音楽劇『ライムライト』の公開稽古が17日に都内で行われ、石丸幹二、朝月希和、太田基裕が取材に応じた。

  • 石丸幹二、朝月希和、太田基裕

同作はチャップリンによる同名映画の舞台化作。かつて一世を風靡した老芸人・カルヴェロ(石丸)は、人生を悲観し自殺を図った若いバレリーナ・テリー(朝月)を助け、再び舞台に立たせる。しかし、スターに上り詰める彼女と入れ替わるように、老芸人は人生の舞台から退場しようとしていた。ほか植本純米、吉野圭吾、中川賢、舞城のどかが出演する。

音楽劇『ライムライト』公開稽古に石丸幹二ら登場

公開稽古では、カルヴェロ役の石丸によるアカデミー作曲賞を受賞した名曲「テリーのテーマ」(“エターナリー”)、ネヴィル役の太田による「テリーとネヴィル」の歌唱を含む2幕のシーンを披露。2015年、2019年に続き3度目の同役となった石丸は「9年前、この作品を演劇としてお客様の前で上演するのが世界初だったということで、そこに辿り着くまでに色々なことがありました」「チャップリンさんのご遺族の方がそうそうは許可しないことなんです。でも熱い思いを持って、日本のチャップリン協会代表の大野さんが足繁く通ってくださいまして、理解していただたき、世界初演という形でこの作品を上演することが叶いました」と、作品の成り立ちから振り返る。

石丸は「『ライムライト』という作品を改めて観たりしながら、チャップリンさんが演劇人として残したいメッセージをたくさん書き記しているんだなと気づき、それを後世に伝えるのが私たちの役目なんじゃないかなと思って、9年前に上演したのを思い出します」と回顧。「9年経って、チャップリンさんがカルヴェロを演じた60代に近づいてきまして、チャップリンさんが言い残したかったことがより理解できているような気がしております。今回3演目、以前とは違う感じ方、発し方が、朝月さん太田くん共々に刺激をもらいながら表現できるのではないかなと。前回を超えていこうという思いでいます」と意気込んだ。

今回初共演の朝月について、石丸は「『(タカラヅカ・)スカイ・ステージ』で彼女の舞台姿を拝見してまして、とっても踊りに秀でた、お芝居が熱い、色々なキャラクターを演じ分けられる彼女に出会えるんだという思いでワクワクしながら稽古初日を迎えたのを覚えています」と明かす。「稽古場でトゥシューズを履いて踊り始めた時にびっくりしたんです。誰しもが言ってましたけど、うまい。プリマバレリーナそのものだと実感しまして、まだまだ稽古は続くけど、より素敵な踊りを見せてください」と期待した。

公開稽古では、バレエシーンを披露した朝月。「初めて皆様の前で踊らせていただいて、本当のオーディションの感覚になりまして。こういう緊張感での胸のドキドキ感や高鳴り、ソワソワ感があるのかと実感して学ばせていただきました。1幕では足が動かなかったテリーの、足が動くようになった喜びだったり晴れやかさだったりを、もっと踊りで表現できるように、お稽古していきたいなと思います」と意気込んだ。

一方、石丸と太田は2016年上演の『スカーレット・ピンパーネル』以来の共演。「変わらないんですよ」(石丸)、「幹二さんもですよ」(太田)と言い合いつつ、石丸は「(当時)太田くんはピンパーネル団の一員だったんですけど、今回は“個”の太田くんとご一緒することになって、『彼はこういう人だったんだな』ということを肌身に感じてます、とってもチャーミングだし、今までのネヴィルとは全然ちがうキャラクターで、作っているというより湧き出している感じ。『こういう力を持ってるんだ、彼は』と改めて実感しているところです」と印象を表す。

太田は「幹二さんが演じるカルヴェロが幹二さんと重なって見えて、“そのもの”みたいな感覚がありまして、勝手ながら、一生カルヴェロをやってほしいなと思っちゃうくらいそこに存在している」と称えるが、石丸は「じいさんってこと?」とツッコミ。太田は「いやいや、そんなこと言ってないです! 説得力がありまして、あったかい現場で共演させていただき感謝の気持ちでいっぱいです」とたじたじになっていた。

公演は東京・シアタークリエにて8月3日〜18日。