「土用の丑の日」が近づいてきました。
「土用」とは、「季節の変わり目の約18日間」のことで、「丑の日」とは「十二支」が由来です。干支は、年だけでなく日毎も12ずつ繰り返されるそうで、約18日間の土用期間中に丑の日は1~2回巡ってきます。それを「土用の丑の日」と言うそうです。
この日は、体をいたわり精が付くものを食べる風習があるのはご存じですよね。2024年の土用の丑の日は、7月24日(水)と8月5日(月)の2日となっています。
土用丑には「うなぎ」が欠かせません。今回は、3代目が継ぐ江戸前の名店「鰻のおかむら」をご紹介します。
「鰻のおかむら」は先代で東京から茅ヶ崎へ移り、今年1月、江戸前の手仕事はそのままに鎌倉でリニューアルオープンしました。
御成通り入り口と江ノ電が交差する、由比ガ浜通り沿いに入り口はひっそりあるので、お見逃しのないように。
タレの香ばしく焼けるいい香りが、外までうっすら漂います。外観はもちろん、店内も随所に気品とこだわりが見え、現代の中に古風を残した上品な空間です。
こちらでは全て国産のうなぎを使用しています。毎朝、生きたままの新鮮なうなぎを捌いて串打ちし、注文が入ってから調理されます。お客様にもうなぎにも、心を込めた手仕事が代々受け継がれているのです。
それゆえ、注文を受けてからお料理の提供までに40分ほどかかります。お急ぎの方は、事前予約されることをおすすめします。
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時間に余裕があれば、「ブルックリンラガー」(800円税込)をいただきながら、お料理を想像したり会話を楽しんだりして待つのもいいですね。
お店にはうなぎに合う季節のお酒も揃っていて、日本酒ソムリエ「唎酒師」の資格を持つ、鰻職人の岡村亮さんに選んでいただきました。
今の季節のおススメは、高知の「安芸虎」。コクはあるのにのど越しが爽やかで、お酒も進んでしまいます。
うざく(2,500円税込)で一杯やりながら、まずはしら焼き(4,600円税込)の到着を待ちましょう。
一度蒸した後に焼きあがる江戸前しら焼きうなぎは、ふっくらとしていて、皮はパリッと身はとろけそうに柔らかいです。うなぎ本来の味を楽しめるよう、輪島のあら塩でいただきました。素材の良さは、シンプルにいただくことで美味しさが際立ちます。
優しい味わいの茶碗蒸しで、再度お腹の準備が整ったところに、到着したのは1日12食限定という「江戸毬(えどまり)」5,600円税込(要予約)。画像出典:湘南人
横長の珍しいお重で到着したつやつやのうな重。こちらでは、魚沼の中でも入広瀬という小さな集落で作られているコシヒカリを使用しています。あえて横長のお重は、選び抜かれたお米の美味しさも味わえるように、タレがつかないご飯を作った心遣いです。
甘すぎないタレがいい塩梅でからむうなぎ。しら焼きとは一味違って、濃厚な旨味はタレに負けてなく、それでいて口当りは柔らかなままの贅沢な逸品です。
「これをね、ご飯にかけて食べるのとっても美味しいのよ。是非食べてみて。」先にいただいていた、柚子こしょう和えを指しながら、ニコやかな笑顔で声をかけてくださったのは、おかみさん。
しっかり味のタレ焼きうなぎと、さっぱりとした柚子胡椒のツユに香るうなぎ、どちらもご飯に合いすぎて、さらさらっと一気にお腹へ収まりました。
お重や器にもこだわりを感じます。輪島塗の漆器は、åbäkeというロンドン在住アーティストのデザインのもので、それぞれの柄には旅をテーマにした意味が込められているそうです。
今年1月、能登半島を襲った地震から逞しく守られてきたという、奇跡のお重たち。「ご縁への感謝と、能登の復旧を祈りながら使っています」と、岡村さんは話してくださいました。
昔から神水と称えられてきた、絶え間なく湧き出る霊狐泉の水を引いていて、うなぎたちも活き活きしています。絶品うなぎで精をつけ、暑い夏を元気に乗り切りたいですね。今年の「土用の丑の日」は、お人柄の良さにも触れられる「鰻のおかむら」で、伝統の味を堪能されてみるのはいかがでしょうか。
店舗詳細
【鰻のおかむら】■住所:〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜2-4-40■電話番号:0467-33-6363■営業時間:11:30〜14:30 (L.O.14:00)17:00〜20:10 (L.O.19:30)■定休日:木曜日(祝日の場合は翌日休)■ご予約:電話・予約サイト