北海道小樽市は、電気機関車ED76形の展示再開に向けた資金を募るクラウドファンディングを7月22日から開始した。「さとふるクラウドファンディング」で募金を受け付けている。
小樽市総合博物館に保存されたED76形500番代は、国鉄が北海道向けに開発した電気機関車。22両製造され、一時は主力機関車として活躍したが、現在は同館を含めて2両しか保存されていない。小樽市総合博物館では、1986(昭和61)年からED76形を保存してきたが、車両の変圧器やコンデンサの絶縁油に強い有毒性があるPCBを使用していたことが判明。撤去・処分作業のために車両を解体せざるをえない事態となり、全国の鉄道ファンや関係者など解体を惜しむ声が上がっていた。
ところが、解体を進めていく中で、ED76形の片側前頭部を残した形であれば保存・展示を再開できる可能性が浮上。年度内にED76形の前頭部展示に取りかかり、11月頃の公開をめざして整備を行うこととした。2025年度には、ED75形の外殻部展示作業も進める予定としている。
一方、総額で数千万円と想定される経費が事業実施の課題となることから、クラウドファンディングで幅広い支援を募ることとした。目標金額は1,500万円。寄付金はED76形の前頭部の移設、展示再開のための補修、車両紹介パネルの制作、フォトスポットの設置などに充てるという。受付期間は10月21日まで。返礼品として、ED76形のグッズなど用意している。