昨今共働きや子育て世帯が増加している中で、保護者たちがぶつかる「小4の壁」と呼ばれるものがあります。学校が休みになる長期休暇中は、ただでさえ子どもの居場所確保や食事などが問題に。特に、小学校4年生以降は学童が利用できなくなることも多く、「小4の壁」として保護者たちの悩みの種となっています。

  • コクヨ「オフィス内学童保育」

こうした課題に焦点をあて、コクヨでは昨夏より「オフィス内学童保育」のトライアルを実施。施策について、ヒューマン&カルチャー本部 HR戦略推進部の藤井加奈子さんにお話をうかがいました。

  • ヒューマン&カルチャー本部 HR戦略推進部の藤井加奈子さん

◼コクヨが仕掛ける「オフィス内学童保育」とは?

文房具やオフィス家具メーカーである「コクヨ」が実施する「オフィス内学童保育」は、小学1〜6年生の子どもを持つコクヨグループ社員が利用できる託児所です。時間は9時〜18時、保育士や同社社員同伴のもと、オフィスツアーや工作など子どもたちが楽しめるアクティビティを用意しています(今夏は品川オフィス・大阪本社の2拠点で各2日ずつ実施)。

  • オフィス内学童保育

導入前に社内で行ったアンケートによると、"子育て中社員が小学校の長期休みの子どもの居場所に対し、不安を抱えていること"が明らかに。こうした社員の声も参考にしながら、以前より検討されていた複数案の中から「オフィス内学童保育」の実施が決定したのだそう。

「育児をしながら働く社員が、安心して仕事に取り組むことで、パフォーマンスを発揮できるような環境づくりを期待しています」と、藤井さん。

個々に合った働き方を選択

コクヨでは、オフィス内学童保育以外にもライフワークバランスを両立させる支援策を充実させています。直近では、看護休暇の対象を小学校6年生まで拡大させたほか、中抜け制度の確立などを実施。また、オフィス内に子ども同伴で出勤できる「子連れ出勤WEEK」も、この夏に導入検証中です。

  • オフィス内学童保育

藤井さんは「自分のキャリアを自分らしく歩むためにいろいろな支援策が会社にあって、必要なものを選択しながらこの会社で活躍していけると思ってもらいたい」と話し、会社全体で働き方の選択肢を広げている最中だと語ってくれました。

また、無意識な思い込みやコミュニケーションのギャップを取り除くことを目的としたプログラムを現在、計画中。今後、マネジャー層に対し、時間に制約がある社員の働き方を疑似体験するプログラムを実施予定とし、育児はもちろん介護などさまざまな事情を抱える社員への相互理解を深めていくといいます。

「オフィス内学童保育」に潜入!

  • オフィス内学童保育

最後に、品川オフィスにて実施されている「オフィス内学童保育」に潜入! そこには、 保育士やスタッフ社員とともに、折り紙の飛行機を飛ばしたり、工作や読書を楽しんだりと、オフィスの一角でのびのびと過ごす子どもたちの姿がありました。

  • Hello! Family.

また、コクヨの見守りIoTツールである「Hello! Family.」を活用し、子どもたちがボタンを押して保護者に自分のできたことを共有する一コマも。自社商品や豊富な文具アイテムを用いることも、運営するための工夫だといいます。

  • Hello! Family.

今回、小学3年生のお子さんを参加させているマーケティング戦略部の高田さん(※高=はしごだか)に話を聞くと、「親子ともにとても満足度が高いです」と一言。

  • 小学3年生のお子さんをもつマーケティング戦略部の高田朱音さん

続けて、「子どもはここに来ることをとても楽しみにしています。ほかにも、私が仕事をしている姿を見てもらえるのはうれしいですね。それまでは(親が)働いているというイメージがわきにくかったようですが、メンバーとしゃべっている様子などを見ると『こんな風に働いているんだ』と言ってくれることもあります」と話します。

  • 親子ともに「満足度が高い」

そのほか、お子さんを預ける以外にほかの親子と交流を持つことで、社内でのコミュニケーションに変化を感じているのだとか。

「お互いに『こういうお子さんなんだ』という認識があった上で"熱が出ちゃった"などの話を聞くと、これまで以上に"大丈夫かな?"と思えるし、コミュニケーションもさらに取りやすくなった実感があります」

このように高田さんはオフィス内学童保育を高く評価する一方、「もう少し開催期間が長いとうれしいです」といった本音も吐露(現在、品川オフィスは夏休みに2日のみの実施)。親子ともに利用満足度が高いだけに、さらなる改善に期待が寄せられているようです。


個々のフェーズに合った働き方やワークライフバランスの実現に向けた支援策を模索し続けるコクヨ。支援策はもちろん相互理解を促すプログラムなど、多角的なアプローチを考える同社の取り組みから今後も目が離せません。