シェアリングエコノミーは、物やサービス、たとえばスキルや空き時間、空きスペースなどを共有することでお金を節約したり、収入を得たりする新しいビジネスモデルのひとつです。社会全体のデジタル化が進んでいる中で、消費者の認知や利用の機会も広がりつつあります。今回は、そんなシェアリングエコノミーについて活用方法をわかりやすく紹介します。
シェアリングエコノミーとは?
シェアリングエコノミーは、個人、組織、団体等が保有する物やサービスを共有する経済の仕組みです。
シェアできるものはスキルや時間等の無形のものから、車や家などの有形のものがあり、提供したい人から利用したい人の間でそれらを共有することで、効率的な資源利用が可能になります。
多くの場合、サービスはインターネット上のプラットフォームで行われており、インターネットやスマートフォンの普及により、市場規模は年々拡大されていくと期待されています。
シェアリングエコノミーの活用方法
シェアリングエコノミーの活用事例をいくつか挙げていきます。
移動手段のシェア:車や自転車などの移動手段をシェアすることもシェアリングエコノミーの一つです。交通機関の有効利用は省エネルギーや環境保護に役立っており、今後も期待される分野です。
カーシェアリング:使わない時に車を貸し出して収入を得たり、必要な時だけ車を借りたりすることができます(例:タイムズカー)。ガソリン代、保険料、駐車場代が不要であるため、車を持っていない人でもコストをかけずに自動車を利用することができます。 仕事での利用だけでなく、旅先でのちょっとした移動などにも気軽に使える点が魅力です。
ライドシェア:一般ドライバーが自分の車で乗客を目的地まで送迎し、報酬を得ることができます。(例:DiDi、Uber)2024年4月から東京などの一部の地域でタクシー事業者が運営主体となるライドシェアのサービスが開始されました。
先に述べたカーシェアリングとの違いは、カーシェアリングは利用者による車の貸し出しが目的となっていますが、ライドシェアはドライバーと利用者をマッチングするサービスです。昨今のタクシードライバー不足を、地域の自家用車や一般ドライバーで補うことが期待されています。
住居のシェア:住宅もシェアができるようなサービスも普及しています。一軒家やマンション、アパートなどの共同住宅までシェアする住宅の種類はさまざまです。
ホームシェアリング:自宅の空いている部屋や、家全体を旅行者に貸し出すことで収入を得るサービスです。代表的な例としてAirbnbという会社は、部屋を貸したいホストと、安く宿泊したいゲストとのマッチングサービスとして、世界中で利用されています。インバウンドが進んでいる日本でも、使っていない空間の有効利用として注目されています。
シェアハウス:一つの住居の中で個室以外の共有部、たとえばリビングやキッチン、バスルーム、トイレなどを複数人でシェアすることで生活費を節約できます。4~5人で利用する比較的小規模なものから、数10人、100人規模の大型のシェアハウスもあります。
入居資格に制限がある場合があり、女性専用やシニア専用、海外からの留学生同士などが一緒に住むコンセプト型シェアハウスなどもあり注目されています。
スキルシェア:個人が持つ専門的な知識や技能をネット上で商品のように販売し収益を得るサービスです。スキルシェアは空いた時間で取り組みやすいため、近年は副業としても人気があります。
フリーランスの仕事:自分のスキルや専門知識を提供して収入を得るサービスです。仕事を依頼する発注者と、スキルを活かして仕事をしたい受注者のオンラインマッチングができます。システムやアプリの開発など難易度が高い案件から、事務作業やアンケートなど初心者でも空いた時間で取り組みやすい案件もあり、幅広く利用されています。(例:Lancers、クラウドワークス)。
レンタルサービス:自分の道具や衣服などを必要な人に貸し出すサービスです。衣服のレンタルサービスでは、プロのスタイリストが利用者の好みや、悩みに合わせて洋服をセレクトしてくれるので、買い物に行く時間や服を選ぶ手間を省くことができます。(例:air closet、ストアカ)。
シェアリングエコノミーのメリット
このように様々なシェアリングエコノミーのサービスが普及しています。なんといっても経済的なメリットは、コストを抑えながら必要なものを利用したいときに手に入れることができ、さらに収入を得ることもできるという点です。
また、物を他社と共有することで無駄を減らし、限りある資源の効率的な利用に貢献できます。
シェアハウスや、スキルシェアによって、普段出会うことがなかった人達ともシェアリングエコノミーを通じてさまざまな人との出会うきっかけができ、新たなコミュニティが形成されることもあるでしょう。
注意点と対策
多くのメリットがあるシェアリングエコノミーですが、利用者、提供者ともに不特定多数の人とのかかわりがある中で注意すべき点も挙げられます。
利用者はまず、安全性の確保として信頼できるプラットフォームを選び、レビューや評価をしっかりと確認しましょう。インターネットを通じたやり取りになることが多いので、お互い顔が見えないため個人間でのトラブルも起こりえます。 また、各地域やサービスによっては特定のルールや規制があるため、それらを遵守することが大切です。
シェアリングエコノミーは新しい事業形態のため、何かあった時の補償制度や法律がしっかりと整備がされていない部分もあるでしょう。利用する前に契約内容や条件を明確にし、トラブルが発生した場合の対応策を確認しておきましょう。
まとめ
シェアリングエコノミーは、効率的で経済的なライフスタイルを実現するための素晴らしい方法です。既存の枠組みにとらわれず、新たな発想でものや空間、移動手段、スキルなどを提供し、コストをかけずに利用することができるのが魅力です。ただし、法整備はこの発展するビジネス形態の今後の課題といえるでしょう。自分に合った方法で活用し、賢くお金を使いながら、新しい収入源を見つけてみましょう。
この記事を執筆したファイナンシャルプランナー紹介
小峰一真(こみねかずま)
所属:マイホームFP株式会社