R&Gは8月2日、「怖い上司に関する意識調査」の結果を発表した。調査は2024年5月31日~6月9日、社会人の男女500人(女性303人、男性197人)を対象にインターネットで行われた。
上司が怖いと感じるのは「口調・話し方が怖いとき」
上司が怖いと感じるときの1位は「口調・話し方が怖い(130人)」だった。具体的には、「大きな声で誰かに怒っているとき」(20代 女性)、「忙しいとイライラして、言い方が怖くなる」(30代 女性)、「言ってはいけない言葉を使うなど、言葉の選別ができない上司」(40代 男性)といった声が挙がった。急に大きな怒鳴り声が聞こえるとビクッとし、繊細な人なら自分が叱責されているように感じて苦しくなるかもしれない。また自分が怒鳴られると、「また失敗して怒鳴られたらどうしよう」と委縮してしまうと考えられる。失敗を防ぐために上司からアドバイスをもらいたいときも、なかなか声をかけられなくなってしまうかもしれない。
2位は「イライラを隠さない」だった。具体的には、「書類を投げられたとき」(50代以上 男性)、「イライラしているとき。上司が貧乏ゆすりをしていたりため息をついたりしていると、『自分が原因だったら…』と怖く感じます」(30代 女性)、「朝、上司の顔を見て明らかに機嫌が悪いと感じたとき。何かとあら捜ししてくるので怖いと感じる。朝から不愛想で、言葉が荒くなるのでわかりやすい」(40代 女性)とのことだった。怒鳴ったりはしない上司でも、明らかにイライラしているのがわかると「今日は機嫌が悪いから、ミスしたらひどく叱られるかも」と怖くなるかもしれない。
3位は「ミスを追及される」。「理路整然と責められる」(20代 女性)、「理詰めでミスを追及されるとき」(40代 男性)、「冷静な顔をして理論的に問い詰められるときが怖いです」(50代以上 男性)といった声が寄せられた。ミス・失敗をしてしまい、上司から注意を受けることはよくあるが、正論を突きつけて追い詰められると恐怖を覚える人も多いとわかった。思考が停止してしまい、謝ることしかできなくなってしまう人も多いかもしれない。
4位は「反応が薄い・冷たい」。「声をかけてもパソコンから目を離さないで話を聞かれるとき」(30代 女性)、「早口で対応され、『自分との会話を終わらせたい空気感』が出ているとき」(40代 女性)、「無視されるとき」(50代以上 男性)とのことだった。冷たい態度をとられると、何か悪いことをしてしまったかなと心配になる人も多いかもしれない。
その他、「数字に対してプレッシャーをかけるような声かけをしてくる」(30代 男性)、「自分には難しすぎる仕事を振ってこようとすること。例えば英語が得意ではないのに『英語で資料を作れ』とか」(30代 女性)、「体調を崩して休むと、スケジュールを遅延させないためのリカバリープランを要求される。多忙だとわかっているのに、新しい仕事を追加してくる」(50代以上 男性)、「気分によって態度が変わること。いつもなら気にしない小さなミスも、気分によっては怒ってくる」(30代 女性)、「業務指示内容が急変する」(50代以上 男性)といった声が寄せられた。
上司が怖いと感じ上司が怖いと感じる頻度は「週1回未満」
上司が怖いと感じる頻度はどれくらいかを聞いたところ、「週1回未満(26.4%)」「特定の状況のみ(23.4%)と答えた人が多くなった。全体的には恐怖を感じている頻度は低いと言える。一方で「ほぼ毎日怖い」という人も20%を超えている。毎日のように「怖い」と感じていると、精神面の負担が大きそうだ。
上司が怖いことが理由で退職を考えたことがある人は72.2%
上司が怖いことが理由で退職を考えたことがある人の割合は、「よくある」「たまにある」が合わせて72.2%。多くの人が上司のせいで転職を検討したことがあるとわかった。実際に転職したという体験談も寄せられている。
「ほぼ毎日上司が怖いと感じる」と答えた111人に絞ってみると、「よくある」「たまにある」と答えた人が合わせて94.6%と、全体平均よりかなり多くなる。「上司によるストレスが続く環境だと、ほとんどの人が仕事を辞めたくなる」とわかった。
