令和4年度交通事故、約17万700件が「交差点もしくは交差点付近」…“信号のない交差点”での優先順位は? 専門家が解説
TOKYO FMのラジオ番組「ONE MORNING」内でお送りしている「JA共済 presents なるほど!交通安全」。7月12日(金)放送のテーマは「信号のない交差点の安全走行」について。日本自動車ジャーナリスト協会会長で日本自動車連盟交通安全委員会委員の菰田潔(こもだ・きよし)さんから、信号のない交差点の安全走行、注意点について伺いました。

※写真はイメージです

◆優先側だとしてもスピードは出し過ぎない

信号のない交差点は危険ポイントの1つです。優先道路を把握せず、ルールに則らないで交差点に侵入してしまうと、重大な事故になりかねません。今回は“信号のない交差点の走行”について確認していきます。

信号がない交差点では、交差する道路のどちらが優先となるのでしょうか? それを判断する基準の1つが“一時停止標識の有無”で、優先なのは“一時停止の標識がない”ほうです。

しかし“自分側に一時停止の標識がないから”と、交差する道から来る車両を気にせず、スピードを落とさないで交差点に入った瞬間、一時停止しない自転車と衝突する事故例もあります。信号のない交差点では、たとえ優先側の車道を走っていたとしても、いつでも停止できるスピードで交差点に入り、標識のある・なしに関わらず細心の注意を払って走行しましょう。

次の判断基準となるのが“中央線や車両通行帯の有無”で、車両通行帯や中央線があるほうが優先となります。さらに、交差点で道幅が違う場合は、広い道が優先となります。また、広い道を走る際でも“横の路地から出てくる歩行者、自転車、車がいるかもしれない”と考えて走りましょう。

◆左方優先という原則を忘れずに

では、交差点に信号機がなく、一時停止もなく、中央線や車両通行帯もなく、道幅も同じ場合の優先はどちらになるのでしょうか?

日本は左側通行のため、原則「左方優先」です。例えば、十字路で下から来る車と右から来る車がいた場合、左方は下から来ている車、上から来ている車と左から来ている車がいる場合には、上から来る車が優先となります。菰田さんは「“自分から見て左側の車のほうが優先”と覚えておくと良いでしょう」とコメントします。

なお、令和4年に日本で起こった約30万800件の交通事故のうち、約17万700件が“交差点もしくは交差点付近”で起こっています。そのことを念頭に置いて、交差点では慎重に走行してください。

◆交差点を曲がる際は後続車も意識

続いて、菰田さんから“安全な交差点の曲がり方”を伺いました。原則として、交差点で左折をするときは、少しずつ左に寄ってから曲がりましょう。左に寄らないまま左折し始めると、例えば、交差点を渡ろうとしている横断歩行者がいて、左折する途中で止まった場合、車の前部は左に向いていても、後部はうしろの直進しようとする車の邪魔をしている状態になってしまいます。

またウインカーは、余裕を持ってブレーキを踏む前から出しましょう。そうすることで、後続車が動きを読んでスムーズに走れるようになります。「こうした周囲に気を配った運転を、ぜひベテランドライバーからおこなってほしいと思います」と菰田さん。

信号のない交差点は車の交通量が少ない場所ではありますが、油断せずに安全運転を心がけてください。大切なのは“事故を起こさないこと”“事故に巻き込まれないこと”です。

<番組概要>

番組名:JA共済 presents なるほど!交通安全

放送日時:毎週金曜 7:20~7:27

番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/koutsu/