遊べるクルマとしても人気の高いスズキ「ジムニー」だが、これまで、キャンピングカー仕様を見かける機会はあまりなかった。今回は「東京キャンピングカーショー2024」(会場:東京ビッグサイト、会期:7月20日~21日)でポップアップルーフを搭載したジムニー(しかも日本未発売の5ドア!)を見つけたので、担当者に話を聞いてみた。
テントの開閉は電動! スマホで操作可能
今回、ジムニーのポップアップルーフを出展していたのは、オリジナルキャンピングカーの企画・販売を手がける人気ビルダーのホワイトハウスだ。同社が開発したジムニー用ポップアップルーフは「電動」であるところがポイント。車内にある物理ボタンのほか、Bluetoothの範囲内であればスマホにダウンロードしたアプリでも開閉できる。
気になるのが価格だが、今回は参考出展ということもあり、まだ決まっていないとのことだった。ただ、ホワイトハウスが手がける他車種のポップアップルーフが90万~100万程度あることから、そこから大きく外れない価格帯になることが見込まれる。
海外進出も見据えて企画?
ジムニー5ドアは2023年に海外で販売が始まったモデルだが、いまのところ日本では未発売。ポップアップルーフを開発しても、すぐに日本で需要が見込めるはずがない。それなのに、なぜ作ったのだろうか。
「実は、3ドアが出たときにも開発しかけたのですが、屋根の長さを測ってみると、どうやっても180センチが取れませんでした。そのため、開発を断念したんです。5ドアについては、いずれ日本でも出るだろうという希望的観測ありますし、もうひとつ、弊社では、いろいろな部品を世界各国から輸入していて、その中にはジムニー5ドアがもう出ている国があります。ちょうど弊社でも、今後は国内の内需ばかりに目を向けず、グローバルに向けて部品販売もしていこうと計画を立てているところでしたので、もう開発してもいいよね、という話になりました」(以下、カッコ内は担当者)
出展車両の足回りには、四駆専門パーツメーカーの4×4エンジニアリングが手掛けるサスペンションキットやホイールも組み込まれている。こうしたパーツは現在、海外からの問い合わせが増加し、輸出が増えている状況にあるという。
そもそも、海外から評価されている日本車も、紐解けばパーツの集合体だ。担当者も「日本車が人気ということは、すなわち日本の工業製品、ジャパンクオリティが人気ということでもあります。広い目で見れば、ひとつひとつの部品の人気が出てもおかしくないのでは」との意見だ。
そうした中で、世界でも特にファンの多いジムニーでメイドインジャパンのポップアップルーフを出したら、どんな反応になるのか。そんなテストマーケティングも含めての開発だったという。
日本と海外では異なる販売方法が想定される。
「日本の場合は、ジムニー5ドアが発売されることが前提ですが、コンプリートモデルとして車両ごと販売します。ただ、ジムニー5ドアを購入された方が、後からポップアップルーフの存在に気付いて、後架装をしてほしいと言われることもあると思います。そういうニーズが多ければ当然、考えていかなければいけないので、頑なにやらないというスタンスではありません」
海外向けはパーツ販売となる見込みだ。
「海外の場合はBtoCではなく、BtoBになるところが日本の場合との違いです。先方様にどういった能力があるのかを私どもが把握した上で、契約を結び、パーツを提供するという形になると思います」