KDDIは8月5日、阪神甲子園球場における5Gの通信品質向上に向けた対策を7月末に実施したと発表した。
客席エリアに導入している5GのSub6(3.7GHz帯)基地局6局すべてをMMU(Massive MIMO Unit)無線装置に置き換えた。多数のアンテナ素子を利用したビームフォーミング技術によってユーザーが利用する場所に適切に電波を配分するとともに、Multi-User MIMOによって複数のユーザーが同時に通信する際も高密度な通信が可能になる。
あわせて、MMU設備の性能を最大限発揮するため、スタジアム内のマルチパス(送信された電波が周辺構造物への反射によって複数の経路で受信端末に到達すること)を考慮したアンテナ配置に刷新した。あわせて、基地局間の電波干渉を低減する無線リソース管理技術も適用した。
本対策により、観客席が満席となる混雑時の5G通信速度が従来の1.6倍に向上したという。
また、阪神甲子園球場にはSub6だけでなくミリ波(28GHz帯)基地局も整備されているが、5G SAのネットワークスライシングの運用を今後予定しており、映像中継のさらなる安定化に寄与する見込みだ。