マツダは2024年8月1日、マツダ3の商品改良を実施し、同日より全国のマツダ車両販売店で予約受注を開始した。価格はマツダ3 ファストバックが220万9900〜398万6400円、マツダ3 セダンが257万7300〜326万5900円。販売開始は2024年10月上旬を予定している。
今回の改良では、ユーザーが選択しやすいようグレード体系を刷新。よりいっそう安全・安心・快適に運転を楽しめるようコネクティッドサービスの提供機能を拡充し、室内の安全装備を強化した。
グレード体系の刷新に関しては、グレード数を減らすとともに名称を変更。マツダは以下のように位置づけを説明している。
・レトロスポーツエディション=レトロモダンの世界観をテーマにスポーティさを融合した特別仕様車
・ツーリング=シートヒーターなどの快適装備を充実させた上質グレード
・Sパッケージ=充実した安全装備が備わったコアグレード
・15C=シンプルなベースグレード
エンジンタイプは15Lガソリン(SKYACTIV-S 1.5)、2Lガソリンマイルドハイブリッド(e-SKYACTIV G 2.0)、2Lガソリンスーパーチャージャー+マイルドハイブリッド(e-SKYACTIV X)、1.8Lディーゼルターボ(SKYACTIV-D 1.8)の4種類を用意するのは従来同様。
トランスミッションと駆動方式を含めたバリエーションと価格は以下のとおりだ。
[バリエーションと価格]*は特別仕様車
■ファストバック(ハッチバック)
〈FF・1.8Lディーゼルターボ・6速AT〉
XD レトロスポーツエディション*:326万5900円
XD ツーリング:311万1900円
XD Sパッケージ:285万2300円
〈FF・2Lガソリン+モーター〉
20S レトロスポーツエディション*:6速ATもしくは6速MT…299万900円
20S ツーリング:6速AT…283万6900円/6速MT…291万3900円
〈FF・1.5Lガソリン・6速AT〉
15S レトロスポーツエディション*:277万9700円
15S Sパッケージ:240万9000円
15C:220万9900円
〈4WD・2Lガソリンスーパーチャージャー+モーター・6速ATもしくは6速MT〉
X ツーリング(バーガンディレザーパッケージ):398万6400円
X ツーリング(ブラックレザーパッケージ):396万4400円
〈4WD・1.8Lディーゼルターボ・6速AT〉
XD レトロスポーツエディション*:350万2400円
XD ツーリング:334万8400円
XD Sパッケージ:308万8800円
〈4WD・2Lガソリン+モーター・6速AT〉
20S レトロスポーツエディション*:322万7400円
20S ツーリング:307万3400円
■セダン
〈FF・1.8Lディーゼルターボ・6速AT〉
XD レトロスポーツエディション*:326万5900円
XD ツーリング:311万1900円
XD Sパッケージ:285万2300円
〈FF・2Lガソリン+モーター・6速AT〉
20S レトロスポーツエディション*:299万900円
20S ツーリング:283万6900円
20S Sパッケージ:257万7300円
すっきりしたけど豊富な選択肢
マツダが理想的なエンジンを追求して開発した火花点火制御圧縮着火(SPCCI)エンジン+モーターのeスカイアクティブ Xを4WDに唯一設定し、6速MTと6速ATを選べるのもこれまでどおりだが、1グレードのみとなり、2色の内装色から選択することになった。
グレード体系の刷新については、2024年7月18日に商品改良を実施したクロスオーバーSUVのCX-30と同様にグレード名が改められたのだが、マツダ3に関しては少々勝手が違うようだ。
というのも、“ツーリング”はすでに1.5Lガソリンモデルに15S ツーリングとして使用していたからだ。
改良モデルと従来モデルの装備内容と価格から勘案すると、新たに設定するツーリングは従来のプロアクティブ ツーリングセレクション相当、Sパッケージはプロアクティブ相当となるようだ。
1.5Lモデルに関しては、Sパッケージが従来の15S ツーリングに相当。今回新設定となる15Cは、従来の15Sではなく、さらに装備を厳選して価格を抑えたベーシック(素)グレードの位置づけだ。
なお、特別仕様車レトロスポーツエディションのベースモデルは、従来のブラックトーンエディションに代わり、20SとXDがツーリング、15SがSパッケージとなった。
従来グレードとの関係性は!?
