日立製作所の子会社で鉄道システム事業を担う日立レールは、英国のネットワーク・レール、ロンドン・ノース・イースタン・レールウェイ(LNER)、クロステックの3社と共同で、最新のデジタル技術で線路沿いの植物や地盤など自然環境と線路の異常を監視する前方監視試験を開始したと発表した。
日立レールによれば、LNERの「AZUMA」車両の運転室に新しい前方監視カメラを設置し、今年5月から1年間にわたって試験を行うという。この前方監視カメラは、最新の人工知能(AI)カメラセンサーテクノロジーを使用したもので、線路へ張り出した樹木、線路上の落ち葉、地盤沈下など、設備・車両への損傷および遅延を引き起こす可能性のある潜在的な危険を検出する機能を持つ。
ネットワーク・レールの推定では、英国南部地域だけで植物関連の事故費用が年間300万ポンド(約6億1,500万円)とされる。関係各社は、新たな監視カメラを用いた今回の試験により、メンテナンスが必要な時期と場所を最適化するための知見やガイダンスを取得し、鉄道運行の安全性や信頼性を高めたいとしている。