35回目を迎えるフジテレビ系大型バラエティ特番『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』(20日18:30~21日21:54)。4年ぶりに復活した昨年は「世代交代」を掲げて千鳥、かまいたち、ダイアンが総合司会を務めたが、今年はさらに若い『新しいカギ』の“カギメンバー”霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコの3組が、高校生たちと一緒に作り上げる企画が次々に展開される。

総合演出も田中良樹氏と杉野幹典氏というフジテレビ入社11年目の若い同期コンビが担当するが、そんな2人を中心とした制作陣は、どんな27時間を作ろうとしているのか。チーフプロデューサーの矢崎裕明氏(※崎は「立つ崎」)とともに、たっぷりと話を聞いた――。(第2回/全3回)

  • (左から)『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』総合司会の霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコ (C)フジテレビ

    (左から)『FNS27時間テレビ 日本一たのしい学園祭!』総合司会の霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコ (C)フジテレビ

ハナコ菊田、「隠し要素」の活躍ブロック

フジテレビ歴代の総合バラエティを振り返ると、『めちゃ×2イケてるッ!』ではナインティナイン、『はねるのトびら』ではキングコング、『ピカルの定理』ではピースと、それぞれに中心となるコンビが存在したのに対し、『新しいカギ』は霜降り明星、チョコレートプラネット、ハナコの3組がフラットな立場として位置づけられているという。このため、今回の『27時間テレビ』の準備で最も時間を割いたのは、カギメンバー7人がそれぞれ活躍する場面を作ることだった。

「もちろん『27時間テレビ』に全力を注いでいますが、『新しいカギ』の演出担当としては、これをきっかけに初めて見てくれる人への“名刺”にもなればという思いがあります。『27時間テレビ』ということで来てくれた新しいお客さんに、“こんな7人のメンバーでやってるんです。楽しそうな番組でしょ?”としっかり紹介できるように、それぞれの個性が出る形にしています」(田中氏)

それが最も表れるのは、各メンバーが高校生と本気で練習したオリジナルダンスでNo.1を目指す、クライマックスの「カギダンススタジアム」。田中氏は「長田(庄平)さんは物を作らせたら芸人界隈で右に出るものはいないと思うのですが、そこの魅力がしっかりと出ていますし、松尾(駿)さんは“ものすごく器用なタイプというわけではないけれど、とにかく全力でやる”という芸人さんとしての方向性が見えるダンスになっています」と予告する。

松尾は、カギメンバーにおいてムードメーカーになっているそうで、杉野氏は「記者会見でも“世帯視聴率45%とる!”と宣言するなど、すごく盛り上げてくれています(笑)。27時間、大変な企画もあるし、つらい瞬間もあるかもしれないですが、松尾さんがこのチームの空気づくりという面ですごく頼もしいです」と信頼を寄せた。

  • 「視聴率45%」ポーズを決めるチョコレートプラネット・松尾駿

ハナコについて、杉野氏は「他のメンバーと比べても、突出した努力家の3人だと思います。岡部(大)さんは岩手、秋山(寛貴)さんは三重、菊田(竜大)さんは韓国と、遠方のダンスチームとタッグを組んで練習しなければいけないにもかかわらず、家に持ち帰って自主練もされているんです。その真面目さが、最後のダンスに出てくると思います」と特徴を捉える。さらに、「岡部さんは『(千鳥の)鬼レンチャン』で歌いますし、菊田さんは隠し要素で活躍ブロックがあります(笑)」とのことだ。

今回、メンバーの中で通しの進行役を担い、深夜に異彩を放つゲーム企画も担当するのは、霜降り明星の粗品。その相方のせいやについて、田中氏は「小さい頃からテレビっ子だというのもあり、『27時間テレビ』への思い入れが一際強くて、“終わったら引退してもいい”というくらいの覚悟なんです(笑)。その熱量で、生放送でいろんなトラブルがあっても僕らが救われる部分があると思いますし、まずはオープニングの『(FNS日本縦断!)青春スゴ技リレー』で景気付けてほしいですね」と期待を示した。

カギメンバーとスタッフの「いい距離感」

そんなカギメンバーとスタッフの関係性について、矢崎氏は「非常にいい距離感だと思います」と解説。「コロナ禍でスタートした番組というのもあって、収録後に“飲みに行くぞ!”みたいなことはないのですが、馴れ合いにもならず、緊張感を生みながら、現場で職人と職人がぶつかっているという感覚があります。これまでの総合バラエティは、演者さんの力が強いとか、演出の力が強いというパターンだったと思うんですが、この番組に関しては対等な関係でここまで走ってきた結果、『学校かくれんぼ』といった企画が生まれてきたので、27時間この緊張感を持ったまま進んでいければと思います」と展望を語る。

一方で総合司会の3組は、これまで『27時間テレビ』をほとんど経験していない。矢崎氏は「体力面を含めて心配もあるのですが、もうそこは逆手に取って、日曜のお昼という頭が回らない時間に『高校生クイズ何問目?』を置いたり、その後いろんな番組とコラボして、挙句の果てに最後にダンスを踊っていただくことになりました。もちろんケガなく終わってほしいですが、途中途中で“こんなにしんどいんだ!”となる場面もあると思うので、そこは“頑張りましょう!”と声をかけていくしかないですね(笑)」と、気合いで乗り切っていく考えだ。