■熱中症対策はしていますか?
東京は、35℃を超える猛暑日が、2022年は16日、2023年は21日でした。2024年はそれを上回りそうな勢いで暑い日が続いています。熊本県甲佐町で8月12日に、25日連続の猛暑日となり、国内最長記録を更新しました。体温を超える気温の中に長くいると、命に危険を及ぼします。死亡者も多くなっていますので、熱中症に対しては注意が必要です。
熱中症は、室内で一番多く発症しています。2024年7月1日から8月3日までの東京23区内死亡者80名は、死亡場所がすべて室内です。体が気候に順化していないヒトが、室内に長くとどまり運動しないでいると、熱中症を引き起こしやすくなります。詳しくは、JIJICO内にある下記コラムをご覧戴きたく思います。
熱中症が一番多いのは室内?熱中症対策にはクーラーの使用が有効?
暑さに順化していないと、〈夏バテ〉を起こしやすくなります。〈夏バテ〉とは、夏の暑さによる体調不良の総称です。室内外の温度差がある所を繰り返し出入りする事や冷たい物の飲食過多が、〈夏バテ〉の原因になると考えられています。また、夜通しエアコンの中で就寝していても、〈夏バテ〉を引き起こしやすくなります。
下記兆候が出現したら〈夏バテ〉を感じている状態と言えます。
A.だるさ
B.食欲不振
C.疲労感
D.睡眠障害
〈夏バテ〉を感じている人は、熱中症予備軍とみられます。
熱中症を発症する人は、
1.体内の水分量が低下している人
2.筋力が低下している人
に良く見られます。
下記コラムを参考にして熱中症を発症しないように、対策して戴きたく思います。
夏バテはからだの冷やし過ぎが原因かも? 夏の疲れは心臓の疲労が原因!? 2023-08-10
9月に体調がおかしくなるのはなぜ?夏場の冷えが呼吸器疾患の発症につながる? 2023-09-06
■熱中症対策には筋トレが有効? 運動を続けるコツはある!?
熱中症は、筋力が低下している人に発症者が多いため、筋力低下が顕著になる70歳代以降の高齢者がその対象になりやすいと言えます。
60歳以降の筋力低下に関する内容にご興味がある人は、下記コラムをご覧戴きたく思います。
78歳は体力低下の転換期!?70歳を過ぎたら日常生活動作と深呼吸を大切に 2023-02-14
筋肉は90歳代になっても向上しますので、毎日筋トレすることを推奨します。とは言っても、運動をしない人には、様々な理由があります。
1.運動が苦手
2.運動が嫌い
3.痛いところがある
4.運動する時間が取れない
5.病気をしている
「運動したら良いと思うのだけれど長続きしない」という言葉を、良く耳にします。
私は患者様に次の様なことを、まず提案しています。
『どのような運動でも良いので毎日1種類運動しましょう』
継続するポイントは、
1) 長い時間行わない(最大3分)
2) 最初は数秒から始める
ということです。短い時間だと気が楽になり、やる気が続きます。
何を運動したら良いのかわからないという話を、皆さんおっしゃいます。運動というと、スポーツをする、ジムへ通う、走るなど、健康だった時や若かった頃の運動をすぐイメージするようです。最初は、そんなに難しく考えないで結構です。
基本的には頭を支えている筋肉が疲労しやすいので、肩が凝る人は、椅子に座って首を前後左右に動かす運動を、3セットから始めましょう。その際、呼吸することが大切です。1動作に1呼吸します。1セット4呼吸になります。12秒程度で終わるはずです。毎日毎朝1週間繰り返して行い、習慣にすることが大切です。1週間継続出来たら2週間目は5セット、3週間目は7セット、4週間目は10セットと回数を増やします。これを、さらに1か月続けます。
下半身が弱っていると感じる人や膝が痛い人は、両脚を寝た状態で45度くらい持ち上げる運動を3回します。1・2回目の時は、かかとを床に付けないようにして繰り返します。これも1週間継続出来たら2週間目は5回、3週間目は7回、4週間目は10回と増やします。これを、さらに1か月続けます。
継続する際の最大のポイントは、
3) 毎朝決まった時間に決まった場所で行うこと
です。できれば、同じ服装ですると尚良いです。朝、お布団から出たら、パジャマのままで始めれば、すぐできます。同じ時間に2週間行えば、脳が覚えて、その時間になると自然に体が動くようになります。1か月継続すれば、体を動かすことに興味が出ると思います。2か月くらい継続して、もっと体を動かしたいと思ったら、ラジオ体操を勧めています。ラジオ体操は、日本人であれば、誰でも知っているからです。
ラジオ体操は、「子供のころ簡単に出来たやさしい運動だ」と思っている人がほとんどです。提案すると最初は軽視されますが、60歳過ぎてから行うと、意外に大変な運動だということを実感して戴けます。運動量が足りないと感じている人は、ラジオ体操第1と第2をセットにして行うと、十分体を動かした感じがすると思います。
上記運動は、筋力が低下している人にとって、十分な筋力トレーニングになります。どなたでも始められますので、是非参考にして戴きたいと思います。
室内でお過ごしの人が多いと思います。室温設定に関しては、JIJICO内の下記コラムをご覧戴きたく思います。
低体温の人は暑がり?クーラーの中で生活する本当の怖さとは?