これを踏まえて、前回改良後の販売構成比(2023年10月〜2024年6月)をマツダに確認した。マツダ3はボディタイプやエンジン、トランスミッション、駆動方式が多岐にわたるため、まずは売れ筋の上位3グレードに絞って質問した。(ファストバックとセダンの販売比率は8:2となっており、下記データはボディタイプ別に算出されたものだ)
■ファストバック
・15S ツーリング…15.0%
・20S プロアクティブツーリングセレクション…14.9%
・15S レトロスポーツエディション…10.3%
■セダン
・20S プロアクティブツーリングセレクション…23.3%
・20S プロアクティブ…23.0%
・20S レトロスポーツエディション…16.8%
ちなみにファストバックに関してはエンジンが4タイプあり、その販売構成比は、
・20S(2Lガソリンマイルドハイブリッド)…47.0%
・15S(1.5Lガソリン)…34.5%
・XD(1.8Lディーゼルターボ)…16.3%
・X(2Lスーパーチャージャー+マイルドハイブリッド)…2.2%
単純にグレード名としてファストバックの売れ筋上位を見ると、
・プロアクティブツーリングセレクション…26.9%
・レトロスポーツエディション…19.0%
・ツーリング…15.0%
が来る。
上記の販売構成比から、従来モデルで好評のレトロスポーツエディションを継続設定としながら、売れ筋グレードに絞り込み、煩雑になっていたグレード名を刷新してわかりやすくした、ということが見て取れる。
ブラック加飾でスポーティさ演出するオプションを設定
そして今回の改良で、ブラックトーンエディションがラインアップから外れたが、Sパッケージに、アルミホイールとドアミラーカバーを黒色に変更できるメーカーオプション「ブラックアピアランスパッケージ」(5万5000円高)を新たに設定。レトロスポーツエディションに同装備が装着済みなのも、先に商品改良したCX-30と同様。Xツーリングはブラックのアルミホイールが標準となる。
拡充された装備内容
このほか、コネクティッドサービス(店頭での契約手続きが必要)の提供機能拡充については、15Cを除き、エアコンやシートヒーター、ステアリングヒーターのコントロール、電話の受発信、ナビゲーションの目的地設定を音声操作できる「Amazon Alexa(アマゾン アレクサ)」を新たに採用したほか、ネットワークを通じて施設情報や周辺駐車場の空き状況などの最新情報を参照できる「マツダオンラインナビ」を採用した(ディーラーオプションの「マツダオンラインナビ用SDカード」の購入で利用可能となる)。
車内安全装備の強化については、後席の乗員取り残しや、荷物の置き忘れ防止のために、ドライバーへ注意喚起する「リアシートアラート」を全グレードに採用している。
なお、ボディカラーについては、15Cを除き、設定するすべてのカラーから選択可能だ。
装備内容の変更分が価格に反映!?
さて、車両価格についてだが、グレード体系の刷新と装備の拡充で単純な比較はできないが、相当する従来グレードと比較したかぎりでは、レトロスポーツエディション、ツーリングが6600円価格が上昇している。これら従来と同等装備のグレードでは、装備の拡充分が価格に反映されているようだ。
Sパッケージ(1.5L以外)は従来のプロアクティブツーリングセレクションよりも1万6500円安で、LEDライティング関連(アダプティブLEDヘッドライトやヘッドライトユニット内シグネチャーLEDランプ、リヤコンビランプユニット内シグネチャーLEDランプ、デイタイムランニングライトは装備されず、LEDヘッドライト〈ハイ/ロービーム〉にハイビームコントロールシステムが備わる)とシフトスイッチが省かれた分が按分されているようだ。
1.5Lモデルは、15Sツーリングに代わる15S Sパッケージが8万9100円安となっているが、従来備わっていた10.25インチセンターディスプレイが8.8インチ化され、360°ビューモニターやドライバーモニタリング、地デジチューナーなどの機能が省略されている。メーカーオプションの360°セーフティ&コンフォートパッケージ(16万9400円)を選択することで、従来の15S ツーリング相当プラスα(新採用のスーパーUVカットガラス〈フロントドア〉化など)となる。
新設定の15Cは、従来の15Sよりも7万8100円安い設定だが、ステアリングがウレタン(従来15Sは本革巻き)、シフトノブがPVC(同本革巻き)、ダークティンテッドガラス(リヤドア、リヤゲート)がクリア(UVカット機能あり)化、16インチアルミホイールがスチールホイール+フルホイールキャップになるなど、装備の簡素化が図られている。なお、ダークティンテッドガラス(2万2000円高)と360°ビューモニター+ワイヤレス充電(5万5000円)のみオプション装着が可能だ。
国産車随一のバリエーションを誇るマツダ3の強みであり弱点であった“選択肢の多さゆえの選びづらさ”が、多少改善された今回の改良。選べないより選べるほうがいいのだが、“落としどころ”は難しいものである。
〈文=ドライバーWeb編集部〉