女優の永作博美が、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)のナレーション収録に臨んだ。担当したのは、18日・25日の2週にわたって放送される『母と息子のやさしいごはん2~僕と母さん 時々父さん~』。飲食店を経営する発達障害の息子とその母、そして陰ながら支える父を追った作品だ。

幾度となく訪れるピンチに対し、何とか息子のための“居場所”を守ろうと、もがきながら立ち向かっていく家族の姿に、永作は「自分も頑張ろうと思えました」と力を受け取ったようだ――。

  • 『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した永作博美

    『ザ・ノンフィクション』のナレーションを担当した永作博美

赤字を補填してきた父が歯科医院を廃業

東京・護国寺にある「酒・食事処 大(たい)」。調理担当の息子・大貴さん(31)と接客担当の母・貴美子さん(67)の二人三脚で営むこの店には、自家製デミグラスソースを掛けた名物のハンバーグを目当てに、お昼時は多くの客が訪れる。

幼い頃から成績優秀だった大貴さんは、中学生の時、突然の不登校に。その後、発達障害の診断を受け、自宅に引きこもる日々を送っていた。そんな大貴さんを変えたのが、初めて作った料理。母が喜んでくれたことをきっかけに料理人の道を歩み始めた。

その姿を一番近くで見ていた母は「大貴が思う存分、料理が作れる場所を…」と、2020年1月、文京区・本郷に食堂を開店させたが、直後に突入したコロナ禍により、わずか2年で閉店。そこから再起してディナーメニューを研究し、日本酒も取りそろえた本格的な飲食店として、母とオープンさせたのが「酒・食事処 大」だ。

しかし、なかなか売り上げは伸びない。その上、赤字を補填し、経済的にサポートしてくれていた父・充明さん(84)が、高齢のため歯科医院を廃業することになってしまった…。

  • ハンバーグを作る息子・大貴さん (C)フジテレビ

親はどうしても責任を背負ってしまう

この家族の姿に、「ゴツゴツした無骨感があって、ぶつかり合いながらも一生懸命進んでいる感じが微笑ましいし、応援したくなる。そして、ただただ家族でできることをやろうと必死に前を向いて進む姿が、何も誇張されてなくて、とても身近に感じたので、自分も頑張ろうと思えました」という永作。

両親が大貴さんの力を信じて、最大限のサポートをする姿にも感銘を受け、「“腕は間違いないから大丈夫”とおっしゃっていて、そこの信頼関係もすごいですよね」と感心した。

家族の中でも特に共感したのは、やはり母親だ。

「“障害があることを見つけてあげられたらよかったんですけど、私も追い詰めていたんだって…”とおっしゃっていたのが、すごく分かりました。親はどうしてもどこかで“自分のせいで…”と思ってしまって、責任みたいなものかな。母親として背負うものが大きいから、“自分の力で何とか助けてあげなきゃ”となってしまう。でもそこが、とても人間臭いなと感じました」

そんな母・貴美子さんに、夫の充明さんが「誰かのせいじゃない」と声をかけていたことも知って、永作は「本当にふさわしい葛藤の仕方や言葉の発し方を皆さんがしていたので、たくさんの共感が得られるような気がします」と想像した。