LIFULLが運営する不動産・住宅情報サービス「LIFULL HOME'S」は7月17日、「神奈川県・埼玉県・千葉県の2024年新築マンションの平均価格」の調査結果を発表した。調査対象は、東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県内で分譲された新築マンション。2023年1~5月および2024年1月~5月を比較し対前期比を算出。各マンションにつき、分譲期ごとに最高価格/面積と最低価格/面積を抽出し平均値を算出した。
都内の新築マンション価格は高騰中、隣接3県でコスパの良い街は?
昨今、首都圏では不動産価格の高騰が続いており、特に東京都内の新築マンションは平均価格1億円を超えている。また、価格上昇と住宅ローン金利の増加などを背景に、東京都の移動人口に関するデータでは、東京都のファミリーや子育て世代が隣接する神奈川、埼玉、千葉の3県へ転出する傾向がみられる。そこで今回、子育て世代をはじめ、よりコストパフォーマンスの良い県に住みたいと考える人に向け、同調査が実施された。
【神奈川県編】横浜市中区のm2単価173万円は東京23区平均と同水準
神奈川県の新築マンションの平均m2単価1位は「横浜市中区」の173.0万円(前期比112.4%)となった。2位は「厚木市」の132.8万円(同184.9%)、3位は「川崎市中原区」の132.7万円(同138.5%)とm2単価130万円台が続く。神奈川県の平均m2単価は95.9万円だが、TOP10はm2単価100万円以上の横浜市内の区を中心に「相模原市都筑区」「逗子市」がランクインした。
新築マンションの価格上昇率が7.5%となっている神奈川県内でも、その中心エリアである横浜市中区が平均m2単価173.0万円(平均価格1億2,300万円)と、県内で最も高額かつ東京23区とほぼ同じ価格水準で分譲されていることがわかった。横浜市では中区を筆頭に西区、神奈川区など横浜駅の周辺にタワーマンションが数多く分譲されており、平均m2単価も120万円前後と高水準。
2番目に高額だったのは厚木市で、平均m2単価は132.8万円(同1億798億円)に急上昇。前年同期比では84.9%と2倍に迫る価格に上昇しているが、これは本厚木駅徒歩1分に1億円超住戸を含む総戸数238戸の分譲が実施されているためだとか。
3番目は川崎市中原区の132.7万円(同8,038万円)でエリアの中心地である武蔵小杉での開発が活性化している。
神奈川県内でm2単価が100万円を超えているのは前年から3増えて14自治体&行政区となり、神奈川県平均m2単価は95.9万円のため、すでに東京都だけでなく神奈川県内でも、高過ぎて購入しにくいとされる価格帯に突入しているエリアが増え始めている状況に。また横浜市都筑区の港北ニュータウンでも新築マンションの開発が活性化しており、東京都心部の価格上昇の影響が神奈川県方面へも波及している状況が浮き彫りとなっている。
【埼玉県編】大宮区&浦和区を抑えて新座市がm2単価でトップ、前期比でも28%上昇
新築マンションの価格上昇率が東京都の14.2%に次ぐ9.1%を記録した埼玉県内で、最も平均m2単価が高かったのは新座市の122.0万円(前期比128.4%)だった。平均専有面積が43.07m2とファミリー向けではない住戸の分譲が中心だったため、面積単価が大きく上昇したものと考えられるという。
2番目に高い水準だったのはさいたま市大宮区の110.8万円(平均価格6,320万円)、3番目がさいたま市浦和区の110.6万円(同5,997万円)だった。東京都および神奈川県と比較すると物件価格が安価な水準で推移する埼玉県でも価格上昇は顕著で、大宮区ではー2.0%と概ね横ばい、浦和区では19.0%の上昇を記録している。
また、さいたま市緑区では前年比29.7%(平均m2単価63.7万円→82.7万円)、川越市で25.8%(同77.0万円→96.9万円)、熊谷市で22.6%(同48.2万円→59.1万円)と浦和区以上の上昇率を記録している自治体&行政区もあり、円安による資材価格の高騰、建設業&運輸業の2024年問題に起因する人件費の上昇などが首都圏郊外エリアでのマンション価格を大きく押し上げていることが良くわかる結果となった。それでも埼玉県内では平均価格が1億円を超えるエリアはなく、さいたま市大宮区の6,320万円が最も高額。年間約2.5万人もの転入超過による人口の社会増が発生している理由が図らずも明らかとなった。
【千葉県編】市川市、浦安市が平均m2単価100万円超え
新築マンションの価格上昇率が8.2%であった千葉県内で、最も平均m2単価が高かったのは江戸川を挟んで東京都に隣接する市川市の111.2万円(平均価格7,636万円)だった。2番目に高額なのが浦安市の100.1万円(同7,259万円)、3番目も千葉市稲毛区の94.7万円(同5,976万円)と、都心方面にアクセス容易な千葉エリアがm2単価上位を占める結果に。同エリアには通勤・通学先が東京都内である"千葉都民"が多く居住しており、都内よりも安価で専有面積も広く、生活コストを抑えつつオンもオフも効率的に暮らせることから、都内の新築マンション価格の高騰を受けて、多くのファミリー層が転居しているという。
平均専有面積が最も広いのは成田市の96.23m2、次いで市原市の80.52m2、八千代市の79.89m2と続き、現状の価格水準でも、ファミリー層が子育てに適した新築マンションを比較的安価に購入可能だとか。なお、千葉県平均のm2単価は77.4万円で、東京都139.6万円、神奈川県95.9万円、埼玉県80.2万円と比較すると最も安価な水準に留まっている。対照的に平均専有面積は72.06m2と東京都の65.79m2、神奈川県の68.90m2、埼玉県の63.55m2と比較して最も広く、唯一の70m2台を記録しており、より割安により広い物件を求めるユーザーには適しているエリアが多いのが千葉県であると言える。