シャオミが日本での事業を拡大しています。2024年5月に発売した「Xiaomi 14 Ultra」は199,900円と高価ながら、ライカとコラボしたカメラを搭載する上に、コンデジのようになる「フォトブラファーキット」が付属。Xiaomi 14 Ultraをスマートフォンとしてではなく、撮影した写真をすぐにアップロードしたりSNSでシェアできるデジカメとして購入する人も多いとのこと。
このようにハイエンドなスマートフォンを出す一方で、スマートフォンメーカーとは考えられない製品も販売しています。それが7月に発売したボールペンです。
カラフルな「Xiaomi 大容量ジェルペン(5本パック)」はオレンジ、黄色、緑、青、紫の5色パック。価格は480円なので1本あたり100円以下です。シャオミがわざわざボールペンを手がけるのは一見すると不思議ですが、日本のようにしっかりした文具メーカーがステーショナリーを販売している国は実は多くはなく、新興国などでは粗悪な製品も多くあります。シャオミはそんな国へスマートフォンを提供するだけではなく、きちんとした品質の生活雑貨としてこのような商品も販売しているのです。
実際に海外のシャオミストアに行ってみると、そんな「ついで買い」できるような安価な製品も良く売られています。たとえば乾電池やUSBケーブルなどです。東南アジアのシャオミストアは夏になれば冷房の効いた店内に涼みに来る客も多数います。店内を散策しながら1,000円程度で買えるものが見つかれば、つい買ってしまうでしょう。そしてそこからシャオミファンを増やすこともできるかもしれないわけです。
日本ではわざわざシャオミのボールペンを買う必要性はありません。しかしシャオミは近年のうちに自社製品を販売するシャオミストアを開設予定です。そのためには製品ラインナップを増やす必要もあります。それはIT関連製品だけである必要はなく、海外で扱っている雑貨を日本で売れば、ブランド認知力を少しずつ広げることもできるでしょう。そんな中、2024年9月30日まで東京・渋谷のPARCOにて「Xiaomi POP-UP Store」が展開されています。来店したお客さんの中にはシャオミの製品に興味を抱く人も出てくるでしょう。そしてすでにシャオミの製品を使っているユーザーなら、せっかくの期間限定ストア訪問記念に何か買いたいもの。500円程度で買えるボールペンなら気軽に買うことができます。
ボールペンの販売だなんて、他に売るものが無いのだろうかなんて揶揄したくなる気持ちもあるかもしれません。しかしシャオミの製品開発力はIT製品を超え自動車分野にも進出しています。今年3月に中国で発表したEV(電気自動車)の「SU7」は、予約開始から27分で予約台数の5万台が完売になったとのこと。中国のシャオミストアの一部はカーディーラーのようにSU7を展示しており、週末となれば多くの家族ずれが実車を試乗しにくるほど人気になっています。SU7は試作モデルではなくすでに中国の街中を走っており、数年以内に自動車業界で存在感を高めることでしょう。
日本市場に話を戻すと、この7月にはロボット掃除機の最新モデル「Xiaomi ロボット掃除機 S20」も投入するなど、まずは売れ筋の家電から投入していく考えのようです。中国では電子レンジや洗濯機までも売っているそうですが、さすがに日本では大手メーカーや良質な格安モデルがあるため参入は難しいところ。家電のラインナップは海外ほど増えないかもしれませんが、それでもシャオミのスマートフォンからコントロールできる利便性は高く、今後様々な製品を投入してほしいものです。
シャオミが得意とする「コスパ」分野ではワイヤレスイヤホン「Redmi Buds 6 Active」を1,980円で発売。ここまで安いとノーブランド品よりもシャオミの製品を選んだほうが安心かもしれません。またデザインと音質に優れたオープンイヤーのワイヤレスイヤホン「OpenWear Stereo」も1万4,800円です。メーカーを問わず各社のスマートフォンで使えますから、はじめて買うシャオミ製品がワイヤレスイヤホンだった、という人もこれから増えるでしょう。
スマートフォンメーカーという印象のシャオミですが、今後日本でも生活家電や雑貨など取扱製品の幅を広げていくでしょう。いずれオープンするであろう日本のシャオミストアは、買うものが無くても立ち寄ってしまう、楽しい製品であふれるお店になることが期待されます。