上司が怖いときの対処法1位は「できるだけ関わらない」
上司が怖いときの対処法1位は「できるだけ関わらない(265人)」で全体の半数以上を占めた。2位が「他の人に相談(83人)」だった。3位「聞き流して考えすぎない(61人)」、4位「反論せず謝罪する(46人)」など、やり過ごそうとする人も多いとわかる。
上司に「態度を改めてほしい」「怖い」と伝える人はほぼおらず、予防したり自衛してやり過ごしたりする人が多いとわかった。部下に転職したいと思わせるほどのストレスを与える上司の場合、怖いと伝えても態度を改める可能性が少ないと考える人が多いのかもしれない。
具体的な回答をみていくと、1位「できるだけ関わらない」を選んだ人からは、「できるだけ関わらないように、業務に集中しているふりをする」(20代 男性)、「上司がイライラしているときは話しかけない」(30代 女性)、「できるだけ上司とは仕事以外に関係をもたない」(40代 男性)といった自衛策が挙げられた。上司と目が合わないように、ひたすら仕事に集中する人や、外出予定を入れて職場にいる時間を減らしている人もいた。「トラブルがあったときにピリピリするが、時間が経てば元に戻る」という上司なら、一時的に距離をとれば済みそうだ。ただ関わらないためには上司の動向に気を配る必要があるので、新たなストレスが生まれるかもしれない。
2位「他の人に相談」を選んだ人からは、「同じ会社の先輩や他の上司に相談したり、話を聞いてもらったりしました」(20代 女性)、「コンプライアンス部門・人事部門に相談する。別の上司や相談しやすい目上の人に相談する」(30代 女性)、「周囲の人へ相談する。対象上長以上の上長と仲良くなっておき、困ったことがあったときに相談する」(40代 男性)といった対策が挙げられた。上司の言動があまりに理不尽で怖い場合には、「他の上司」や「人事部門」などへの相談も検討できる。コンプライアンス部門や人事部門がきちんと機能している企業なら、社内の第三者に介入してもらって問題を解決できる可能性も。他の上司に相談する場合は、「対象である上司よりも上の立場にある人」に相談するのが良いかもしれない。
3位は「聞き流して考えすぎない」だった。「あまり気にしないようにする。他のことを考えてやり過ごす」(30代 男性)、「『同僚と話のネタにする』と考えて、無感情で聞く」(20代 女性)、「聞き流すことを心掛けています。厳しい叱責や高圧的な態度に対して深く考えすぎず、必要な部分だけを受け取り、あまり気にしないようにしています」(40代 男性)とのことだった。直属の上司であれば、距離をとるのが難しいケースも多いかもしれない。そのため「理不尽な叱責は聞き流して、できるだけ気にしない」という人も多くなった。感情的な言葉を気にせず、上司が本当に言いたい要点を聞き取ることに集中すれば、過度に怖いと感じることなく冷静になれるかもしれない。
4位は「反論せず謝罪する」で、「何か言われたらすぐに謝る」(20代 女性)、「注意されているときはなるべく従順な態度をとり、長引かないようにしている」(30代 女性)、「理不尽なことではないので、言われた内容を即座に実行する」(40代 男性)との声が寄せられた。回答は大きく分けて2パターンあり、ひとつは「上司の言うことはもっともなので、素直に聞いて次に生かす」という人。このパターンであれば、注意させていることに怖さを感じてはいても、上司との信頼関係ができているように感じる。もうひとつは「怖いので、怒られる時間を少なくするため、我慢しておとなしくしている」という人。後者のパターンだと、言い返したいことがあるのに言えないというストレスが溜まりそうだ。
他にも、「ミスしないよう、入念に準備する」(20代 男性)、「期日内に指示された仕事を終わらせられるように、普段から通常業務を前倒しでこなしていく」(40代 男性)といった予防策や、「普段から、ミスをしてもあまり怒られないようにコミュニケーションをとっておく」(20代 女性)、「できるだけ挨拶と返事をしっかりする」(30代 女性)、「避けられない場合は、辞めるしかないと思う」(40代 女性)といった意見が寄せられた。