているときに相手から駅に到着したと連絡があった際、「今駅にいるなら、改札まで迎えに行こうか?」と質問をしたのに対して「迎えに来てくれてもいいよ」という返答があると、「なんで迎えに来るのを『許してあげる』というスタンスなんだ?」とモヤモヤしませんか?
上記のシーンでは、「迎えに来てくれると嬉しい」「お願いしてもいい?」とむしろ相手にお願いする姿勢で返事をするのが礼儀です。
「〇〇した方がいいですよ」
何気ないアドバイスとして「〇〇した方がいいですよ」という言葉を使うことがありますが、自分の意見を偉そうに押し付けているように感じられる傾向があるようです。
「こちらの方法もおすすめですよ。試してみませんか?」と柔らかく提案することで、相手の自主性を尊重することができます。
「私もできたから、あなたもできるよ」
人にはそれぞれ異なる立場や状況があり、自分ができることを相手も同じようにできるとは限りません。安易に「あなたもできる」という言葉はプレッシャーにもなりかねないため、相手の立場や気持ちに配慮することが重要です。
「何か困っていることがあれば手伝うよ」など、相手に対してサポートする姿勢を見せることで、上から目線な印象を避けることができます。
「〇〇してあげる」「〇〇してあげようか」
「〇〇してあげようか」という言葉も、上から目線に聞こえる言葉の代表例。「してあげる」という言葉を使うことで、恩着せがましい印象を与えます。
たとえば、「ここは私が奢るよ」と「ここは私が奢ってあげるよ」では、印象がだいぶ変わりませんか?
たとえ相手を思っての提案だとしても、「〇〇してあげる」は「〇〇する」、「〇〇してあげようか」は「〇〇しようか」に言い換えるのがスマートです。
上から目線に聞こえる言葉を使わないようにするには?
ビジネスシーンでも日常会話でも、自分が何気なく言ったフレーズで相手に「上から目線だな」と捉えられてしまうのは避けたいですよね。
ここでは、相手に上から目線だと捉えられないようにするために、日頃から気をつけたいことを紹介します。
クッション言葉を使うようにする
クッション言葉とは、次に続く言葉をオブラートに包んで相手を気遣う気持ちを表す言葉で、「ビジネス枕詞」ともいわれます。たとえば「お忙しいところ大変恐縮ですが」「もしよろしければ」といったフレーズは、クッション言葉としてよく使用されていますよね。
こうしたクッション言葉を使うことで、キツい印象をやわらげ、相手からも好感を持たれやすくなります。
断定をしない
断定的な言い方は威圧的な印象を与えるため、避けた方が無難です。
断定的な言い方を控えれば、相手も自分の意見を言いやすくなるので、より密接にコミュニケーションが取れるようになります。これは相手の立場を尊重することにもつながり、信頼関係の構築にも役立ちますよ。
否定から入らない
自分の発言に対して、相手が「でもさ」「いやいや」「それはおかしくない?」と全面的に否定的なスタンスで返事をしてくれば、誰だって不快な気持ちになりますよね。
ダメ出しをしなければいけない場面だとしても、一旦相手の意見を受け入れ、そのうえで「こういう懸念点があるため、このように改善した方がいいかもしれないね」といったアドバイスにするといいでしょう。
否定的な言い方を控えることで、相手に対する配慮が伝わります。
上から目線に聞こえる言葉遣いを見直して、相手を思いやる言葉に言い換えよう
人間関係のトラブルを未然に防ぎ、周囲から好かれる存在になるためには、自分の言い方や態度に常に気を配ることが大切。上から目線に聞こえる言葉遣いを見直すことは、周りとの円滑なコミュニケーションを図る上で大いに役立ちます。
今回紹介した上から目線に聞こえる言葉を使っている覚えがある人は、今日から相手を思いやる言葉に言い換えるように意識することをおすすめします。