iPhoneに標準装備の「天気」や「株価」といったアプリの設定画面を眺めていると、「識別子をリセット」というスイッチが目に入ります。なにかをリセット(初期化)するのだろうと察しはついても、具体的に何をするのか、そもそも「識別子」は何を指しているのかまではわからないかもしれません。
ここでいう「識別子」とは、自分のiPhoneに割り当てられた目印です。「お客様情報のプライバシーと安全の確保」を掲げるAppleは、天気や株価といったアプリに対しほかと識別するための目印を用意し、ユーザのデータ収集の際に参照します。
iPhoneには「UDID」という端末固有値が存在しますが、プライバシーへの配慮などから現在では使用が推奨されなくなり、代替手段が提供されています。それが「識別子」と呼ばれる存在で、さまざまな用途に活用されています。
たとえば、AdvertisingIdentifierと呼ばれる識別子は、ターゲティング広告(ユーザが興味を持ちそうな広告を表示すること)などに利用できます。ただし、iOS 14.5以降はユーザの許可なくアクセスできなくなるなど、運用は厳しく制限されています。
「天気」や「株価」も、位置情報などのプライバシーに関わるデータを参照する必要上、識別子でユーザ情報を管理します。しかし、プライバシーに関わるデータの決定権はユーザにあるため、ターゲティング広告を表示してほしくない、自分に関する情報を初期化してほしいという場合には、「識別子をリセット」することで対応できるというわけです。