イオンは8月1日より『イオンのおせち2025』の予約を開始した。和・洋・中から一段ずつ選べる『和風重「撰」(せん)』や、能登復興支援の『加賀屋「北陸おせち」和一段』、そして『大阪・関西万博おせち 二段重』、果ては『AIと創った未来創造おせち』まで登場している。関係者は「お盆休みで家族が集まるこの時期。年末年始に皆んなで楽しむおせちを、一緒になって選んでもらえたら」とアピールする。
■どんなおせちが登場した?
イオンでは8月1日よりECサイト イオンショップにて、おせちの一部商品の早期予約を開始。また9月2日からはイオン、イオンスタイルの約360店舗とWEBサイトでも予約を開始する。掲げるテーマは「伝統を重んじ、時代とともに進化する」。商品数は約160品目で、価格は7,344円~10万8,000円となっている。
イオン 取締役 執行役副社長の土谷美津子氏が”次世代のおせち”として紹介したのは『トップバリュ 和洋中特大二段重「饗宴」(きょうえん)』。トップバリュおせち過去最大となる73品目(4~5人前)を彩りよく盛り付けた。年越し蕎麦(冷凍)も4食付いてくる。価格は2万1,384円。
また、質や価値を追求した純和風おせちとして『トップバリュ プロのひと品 橋本料理長監修 和風与段重「頂華」(ちょうか)』を紹介する。こちらは日本料理「一凛」料理長の橋本幹造氏の監修によるもの。トップバリュ厳選の国産素材をベースに、上品で贅沢なおせちに仕上げた。内容量は39品目(4~5人前)で、価格は5万4,000円。
近年のトレンドについて土谷氏は「実はコロナ禍において、おせちの良さが見直されたんです。そして人々は、集い・賑やかなことにお金を消費するようになりました。いわゆる”賑わい消費”です。おせちは単品購入が増えており、セット予約も増加傾向です。依然として手作りは減少しているので、手間はかけたくないけれどきちんと食べたい、というトレンドが伺えます」と分析する。
このあとイオンリテール デリカ商品部 部長の金子聡氏は、被災地復興を祈念した『加賀屋「北陸おせち」和一段』、そして『金澤ぜにや 食彩オードブルプレミアム』を紹介した。「今年の元旦には、令和6年能登半島地震が発生しました。被災地では、親戚が集まっておせちを食べる直前だった、というお宅もあったと聞いています。イオンとしても、1日も早く被災地に元通りの日常が戻ってくることを願っています」(金子氏)。
一方で、名店監修の贅沢おせちとして『京都 貴船 右源太監修 和五段重「氣生根」(きふね)』を紹介。京懐石の名店「右源太」が監修した、絢爛豪華なおせちになっている。「物価高の昨今ですが、ハレの日にこだわる、高いクオリティを求めるお客様に向けた高付加価値商品として訴求します」。
2025年らしさを感じさせるおせちとして、まずは『大阪・関西万博おせち 二段重』を紹介。ミャクミャクのオリジナル重箱になっており、定番おせちはもちろん、子どもも喜ぶ洋風食材も盛り込んでいる。
そしてユニークなのが『AIと創った未来創造おせち』。オープン生成AIにキーワードを入力し、抽出された画像をベースに食材を配置して具現化した。これまでにない色彩感覚が特徴だという。金子氏は「多様化するニーズへの対応として、映え、話題性も意識しました。未来を創造するおせちとして販売していきます」とする。
このあと、日本料理「一凛」料理長の橋本幹造氏が登壇。自身が監修した『和風二段重「瑞」(みずき)』について「素材の味を最大限に引き出すため、水や塩、調味料の配合に至るまでこだわり抜いています。たとえば砂糖は使わず、水飴を使用することで素材本来の甘み、旨みを引き出していますし、一般的なおせちに用いられる食品添加物も一切使わずに作り上げました」と解説する。
■おせちとランドセルは同じ傾向!?
質疑応答の時間がもうけられ、関係者がメディアの質問に回答した。なぜ、この時期におせちの予約を開始するのかについて、土谷氏は「おせちとランドセルは同じ傾向があるんです」と切り出す。「普段は別々に住んでいても、家族で集まったときに一緒に決めたい、というニーズが存在します。これまで当社では、おせちの予約は秋のシルバーウィークの頃に開始していました。今年は1か月早めて、お盆から予約開始となりました」。
また、最近のおせちのトレンドについては「オードブル化」だとする。「年末年始に子ども、孫が集まったときに、旧来のおせちを出しても『食べるものがない』と言われてしまうことが増えたようです。そこで食べ盛りの小さな子にも喜んでもらえるよう、お肉、そして洋風メニューを取り入れたおせちが好まれています」。
近年、若年層(20~30代)には「おせちなんて古臭い」と敬遠されていたものの、コロナ禍を契機に「食べてみるか」という風潮になり、「意外とイケるじゃないか」と思ってもらえるまでになった、と笑顔で明かすのは金子氏。新規層を開拓できる期待があるとし、今後ともニーズにマッチするもの、趣向を凝らしたものを届けていきたい、と話していた。