米Anthropicは7月16日(現地時間)、生成AIアシスタント「Claude」のAndroidアプリの提供を開始した。Google Playから入手し、Claudeアカウントを作成またはアカウントでログインして無料で利用を開始できる。有料サブスクリプションの契約者は「Pro」や「Team」の機能にもアクセス可能である。
Anthropicは5月にiOSアプリをリリースしており、Androidアプリのリリースで、同社はマルチプラットフォーム対応の最初の目標に達した。Claudeは、Web版とモバイルアプリの間で履歴を同期し、ユーザーは会話中にデバイスを変えても会話を継続できる。
生成AIの開発競争が激化する中で、Anthropicは厳格なプライバシーポリシーを維持しており、ユーザーが明示的にオプトインしない限り、基本的にユーザーとのやり取りをモデルのトレーニングに使用しない。 この特徴は、生成AIサービス利用者のプライバシー意識が高まる中で、Claudeが注目を集める要因になっている。スマートフォンでのAIチャットボットのやり取りではよりパーソナルな情報が含まれる可能性が高く、モバイルはOpenAIのChatGPTに対して、Claudeが長所を発揮しやすい領域である。
Anthropicは6月に大規模言語モデル(LLM)の新版「Claude 3.5 Sonnet」をリリースした。Sonnetは、インテリジェンスとスピードのバランスがとれた中位のモデルだが、3.5 SonnetはClaude 3 Opus(高性能モデル)の約2倍の速度で動作し、多くのベンチマークにおいて3 Opusを上回る性能を示している。特にコードの記述、翻訳、マルチステップワークフローの処理、チャートやグラフの解釈、画像からのテキスト抽出において顕著な改善が見られ、GPQA(大学院レベルの専門的な知識とスキルを問うデータセット)やHumanEval(プログラミングタスクの正確性からコード生成能力を評価)ベンチマークではOpenAIのGPT-4oを上回っている。
AnthropicはClaude 3.5 Sonnetを無料サービスでもアクセスできるようにしており、Androidアプリでも利用可能である。これにより、Adnroidスマートフォンで多言語処理によるリアルタイムの言語翻訳を利用できる。Androidアプリは、スマートフォンで撮影した画像やアップロードした画像をイメージ分析するClaude Visionにも対応する。複雑な図や方程式などを撮影してClaudeに説明してもらったり、旅行時にレンタカーの契約書をClaudeに読み込ませて要約してもらうといった使い方が可能である。