就寝中のクーラーは体調不良を引き起こす?体温低下が招く危険性とは
■熱中症に後遺症はあるの?
熱中症で毎年多くの人が救急搬送されています。体温が40℃を超え、早急に治療をしないと後遺症を残すことがあります。代表的な後遺症状は、下記の通りです。
①頭痛
②倦怠感
③食欲不振
④吐き気
⑤めまい
⑥ふらつき
⑦脳(高次機能障害)
⑧肝臓・腎臓の障害
①頭痛~⑥ふらつきまでは、後遺症が残ると数週間から半年程度持続するケースも少なくありません。
⑦は、中枢神経が障害されると、精神状態混乱、行動の変化、ろれつが回らない、神経過敏、せん妄、けいれん、手足の痺れや昏睡などの症状が起こります。早期に適切な治療を受けないと、半永久的な後遺症が残ることも考えられます。
⑧は、体温の高い状態が続くことによって生じる合併症です。迅速かつ適切な治療を行わないと致命的になる場合もあります。いずれにしても、熱中症と思われる症状が出たら、頭や腋の下を冷却して体温の低下に努め、水分を補給したのち、専門医を受診しましょう。
地球温暖化が進み来年以降も気温が徐々に上昇すると言われています。熱中症を発症しないために、暑くなる前の時期に身体の順応に努める必要があります。JIJICO内にある下記コラムをご参照戴きたく思います。
夏の暑さを乗り切る方法は服装にある?汗を出す事が体温調節の秘訣!? 2023-06-03
あなたの「体感温度」感覚は正常!? 「体性感覚」を衰えさせない方法はあるの? 2023-05-11
■熱中症の後遺症に鍼灸治療や瘀血治療が有効です
熱中症の後遺症でお悩みの方は、是非鍼灸治療(内外科治療)をお試し戴きたく思います。薬物治療(内科治療)や外科手術(外科治療)をした後に体調不良を感じている人は、身体の外側から内臓機能に働きかける事が可能な鍼灸治療(内外科治療)が有効ですので、お近くの鍼灸院または鍼灸師が勤務している医療提供施設にご相談ください。
頭痛、倦怠感、食欲不振、吐き気、めまい、ふらつき等の症状改善に、鍼灸治療は有効です。発症後1か月くらいであれば、1週間から10日程度連続して治療すれば、症状消失が期待できます。また、中枢神経障害による症状や内臓の機能低下にも対応可能です。治療期間は症状の程度によりますので、担当する先生とご相談戴きたく思います。
清野が呼称する養正(ようせい)治療は、日常の適正な生活です。詳しくお知りになりたい人は、清野鍼灸整骨院ホームページ「くらしと養生」をご参照願います。体調管理や健康増進には、運動法や呼吸法が有効です。ヨガ(YOGA)療法をご希望の人は、清野メディカルヨーガもしくはお近くのヨガ教室にご相談頂きたく思います。
(清野 充典:鍼灸師)